第21話 館での買い物
クルナさんに手を引かれ、建物の中に入ると、沢山の椅子が並んでいて、正面に向かって段差で下がる作りになって、正面には広いステージが設けられていた。
意外にも中には沢山の客で賑わっており、誰もが豪華な服に身を包んでいる。
俺やクルナさんの普通の人もちらほらいるけど、前列は殆どが貴族や大商人だと思われる。
席に着くと、手元に番号札が用意されていて、席数は200人くらい。俺の番号は121番。クルナさんが120番だ。
入口で買ってきたジュースを飲みながら、うきうきするクルナさんと談笑していると、ステージに一人の男が上がってきた。
少し小太りで、変な格好をしているが、どうやら司会のようだな。
「初めましての方は初めまして! いつもご利用くださっている常連さんもありがとうございます! 本日も我が『ペパルティー奴隷館』にお越しくださり、ありがとうございます~!」
少し乾いた拍手が鳴る。
「本日は戦闘用奴隷を12体、下働き用奴隷を9体、玩具用奴隷を10体用意しております~! 奮ってご応募くださいませ!」
全部で31名か。
最初は下働き用の奴隷が並び始める。
9人とも全員女性で、成人してそうなのは6人、まだ幼さが残る少女が3人だ。
「では最初はこちらの商品です! まだ非力さもありますが、餌はあまりかからないという利点がございます! 最初は銀貨1枚からとさせて頂きます~! おっと、121番様! さあさあ、次の方はいらっしゃいますか~?」
意外に人気がないようで、誰も手をあげない。
そこから少女2人も誰も手をあげず、3人とも俺が買う事が決定。銀貨3枚とは安いものだ……。
「ベリアルくん? 下働き奴隷は同意なしのえっちぃ事はできないからね?」
「やりませんよ! そんな不自由はしてませんから!」
「むふふっ」
クルナさんがとんでもないことをいうな。
まだ成人もしてない少女をそういう目的で購入したりするもんか。
次は大人の6人が競りにかけられ、意外と人気があるようでほぼ全員銀貨30枚にはなっていた。
料理や掃除に慣れた奴隷はやっぱり人気なんだな。
最後の6人目の人が競りに掛けられるが、誰も手を上げない。
それもそうで、顔に傷が複数あり、見た目的にあまり良くない。
「こちらの奴隷は見た目はこんな感じですが、料理も掃除も得意で仕事に対するやる気もあります~! 銀貨10枚からですが――――おお、121番様! 次の方はいませんか~? 48番様11枚! 121番様12枚!」
48番とやらと少し競り合うけど俺が20枚になると、向こうが降りて、購入が決定した。
「ベリアルくんってああいうのがタイプだったの?」
「だからそういう目的じゃないですってば」
「くふふ~」
クルナさんにからかわれながら、次の戦闘用奴隷を眺める。
12人中男が11人、女が1一人。
競りがどんどん進み、安くて銀貨50枚、殆どが
そんな中、最後の戦闘用女奴隷の時、貴族達の戦いが起きる。
最初は銀貨50枚から始まったのが、どんどん値上がりして銀貨1200枚まで上昇。
「金貨12枚って中々だね……」
「ええ。成人しているのもあるし、半分無理矢理やらせるためだろうけど、酷いモノですね」
「うんうん」
戦闘用奴隷の競りが終わり、次は一番の目玉、玩具用奴隷の番となった。
特に興味がないなかったので、出ようとすると、クルナさんからせっかくだから最後まで居ようと言われ、彼女達も見届けることに。
全員で10人。
もちろん、全員が成人している。
意外にも王国の法律に乗っ取ってやっていて、王国側は未成年に対する奴隷法はかなり厳しいとの事だ。
10人の紹介の中、一人の女奴隷が目に入った。
見た目からすでに凄まじいというか、理由は、大量に
普通なら、薬でも飲ませたのだろうと思われるが、俺にはその理由が一瞬で分かった。
こんな人も世の中にはいるんだな……意外と自分が過ごしている世界は狭いのかも知れない。
「あの子、凄いわね…………何か飲まされてるのかな?」
「いや、あれは自然体です」
「え!? そうなの?」
「ええ。あれの自然体ってああなるんですね…………」
「?」
玩具用奴隷は非常に人気で、銀貨10枚から始まるも、すぐに100枚を超える。
ただ戦闘用奴隷より少し高いくらいだが、こういうのはやっぱり見た目と体付きで値段の上下が激しいみたい。
最初の9人が全員金貨を超える中。
最後の1人の番となった。
「最後の奴隷になりますが、こちらは感度抜群の奴隷でございます! ただ、一つ懸念点として、年中発情しております。『性欲発情症』を患っておりますので、それを理解の上、購入してください~!」
へぇ……そういう
「はい! 121番様! 銀貨10枚です! 次の方はいませんか?」
意外にも俺が札をあげると、ホール内にどよめきが起きる。
てっきりこういう奴隷の方が人気があるのかと思いきや、全く人気がない。
「ベリアルくん? その……なんていうか、凄く大変だよ……?」
「ええ。構いません」
「…………えっと……その……それが欲しいんなら私がいつでも……」
「ん? クルナさん? 今、何か言いました?」
「ううん! 何でもない!」
変なクルナさんだ。
とにもかくにも彼女を買う事が決まり、銀貨33枚で5人の奴隷を買う事が決まった。
早速支払い窓口で支払いをすると、5人を待たせている部屋に案内される。
奴隷は基本的に後ろ首に奴隷紋が魔法で刻まれており、魔法ギルドの魔導士クラスでなければ、付ける事は出来ない。
つまり、王国内で奴隷紋が刻まれた人には、ちゃんとした理由があって奴隷に堕ちている。
奴隷紋の契約書に名前を書き替え、出張してきた魔導士が名前を書き換えてくれる。
手数料として1人大銀貨1枚なので、魔導士さんに大銀貨4枚を支払う。
本人より高いって面白いな。
俺はそのまま5人の奴隷とクルナさんと一緒に家に帰ってきた。
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