第3話 職人街
『冒険者の国』と呼ばれるオリエント王国には、様々な職人が集まって出来た職人通りがふたつある。
そのうちのひとつALEXの目的地である冒険者通りに来ていた。視界を埋めつくすのは、数々のお店とそれらを求めやってきた多くの種族。オリエント王国は他国に比べ魔物の出現率が高く、ギルドも多い。それに応じて依頼量も増すため他国から多くの冒険者がそれらを求め訪れる。
ーーナイフと回復薬、軽食に服もいくつか必要かな
必要な物を頭に浮かべながら優先順位を決めていく。
見習い期間を終えたばかりのアレクには必要なものが多くある。
冒険者になるためには最低ランクの魔物、初級の回復薬の作り方を学ぶ雑学とそれらを実際に収集し、解体や調合をする実技を行わなければならない。そしてそれらの試験に合格した後、ギルドによって冒険者と認定され、下級冒険者として依頼を受けれるようになる。冒険者になるまでの期間それを見習い期間と呼ぶ。
アレクは今回受けた依頼が、初めての依頼のため冒険者として必要な物が揃っていない状態だ。
見習い期間に使っていたものは、森で使っていた狩り用の弓やナイフだったため、年季も含め、損傷が激しくもう使い物にならない。やはり、魔物となると皮が固いものも多く狩り用では無理があったのだろう。見習い期間、もってくれただけでもありがたかった。
まず、入ったのは様々な剣が左右の壁に引き詰められている店。それらを端から辿りながら良さそうなのを物色する。
ーーなるべく持ちやすく、長持ちするのがいい
入った店の店内は、チラホラ人はいるものの混雑はしていない。長さも形も様々で見れば見るほど、どの用途に使うのかわからない剣がいくつかある。見ている分には面白いのだがこんなにあると選ぶのも大変だ。
アレクはとりあえず、シンプルな形をした短剣が並んでいる目の前まで来た。そしてそれらの原材料が書かれたプレートを見る。
魔物を斬るなら、魔物の角、骨、牙などが使われているものの方が頑丈で切れ味がいい。
大きい魔物を斬る訳ではなく、低級の魔物を斬る時に使うものが欲しいので魔物が使われていれば正直どの短剣でもいい。
アレクは、魔物の牙が混ぜ込まれ短剣を選んだ。片手で持てるし、軽さもちょうどいい。そしてもうひとつ調理する用のナイフもあったためそれも購入した。
次に訪れたのは、薬屋。
いくつかの回復薬とポーション、それに止血剤や清潔な布を購入し、自身でも手作りできるように小さな釜とすり鉢、いくつか瓶を購入し次の店へと向かった。
冒険者専用の服屋では頑丈で受難性の高い布を使った服が多い。アレクは適当に二、三着似たようなデザインのシンプルな服を上下購入し、ついでに斜めがけの布地の鞄を一つ購入した。アイテムボックスがあるため、本当は必要ないがカモフラージュにはちょうどいい。
そしてそのまま服屋の隣の店で靴を購入。
その後も、水を入れるための皮袋や日持ちのする軽食を購入した。
それからいくつかの店を回り、夜が来るまでに買い物を終えたアレクは、今日泊まる宿を探しに冒険者通りを後にした。
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