第5話 下北沢の怪物

「速報です。今日昼、下北沢駅前にて、動物の大群が襲撃にくるという、前代未聞の事件が起きました。周辺には、巨大なひづめの足跡が見つかったとのことです。危険性を憂慮した有害鳥獣対策協議会ゆうがいちょうじゅうたいさくきょうぎかいが捕獲隊を派遣し、その足跡の主を捜索するとのことです」

「へぇ……巨大な足跡ねぇ。なんなんだろう」

「知らない」

清香が呆れながら言った。

「だいたい巨大な足跡なんてつける動物なんているの?」

「知らないって、未確認生物でもいんじゃないの?」

「東京だよ?信じられない」

高島はオムそばを食べながらスマホで調べてみた。

「うーん、出てこないなぁ。もしかして新種の動物?」

「ん〜ん…」

高島に電話がかかってきた。

「もしもし、名乗って」

「何凸守だよ。昼のニュース見たか?」

「見た」

「それなら話が早い。巨大なひづめの足跡が発見されただろ?あれなんだと思う?」

「新種の動物」

「さあどうだろう。なぁ高島、明日下北沢に行ってみない?どうせなら実物を見てみたい」

「1人で行ってこいよ。僕は明日勇者ナマズの漫画を買いに行くんだ」

「ついでに寄るよ。なぁいいだろう?」

「………まぁいいか」

「サンキュー。じゃあ」

電話が切れた。










夜……。

捕獲隊は下北沢駅周辺で足跡の主を捜索していた。

「ここら辺は昼は人が多い通りなはずなのに何も目撃情報がないとは……」

リーダーは赤外線センサーを片手に、先頭を歩いていた。

「何も反応がない………壊れているのか?いやいや、まさかそんなはずはない」

慎重に行動している。

すると、突然逃げ惑う子供たちの声が聞こえた。

すぐに捕獲隊が声のした方へ向かったが、誰もいなかった。

「あれ?誰もいないぞ………」

リーダーが手を上げると、後ろの捕獲隊員たちは止まった。

リーダーは誰もいないか赤外線センサーをかざしたが、反応は全くない。

「…誰もいないなぁ、やっぱり」

ふと上を見た。すると、白いティラノサウルスのような恐竜が出てきて、体色を灰色に変えた。恐竜は逃げ惑う子供たちの声を上げた。

その恐竜は手や爪が大きく、さらに五本指。眼窩がんかと鼻の上には角が生えており、背中にはステゴサウルスの棘のようなもの、肩や腰にはケントロサウルスの細く伸びた棘、尻尾には、アンキロサウルスのハンマーのようなものがついている。そして、足はひづめだ。

「擬態だ!見つけたぞ!足跡の主だ!撃て!!!!!!」

リーダーはそう叫んだ途端、恐竜に掴まれた。

捕獲隊員たちは慌てて銃を撃ったが、全身の鱗によって弾が弾かれていた。

リーダーは地面に叩きつけられた。

「グオンッッッッッッッッグオオオオオオオオオオンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」

恐竜が迫ってきた。

捕獲隊員たちがネットランチャーを撃った。ネットは恐竜にかかったが、強靭な爪で引き裂かれてしまった。

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