第8話 半透膜は私の技術。戦争と平和よりナルトがすごいかも。

兎にも角にも空腹は辛い。でも空腹で意識が集中できない時にも、別の物に集中すると、空腹が消える。尿意もそうだ。ここぞという時にはツルツルの鼻水も止まる。

集中力とは何ぞや。


老婆の名前は小夏さんで、小夏さんは集中力だという。薄い1ベールが無限に重なっている。その薄いベールとベールの間に自分の世界が広がっている。ここに目印を付けておく。目印は私自身。私の意識もおいておく。1秒先の私にも、100年前の私の分子のかけらにも、3日後の私にも、私の意識と私の存在があるから、私は私の感覚だけを借りて持っていく。

私を脱ぎなさいと、小夏さんは言う。

きっとこの老婆は善意で退屈しのぎをしている。

私の意識が私を脱ぐと、感覚が向こうにいる。感覚の方が体を持っているように実体のない私を見ている。脱いだ私は実体がない。


私はここにいる。

感覚よ行ってこい。

私になりすまし、私を演じる私を匂って、その情報を私に認識させて。


意識は通さない、自己は通さない、半透膜のベールに溶け込むように

感覚は飛び出した。

どこで

振り向くと、小夏さんは泣いていた。


沢山ある物語。物語が沢山ある。

戦争と平和は面白かったと思う。読みながら登場人物を書き出して、どこで誰がキーマンになるかと見比べながら読んだが、対した関りがないままの人物がほとんどだった。ナルトはすごいよね。最近の漫画はどの漫画も、どこの敵にも正義があって、どこの味方の中にも悪人がいて、いい話だ。ワンピースも沢山の人生に出会う。

ナルトは味方から敵からと繙きながら、なおも味方と敵が絡まり続けた。


小夏さんは何故泣いた。意識は話さない。

感覚は思わない。

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