第30話 鍵閉め→お泊まり

なーちゃん。

そしてりーちゃん。

俺はその2人を見ながら.....それからその中で。

愛しいりーちゃんを見ながら。

歩んで帰宅した。


「.....で、何でこの状況に.....」


「.....そ、それは分からない.....かも」


で。

俺の部屋にりーちゃんが泊まりに来る感じになった。

何故こうなってしまったのか。


考えながら俺は赤面でなーちゃんを恨む。

なーちゃんは鍵を閉めてしまい。

りーちゃんを締め出したのだ。

これも全て君達の為、と言いながらニコッとして、だ。


「こんな好きって判明した後に.....泊まれなんて.....」


「そうだな.....俺もめっちゃ恥ずかしいんだが.....」


「.....な、何か話そうか」


「.....そうだな。何を話す」


「.....どうして私を選んだの?決め手は何かな」


りーちゃんの言葉に!と浮かべながらりーちゃんを見る。

そんなりーちゃんは真っ赤になってモジモジしていた。

俺はそのりーちゃんに答える。


顎に手を添えて直ぐに。

俺な。お前の優しさに惹かれたんだ、と言う。

そしてお前のその笑顔に惹かれた、とも。


「.....そ、そうなんだ.....」


「.....俺はお前が結構前から好きになっていたのかもしれないな。.....その部分は分からない。だけどお前が好きだ」


「.....わ、私.....恥ずかしい」


「そりゃ俺だって.....」


すると手を差し出して来た。

りーちゃんが、だ。

それから、ねえ。私にネックレスを着けてくれる?、と言ってくる。

俺は赤くなりながら、お、おう、と返事をする。


「ネックレスがお前のなんだな」


「.....そうだね。私のはネックレス。.....そしてお姉ちゃんが腕輪だよ」


「.....なあ。失礼かもしれないけど聞いても良いか。手紙には何が記載されている」


「.....えっとね。.....なーちゃんへの心からの恨みかも」


「.....」


そうか、と思いながら俺は俯く。

そして考えていると。

りーちゃんは、でもね、と話を切り出した。


それから顔を上げて俺を見てくる。

子供の時だって君が好きだったからどうしようも無かったの、涙を浮かべる。

そして泣き始めた。


「.....こんなので良いのかな。本当に私で良いのかな」


「.....俺としては」


「.....?」


「.....俺としては.....なーちゃんの意思を汲んだって思ってる。だから.....俺はりーちゃんを大切にしたいって思う」


「.....グス.....」


りーちゃんは更に泣き始めた。

俺はその姿を見ながら、大丈夫か、と声を掛ける。

りーちゃんは、私.....馬鹿な女だよね、と言う。

俺はその言葉に、そんな事無い。誰だってそうだろ、と言い聞かせる。


「馬鹿だ.....」


「.....」


そんなりーちゃんの手を握りしめる。

それから俺はりーちゃんを真っ直ぐに見た。

ビクッとした.....りーちゃんの瞳を、だ。

そして笑みを浮かべる。


「.....りーちゃん。そう責めるな。りーちゃんもなーちゃんもみんな分かっているから」


「.....そうだね」


「.....お前が選ばれたのも全部.....あいつらは理解しているから」


「.....だね.....うん」


「そうやって居ても仕方が無い。.....な?」


そして握り締める。

するとりーちゃんは俺に向いてきた。

それから身を乗り出す。

そしてそのままキスをした。

俺は!?と思いながらりーちゃんを見る。


「.....幸せを.....還元するのが私達の役目かもね」


「.....だからと言っていきなりキスをするな」


「.....エヘヘ。柔らかいね。君の唇」


「.....恥ずかしい.....」


俺達はそんな会話をしながら。

ニコニコ笑顔になった。

何だか柔和になっていく。

全ての世界が彩られていく様だ。

まるであの日の正夢の様な。


「.....色が付いたな」


「.....色?」


「.....俺の世界に色が付いたって事だ。.....お前のお陰で。なーちゃんのお陰で」


「.....君は相変わらずだね。.....そうやって私達に笑顔を向けてくれる。.....幸せ」


「そうかな。.....俺は変わっていた方が嬉しいけどな。昔よりかは」


「.....私もかも」


そうだな、と言いながら俺達はクスクス笑う。

それからりーちゃんは、じゃあご飯を食べよっか、と言ってくる。

俺は頷きながら、そうだな、と返事をする。

そして俺は頷く。


「りーちゃんのやり方に任せる」


「.....任せて。とっておきを作るから待っててね」


「.....うん。.....なあ。りーちゃん」


「.....何?」


「.....有難うな」


ふふ。変なさーちゃん、と言うりーちゃん。

俺はその姿に、うるせえ、と言いながら頬を掻く。

それからそのまま食事が出るのを.....うん?

今日まさか泊まっていくのか?このお方。

帰れないし.....!?

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