最終話 「帰還」

 目覚まし時計のアラーム音で目が覚めた俺はまだ眠りが足りないと目覚まし時計の上部にあるボタンを押してアラームを止めた。


 しかし、目覚まし時計に表示された時間を見てまあ学校ないかなければならない時間だと嫌々身体を起こす。


 --ん? 俺さっきまで牢屋に閉じ込められてて明日香と二人で脱出したはずだったんだが……。


 まさか夢オチ!? 


 そんなしょうもないオチありかよ!?


 いや、でも夢にしてはあまりにも生々しい感覚だったような……。


 ま、考えても何も始まらないしとりあえず学校行くか。




 ◇◆




 いつも通り歩いて学校を目指すが、特に変わった様子はない。


 やはり牢屋での出来事は夢だったのだろうか。


「おーはよっ!!」

「イッテ!?」


 そう言って俺に飛びついてきたのは明日香だった。


 この世界で俺と明日香が関わるのは久しぶりのはず。


 ということはやはりあれは夢ではなかったのか?


「どうしたの? 変な夢でも見たような顔して」

「明日香、牢屋での出来事覚えてるか?」

「牢屋? 何それ」


 どうやら明日香は牢屋での出来事を知らないらしい。


 となるとやっぱりあれは夢……。


「結婚するのだけは忘れてもらったら困るけどねっ」


 そう言って明日香はしたり顔でこちらを向いた。


「--っ!! お前全部覚えてんじゃねぇかよ!!」

「さーあ、何のことかな~」

「なんのことかなじゃねぇわ!!」

「これからよろしく頼むよ!! 私の優しい優しい未来の旦那さーん‼︎」


 こうして俺たちは結婚を前提に……。


 いや、結婚をすることは確定で、それまでの期間を付き合うこととなった。


 何故異世界に転生されたのか、何故鍵を持っていたのに最初から脱出しようとしなかったのか、何故俺と結婚しようとしていたのか。


 質問したい内容は山程あるが、俺たちの今後の関係にそんな無粋な質問は必要ないだろう。


 俺はただ、この先何が起こったとしても明日香を守るだけなのだから。 

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転生した場所が牢屋の中で第二の人生詰んだと思っていたら隣の牢屋にカワボの幼馴染も投獄されてて救われました 穂村大樹(ほむら だいじゅ) @homhom_d

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