第2話 瓦礫の少女
『二酸化窒素、放射能、PM2.5、エアロゾルの数値に異常ないです!』
コックピット内に表示されている各種数値は正常な値を示していた。
『そうか、レンは引き続き数値を見ていてくれ。異常があったらすぐ言えよ?』
『はいっ!』
ステアー大尉への状況報告を一通り終えたところで僕はヘッドセットをとった。
数値に異常がないのなら、機体から降りて調査が出来る。
既にシプカさんを除く他の四人は、全員機体から降りていた。
「やはり断層だな」
グリズリーさんが、ずっと向こうまで地面に走った亀裂を見ながら言った。
亀裂の周りには、偵察部隊と
でも撃破されたであろう
撃破されれば跡形もなく消えてしまう。
それが虚構体とも言われる理由だ。
そもそも存在が虚構なんじゃないかって、最初に
でも確かな実体を持っていて物理的攻撃をするのに虚構だなんて……と思ってしまう。
他のみんなは、そういうものだと思ってそれ以上考えるのを止めたらしいけど……。
「これ、真上じゃないかしら?」
四方に崩れたビル群、その間の広場。
この景色はちょうど偵察部隊が送ってきた
ウェルロッドさんがいつの間にか画像を手元の端末に移していたのか端末に表示する。
それを全員で揃って覗き込んで
「間違いない」
「他に該当しそうな場所は見つかりそうな気がするがおそらく此処だろうよ」
「ここですね」
と、全員の意見の一致をみた。
そんなときだった―――――
「……助けて……っ……」
全員がその声を耳にする。
「今人の声がしたか?」
ステアー大尉の問いかけに全員が頷いた。
「もしかしたら生き埋めになった民間人の可能性が高い。そろそろ72時間を迎える頃だ。ウェルロッド、レンは機体をここまで持ってこい!」
「「
機体を使って瓦礫を撤去するつもりかな?
とにかくウェルロッドさんと二人、急いで機体に乗り込んだ。
『レン君、お姉さんと共同作業よ?』
『足を引っ張らないよう頑張ります!』
さっきの場所に二人でスタンバイする。
「おい、どこだー?」
先程の声の主に向かってグリズリーさんが呼びかける。
すると声が帰ってきたのか、グリズリーが歩き出して地面へと指を指した。
『ちゃっちゃと片付けちゃおうか!』
ウェルロッドさんと息を合わせて二機がかりで瓦礫を撤去していく。
『あれ、女の子みたいね?』
瓦礫の隙間に白いなにかが見えるとウェルロッドさんはそう言った。
少しずつ瓦礫を撤去していくうちに白いワンピースを纏った女の子だということがわかった。
『はい、救出成功よ!』
『上手く行ったみたいで良かったです!』
女の子は深手を負ってるわけでもなく横たわっていた。
この時、なんで僕らは傷一つ負っていない女の子に疑いを持たなかったのだろうかと後から思うのだった。
ステアー大尉に抱き起こされた女の子は嬉しそうな顔で
「ありがとう……」
と言ってまるで存在が虚構だったかのように消えた――――。
その光景に脳内で警鐘が鳴る。
『マズイです!多分その女の子は、
咄嗟に僕が叫んだのと地面の亀裂から眩い白い光が溢れ出したのが同時だった。
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