第23話 ステラ
※少しセンシティブな思想が書かれていますが、描写をより深くするための思想です。
リア達が掃除に向かっている間。
不思議そうな表情でステラがソワソワしている。
「ステラちゃん? どうしたの?」
「へ? い、いいえ! な、なんでもありません!」
明らかに何かに動揺している。
「ステラ」
「はいっ!」
「これからは君にも
「へ?」
「ベリアルくん? でも彼女は色々大変だと思うんだけど……」
クルナさんが言っているのは、あの病気の事なのだろう。
しかし『性欲発情症』とはよく言ったモノだ。
280%くらいだと、男性だと常に起ちあがっているだろうし、女性でも同じ事が起きるってことは、ああいう状態になり続けるって事だ。
この『性欲値』って俺が見た限り、一時的な薬で上げた場合、30%の隣に『+』と別表記されている。
世の中には誘惑魔法もあるようで、多分それも『+』に追加表記されているはずだ。
ステラがあの状態を『+』なしで純粋な280%と書かれていたのは、生まれてからずっとあの状態だったのだろう。
検証したわけではないが、幼児の場合、性欲が強くても特に何ともない。
だが10歳になると、性欲にある程度目覚め始める。
特に女性は男性よりも早く、ステラの場合、早い段階でああなった可能性がある。
漏らしたくて漏らしている訳ではない。
意識すらしなくても漏らし続ける。
それくらい性欲200%超えは、凄まじい効果を持つ。
一時的ならただの快楽だろうが、それが毎日となると話は別だ。
特にステラは幼い頃からずっとだ。
そんな状態だからこそ、生活に厳しく、需要を考えれば確かに玩具用奴隷に堕ちた方が本人の為になったのかも知れない。
だが、そこに仕方ない同意で、ステラ本人の意思はあったのだろうか。
「いえ、問題ありません」
「そう……なの?」
「ええ。もう彼女は
「「へ?」」
2人が間抜けな声を出す。
「だって、もう漏れてないだろう?」
「!?」
「あれ? そうなの? ステラちゃん」
「は、はい……実は先からそれが気になりまして…………」
俺が覗くわけにもいかず、本人とクルナさんが覗く。
「確かに、濡れてはいないね?」
「そ、そうなんです……こんなこと、初めてで……」
「あ! もしかして、ベリアルくんの力で治せちゃった!?」
「!?」
驚く2人が俺に注目する。
「はい。ステラは常時、
「そ、それは大変ね…………」
「えっ? な、治せた?」
「ステラ。お前は生まれながら性欲が非常に高い状態だった。それはお前自身が一番理解出来ているだろう」
「は、はい」
「でもそれは病気ではない」
「病気では……ない……」
「だからずっと治す事が出来ずにいたのだろう。ただ一つだけ治す方法がある」
「!?」
「俺の力で、お前の性欲を抑える事が出来る。いや、もう施した。お前はもう昨日までの身体ではない。その証拠にもう漏らしたりすることはない」
「私……治った……?」
ステラの瞳に大きな涙が浮かび上がる。
「お前はもう俺の奴隷だ。これから沢山働いて貰わないと困る。なので、リア達もそうだが、健康に過ごして貰わなければいけない。それにあのままだと、掃除も大変だろうからな。これからはここで下働き奴隷として頑張ってくれ」
俺の言葉に答える事は出来ず、ステラは大声をあげて泣き始める。
隣にいたクルナさんが抱きしめてあげ、クルナさんも一緒に声をあげて泣き始めた。
俺はクルナさんの過去を知らない。
もしかして、クルナさんがあそこに俺を連れて行った理由。
そういう事なのかも知れない。
泣き声を聞いたのか掃除に向かった4人がやってくると、2人を見て不思議そうにしていたが、ステラが俺に感謝する言葉をずっと繰り返すと、4人もステラを抱きしめて5人一緒に大声で泣き始める。
俺はただ自分のために力を使っただけなのに、これだけ感謝されるとは思いもしなかった。
娼婦館でも奴隷達にも俺の力はどうやら役に立つみたいだ。
自分の復讐のために磨き始めた力だったが、もしかしたら、この力を授かったのには、こういう理由があったのかも知れないな。
まあ、あいつらへの復讐をやめる気がないがな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます