第10話 スカイツリーの上のノヴァ

「へぇ、動物が逃げ出したのか」

有島が自分の部屋のベッドの上でスマホを見ていた。

「とりあえず、LINEで拡散しとくか。高島と何凸守も確か下北沢に行ってた気がするし」

有島はLINEに記事を貼り付けた。

【5年LINEグループ】

浅野「えまじ?」

すぐに返信がきた。

有島「マジ外出しない方がいいかも」

浅野「今マックにいんだけどどうしよ」

有島「え」

蓮界「やばくね?」

安泰えんた「逃げろ逃げろ」

栩義「どこのマック?」

浅野「ソラマチのマック」

有島「その近くの移動動物園から動物たちが逃げ出したんだよ」

浅野「ええマジかやばいな」

浅野「あと環奈かんな美香みか希望のぞみがいるんだけど伝えたほうがいい?」

有島「伝えて」

浅野「まだ食べてるから無理だってww」

蓮界「ふざけんなよwww」

栩義「そいつらこのLINEグループに入ってるんだから会話できるだろw」

安泰「あら美香ちゃんかわいい〜」

有島「外とか動物いない?」

浅野「今のところいない」

浅野「あまって、何凸守がいた」

蓮界「あの子ったら大変だわ!」

有島「もう何凸守ったらだらしない子ねえ」

栩義「高島と確か下北沢に行ってたはずだけど」

浅野「分からんけど、とりあえず様子見てるね」

何凸守は浅野たちを見つけると、店内へ入ってきた。

「おいお前ら逃げた方がいいぞ。動物が逃げ出したんだよ」

「それはさっき知ったんだけど、まだ食べてるんだよね」

「呑気すぎない(苦笑い)?高島見てない?」

「あいつ?見てないけど」

何凸守は環奈が食べているポテトを摘んで食べると、スマホをいじった。

「おい勝手に取んな〜」

「買ってる暇なんてないんだよ許して。とにかく高島に連絡しないと」

何凸守はLINEを送ったが、反応はなかった。

「………⁉︎」

今度はスタ連したが、反応なし。

「……………」

何凸守は汗をかきながら、また環奈のポテトを摘んで食べる。

「………返信が無い」

「え………」

その頃高島は自衛隊のヘリに乗っていた。

「Wi-Fiが繋がってないから返信できねえ(笑)」

隊長のような人が言った。

「君!ビルの屋上に友達がいるらしいね!今から向かうから、どこか教えてくれ!」

「あぁはい、あのビルです…………」

高島はふと、下を見た。

「あれ⁉︎何凸守下にいるじゃん、自力で降りたのか………あのう、やっぱいいです。下にいました」

「そうか!それはよかった!」

「隊長!スカイツリーの頂上に何かいます!」

「え?」

パイロットが気づいた。

スカイツリーの頂上を見てみると、恐竜のような生き物がいた。

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??????恐竜ーーーーーー⁉︎」

「足がひづめ?そんな恐竜見たことないぞ」

「まず恐竜自体実物は見たことないですよ」

「足がひづめ⁉︎」

高島ははっとした。

「下北沢の……もしかしてあいつ⁉︎」

その恐竜は逃げ出したノヴァだった。ノヴァはヘリコプターに気づくと、長い舌を勢いよく伸ばした。

「うわぁ捕まった!!!!!!」

「あんなに離れているのに⁉︎」

「高度を上げろ!」

だんだん引き寄せられていく。

「やばいやばい」

限界まで高度を上げた結果、舌ははずれた。

「危なかった………」

ノヴァは街を睨むと、特殊な鳴き声を上げた。

「な、なんだ⁉︎」

その時、突然遠くからカラスの大群が飛んできた。

「な、何ィ⁉︎」

「高度を上げろ!!!!!!」

「だめです。もう限界です!」

「ァァァァァァァァ」

ドン!

窓ガラスにカラスが1羽ぶつかった。

「まだ来るよ⁉︎」

「避けろ!!!!!!」

「無理です、間に合いません!!!!!!」

「しょうがない!これを使う!」

隊長は窓を開けて指から勢いよく糸を出し、ビルの屋上で蜘蛛の巣を作った。

「あれに飛び降りろ!!!!!!」

高島は開けた口を閉じなかった。

「はァァァァァァァァ????????????」

「急げ時間がない!ほらカラスが来た!」

開けた窓からカラスが1羽入ってきた。

「カアカア!カァァァァァァァ!!!!!!」

カラスは高島の膝の上に乗って暴れ出した。

「うわぁァァァァァァァァ僕、カラスは嫌いなんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

高島はカラスと一緒に窓から飛び降りた。

「我々も飛び降りるぞ」

「はい」

パイロットと隊長も飛び降りた。3人とも蜘蛛の巣に降りたため、無傷で済んだ。ヘリコプターはカラスの大群に激突して、墜落し、大爆発した。街中がパニックになっている。

「君!怪我はないか!」

「まぁないですよ。メンタル以外はね?」

そう言ってカラスを飛ばした。

「あの恐竜がテレビでやってた下北沢の怪物⁉︎」

「おそらくそうだろう」

ズドォォォォォォォォン

ノヴァはスカイツリーの頂上から飛び降りて、3人のいるビルの屋上に着地した。

「………⁉︎」

「………やばい………」

「グオン……」

隊長とノヴァは睨み合っている。

「………お前……この子を任せた」

「………⁉︎え、た、隊長⁉︎」

「いいから急げ!!!!!!」

パイロットは高島を抱えると、走っていった。

「さぁ、来い!日本の安全は俺たちが守る!!!!!!」


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