第27話 参加の条件
ジューンブライドと言えば.....そうだな。
俺にとっては結婚式のイメージが有るという感じだ。
まあそれはなーちゃんか。
又はりーちゃんとの結婚の意味で、だ。
だけど俺はなーちゃんが好きだった様だった。
だけどそこら辺は曖昧になってしまった様だ。
色々な都合で。
深く考えなくてはいけない。
何というか待たせる訳にはいかない気がする。
全ての答えはもう少ししたら.....出そうな気がするから。
「ねえ。さーくん」
「何だ?なーちゃん」
「私.....綺麗かな。この髪形とか全部.....凜花がやってくれたから。だから綺麗かどうか分からない」
電車に揺られながら。
俺達はそんな会話をする。
混雑していた。
俺はその言葉に頬を掻きながら、綺麗に決まっているだろ、と答える。
するとボッとなーちゃんは赤面した。
「そ、そう?」
「とても綺麗だと思う。可愛い。何もかもがな」
「.....も、もう。可愛い.....って」
「周りを見ろ。お前の事.....モデルと勘違いされているぞ」
周りを見渡すとヒソヒソとこっちを見ながら会話が成り立っている。
俺はその姿に少しだけ赤くなる。
すると顎に手を添えたなーちゃん。
それから首を振る。
「モデルさんかぁ。でも私は君に好かれればどうでも良いけどね」
「.....お前な。恥ずかしいセリフを言うなよ」
「私はモデルとかなりたくない。そもそもさーくんに好かれたらどうでも良いから。そんなの。アハハ」
すると勢い良く電車が傾いた。
俺は、うおっ、と思い手を付いた。
電車の壁に。
すると至近距離になーちゃんの顔が。
キス出来そうなぐらい迫っている。
俺は、うわ!?すまん!、と立ち退く。
するとなーちゃんは俺の頬にキスをした。
そのまま俺の胸倉を掴んで、だ。
俺は!?!?!と思いながらなーちゃんを見る。
なーちゃんは、えへへ。油断したね、と笑顔を浮かべる。
「で、電車の中でする事じゃない!」
「でも私は隙を狙っているからね。アハハ」
「お前という奴は.....全く」
「私はさーくんが好きだから。問題無いよ」
「そういう問題じゃ無いっての.....」
俺は真っ赤に赤面しながら.....そのまま頬を掻く。
するとなーちゃんは俺の胸に寄って来た。
それから傾ける様に俺の胸に収まる。
俺はその事に少しだけ抱き締めた。
暖かい胸。
そして.....何よりも高鳴る心臓。
俺は赤くならずには居られなかった。
「.....暖かい」
「.....そうだな。お前もな。だけど電車内でする事じゃない」
「えへへ。私達.....イチャイチャなカップルに見えるかな」
「.....あのなぁ.....」
俺は赤くなりながらその姿を見る。
まあその.....俺も悪いんだけどな?抱き締めてしまったし。
俺は考えながらなーちゃんを見る。
そしてニコニコしているなーちゃんを見ながら。
電車は駅に着いた。
つまり目的の駅にである。
☆
目的の駅に着いてから俺達は駅階段を降りた。
それから外に出てみる。
少しだけ田舎な感じのこの駅の周辺の丘の上。
そこに.....ジューンブライドの会場がある。
そこは所謂本当の結婚式の会場の様である。
つまり結婚式が本当に挙げれる。
「ねえ。さーくんは結婚するならどんな式がしたい?」
「それはまあ.....確かな結婚式がしたいな。気持ちも確かな」
「ああ。そうなんだね。そんな結婚式もしてみたいよね」
私は君と結婚式を挙げるとするならやっぱり愛を誓いあいたいね、と笑顔を浮かべるなーちゃん。
俺は少しだけ赤くなりながらなーちゃんを見る。
なーちゃんは笑顔を浮かべたまま伸びをする。
そして俺を見てくる。
「さーくん。私はやっぱり君が好きだな。でも.....今は昔とは違うから好きという気持ちに素直に向き合ってね」
「.....そうだな。俺もそう思う。大切な気持ちだしな。真剣に考えるよ」
「.....ゴメンね。それにしてもずっと思っているんだけど君の気持ちを否定する様な.....このもどかしい気持ちが.....何とも言えない。やっぱり馬鹿だったね。私」
「それは仕方が無いだろ。お前が.....そうやって思うだけ有難いしな」
そして俺達は協会にやって来た。
それから会場を見上げる。
すると黒いスーツ姿の女性が俺達に声を掛けてきた。
もしかしてジューンブライドの参加者様ですか、と、だ。
俺達は頷く。
「そうですか。それでは協会内部にご案内致します。今回、此方の参加にあたっては条件が1つ御座います」
「え?条件?」
「はい。お2人に唇と唇でキスをして頂きます」
「.....はい?」
「へ!?」
俺達は真っ赤になりながら目をパチクリする。
そして顔を見合わせる。
そ、それが参加条件ですか?、と。
すると、はい、と笑顔を浮かべる女性。
「実はこのジューンブライドは大会を実施し景品がございます。しかしながら参加の条件としてはキスをして頂く必要がございます」
「そ、そんな.....」
「.....困ったな」
俺は顎に手を添えて考える。
そしてなーちゃんを見る。
なーちゃんは意を決した様に顔を上げる。
それから俺を見てから前を見据え.....この様に話した。
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