第24話 母親は違えど繋がっている凛花と瀬奈
そもそも誕生日のプレゼント、か。
俺は.....考えながら顎に手を添えてみる。
隣に引っ越してきた2人は今一緒に暮らしている。
その2人の声の聞こえる壁を見ながら.....考える。
最高のプレゼントとは.....何なのか。
「なんて思い浮かべてもな.....これも曖昧だしな」
俺は考えながら.....奥の襖を見る。
そこには俺の品物が入っているが.....そういえば思い出した。
俺は.....この場所に大切な物を仕舞っている。
確かそれは.....約束のノートだったな、と思う。
2人と交わした、だ。
「.....ノート.....か」
襖を開けて段ボールを取り出す。
古ぼけた郵便局の段ボールを。
そして開けてみる。
漁ってみる.....。
ノートがあった.....ん?
何か大きな錠剤の様なカプセルがある.....のだが。
俺は?を浮かべて捻って開ける。
そこには.....2通の手紙が入っていた。
そして.....玩具のネックレスと腕輪が.....入っている。
まさかこれは、と思って俺は.....そのまま見ない事にした。
いやちょっと待て。
タイムカプセルか?
こんな場所に仕舞っていたのか.....!?
何故この場所に.....!?
「.....え?何でこの場所に.....」
思いながら昔を思い出す。
そしてハッとした。
確か.....2人は俺に用事があるとタイムカプセルを埋める様に預けたんだが。
俺は2人のタイムカプセルを持って帰ってしまっていた。
何故なのか。
それは.....知りたくなかったから。
何を?
簡単である。
「.....俺.....好きな人が居る.....?」
愕然としながら.....俺は膝から崩れ落ちる。
そして体操座りをした。
じゃあこれを読めば全ての真実が?
明らかになる.....のか?
だけど。
「.....駄目だ。勝手には読めないな」
考えて俺はタイムカプセルを仕舞った。
そして顎に手を添えて喉を鳴らす。
ゴクリ、と。
何てこった.....俺も用事があったからタイムカプセルを埋めれなかった事が.....こんな形で明らかになるとは。
だけど開けれない。
教えれない.....!
どうしたら良いのだ?
「馬鹿野郎だな俺も大概」
そう考えつつ俺は段ボールを仕舞ってから。
そのまま目的のノートを読む。
そこにはこう書かれていた。
日記だったが.....だ。
僕は2人と結婚します、と。
我儘だな、と思う。
「.....子供の頃の俺よ。無理だぞそれは」
俺は言い聞かせながら.....苦笑する。
そしてページを捲る。
そこには古ぼけた紙に色々書かれていた。
それから最後のページ。
そこに.....写真が挟まっていた。
「.....!」
それは.....3人と最後に撮った写真だ。
そしてこう書かれている。
僕は.....と結婚する事にしました、と。
だが古ぼけている。
その.....の部分が掠れている。
だけどその。
意図的に消した様な痕跡になっている。
「.....でも.....これ。『な』.....と読める.....まさか.....」
「さーくん」
「.....!?.....うわお!?ビックリした!?何やってんだお前!!!!?」
背後に何故かなーちゃんが居た。
俺は!?と思いながらなーちゃんを見る。
なーちゃんは、それまだ持っていたんだね、と困惑している。
俺は、お前これを知っているのか、と問いかけると。
なーちゃんは俺を見てきた。
「.....私に告白したの覚えてる?」
「.....やはりこれを消したのはなーちゃんか。何でこんな真似を」
「.....そうだね。全部消したのも私だね」
「何でそんな真似を.....」
「簡単だよ。.....私ね。りーちゃんと生き別れた姉妹って事になってるから。.....凛花ちゃんに譲った形かな。妹に」
俺は数秒考える。
それから思いっきりハッとして、お前.....それはマジか?、と聞く。
すると何かを取り出したなーちゃん。
それは.....何かの書類。
赤ちゃんのゆりかごの.....手続き書類。
え.....こ、これは.....。
「.....じゃあお前とりーちゃんは姉妹なのか!?」
「凛花ちゃんの親御さんが再婚だってのは知ってる?」
「.....じゃあそのりーちゃんの親が再婚する前の話かこれは」
「.....そうだね。凛花ちゃんは知らないと思う。先に産まれた私が都合で.....養子に出されたの。仕方がなかったの。色々あったんだけどね」
「.....お前の本当の親とは連絡しているのか」
「してる。凛花ちゃんに話しているのかは分からないけど。りーちゃんは今のご両親の中で産まれたんだよ」
それでこんな簡単に1人暮らしを認めたのか。
なーちゃんの親御さんが。
何が起こっているんだ。
俺は思いながら考え込む。
そうしているとドサッと音がした。
「.....」
「.....りーちゃん.....!?」
「それって本当に?」
「.....凛花ちゃん.....。まあ本当って言ったら本当だけど」
「私にかなり前にお姉ちゃんが居たって事は知ってる。再婚前に持病の影響で養子に出されたって事も。だけど.....それが.....瀬奈ちゃんなの.....!?」
嘘でしょ、と言いながら涙を浮かべていくりーちゃん。
俺はその姿に、マジかよ、と思いながら俯く。
それからなーちゃんを見る。
私は凛花ちゃんが妹だって結構昔から気付いた。.....だけどそれでも言い出せなかったの。御免なさい、と。
「.....じゃあ矢那先輩は.....」
「血が繋がってないよ」
「.....何でこんな事を今の今まで黙っていたんだお前は.....!?」
「簡単だよ。.....私は.....幸せになっちゃ駄目なんだって思っていたから。さーくんの告白は嬉しかったけどね」
「.....!」
なーちゃんは、私はそんな資格は無いから、と俯く。
それから悲しげな顔をした。
何でそんな事を言うの.....お、お姉ちゃん、と言いながらりーちゃんはかなり酷くショックを受けていた。
こんな事って有り得るのか.....現実で?
え?でもちょっと待て。
それだったら1年ぐらい違うんじゃ無いか俺達は?
思ったが.....そうか.....。
誤差は修正したのか、と納得してしまった。
先産まれとかあるし.....、と。
何てこった.....。
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