第6話 緑の導火線を通って花を咲かせる力を取り扱える人種に

  気付いて、感動はしていた方がいい。でも空腹を満たすには、生きていくためには、実動だ。そして花を咲かせる力も実動だ。実動に感動する。そして感動を実動で貪っていく。少し前に流行っていた、駆逐しているんだな。

 ナウシカは最後は虚無感と戦った。エヴァは神と戦った。エレンは歴史と戦った。子供が皆読めば、術として授かるか、それとも戦争をなくしてくれるかな。

でもユートピアなんてものも、生ぬるいってことは誰しも知っていることだ。

この世に清廉潔白の人とかいるかな、いたとして、何人か一緒に集まっても穏やかに暮らせるのかな。

 確かにノーガード戦法同士だったら、始まらないかも。

時間が流れて、慎ましくご飯食べて、歳とって。

 そんな暮らしを皆したいのかな。

 こんなことを考えなければいいのかな。


引っ越し前に別れた彼は、私が嫉妬するほどの才能を持っている。別世界にある才能で、私を惑わし、私を狼狽させる。

才能に憑かれている彼は私の本性を知っているかもしれない。

 彼だけだ、私の才能が嘘だと言う人は。暗い夜影に大蛇が這っているような

 私の感情は作り物だと言う。その通り。

 優しい光の中に居る人だ、戻りなさいと。僕に光を注してくれてありがとう   と。僕の影が君を侵してしまった、君の叫びは君に似合わない、

 本当は君は君のことを歌わない人だ、本当は万人に祈りたい人だ、と。

彼の言う通り、私のこの叫びが作り物であることにして、光の中の人に戻れと言うなら

私ではないものになれと言っている。私が万人の中の【私】に同調し、

他人の感情に気を執る、自分の現実よりも他者の現実を大事に扱い

万物に祈る性質に戻れと。


一番大事な人かもしれない彼を捨てた。それは私を、私の影をより育てる気がしたから。若さと野心が背中を押した。一瞬、一瞬が明暗を分けてしまう。


次のフィルター交換の作業に必要な新しい人を見つける。


 ちょっと大人。お母さんは宗教にはまっているが自分は関係ないと言った。

ものすごく優しい。声が低くて背が高い。髪はセミロングで艶のある綺麗な髪。

色気があって、結構モテる。

 でも言葉が安い。他人の人生を簡単に考えている。だから自分の人生に夢や目標を掲げていても、平凡に映る。

 私のチョイ魅せにも、動じずに自分の型にはめようとする。そうなれば、女は幸せにできると安易に考えている。

 地べたから這い上がろうとするエネルギーにも、天上から降り注ぐエネルギーにも気が付いていない。


野菜や果物はすごいでしょう、土の中から水と養分、太陽の光、それだけで

あんなもんをザランザランと実らせる。

花を咲かせてから。


あなたは気が付かないから、意識してないから、偉大なエネルギーは安い言葉だけをザルに残して…自力では花も実も咲かせれないかも。…でも無用の用。

安い言葉は、安い言葉と出会い結ばれ、花を咲かせるかも。

どんな小さなものにもエネルギーが存在して運動してる。

止まったかのようなものも、朽ちたものも朽ちたものとして

一存在として在る限り。


お色気セミロングにはすぐ飽きた。フィルター作成が先ずに不可。


才能憑依の彼の元へ戻る。泣いた。こちらの関係で沢山の感情が蜘蛛の巣を張ってくれた。フィルター交換の完了。


飛べる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る