第23話 誕生日の準備(大幅改訂)

「凛花ちゃん.....風邪薬は飲んだって言うけど大丈夫かな」


「そうだなまあ大丈夫じゃないかな。俺も見ているしな。ぐっすり眠っている」


「.....そうだね。何かあったら気付くよね」


夕方になった。

瀬奈と凛子が片してくれたお陰で色々と事が片付いた。

凛子だけが、家の用事が、門限が、という事で帰り。

結局、片付けと引っ越しの準備は1日も掛かってしまい。


ほぼ2人に任せっきりになってしまった。

俺は、あちゃー、と思いながら額に手を添える羽目になってしまい。

寝ているりーちゃんを見ながら考えながら居ると。

瀬奈はうっとりした様にりーちゃんを見た。


「何だかこうしているとお姉ちゃんが風邪を引いた時の私を看病していた頃を思い出すなぁ.....」


「.....そうなのか」


「うん。きっとこんな気持ちで見ていたんだろうねって思える」


それに何だか赤ちゃんみたい、とクスクス笑う瀬奈。

俺はその姿に、だな、と笑顔を浮かべる。

瀬奈は、私と君の間に子供が出来たらこんな感じかな、と言ってくる。

何を言ってんの。


「.....お前な.....」


「エヘヘ」


「.....まあこんな感じかもしれないけど。だけどまだ早い」


「だね。全て早すぎるよね」


言いながら瀬奈は少しだけ複雑な顔をする。

それから俺を見てきた。

その、と言いながら。


「.....私.....さーくんの隣に引っ越して良かったのかな。凛花ちゃんの突然だったけど提案についつい乗っちゃったけど」


「いや。良いに決まっていると思うぞ。りーちゃんがせっかくした配慮だからな」


そうだね.....さーくん。

と笑みを浮かべながら瀬奈は笑みを浮かべる。

そして、みんな優しいよね、と柔和になる。

俺はその姿に、そうだな、と笑みを浮かべた。

それから瀬奈を見る。


「瀬奈。.....お前も変わったよな」


「?.....どう変わったかな」


「.....前は全部で、俺俺俺、的な感じだったけど。.....でも何だか穏やかになったって感じかな」


「.....そうかな。.....凛花ちゃんが優しいからその分を恩返ししているだけだよ」


「でも変わった事は事実だ。.....それから来週、楽しみだな」


「そうだね。楽しみ。とっても楽しみ」


言いながら瀬奈は俺に笑みを浮かべながらりーちゃんを見る。

心配げな感じでである。

俺はその姿を見ながらりーちゃんを見ると。

りーちゃんが目を覚ました。


「あ.....おはよう」


「.....おう。多少はマシになったか。りーちゃん」


「そうだね。.....ゴメンね。ずっと眠っていて」


「.....いや。良いよ」


「.....夢を見てたの」


「.....?.....どんな夢だ?」


やっぱりタイムカプセルの夢だね、と笑みを浮かべて言ってくるりーちゃん。

俺はその言葉に見開きながら、そうか、と返事をする。

なーちゃんも、タイムカプセルはやっぱりキーワードだね、と話す。

そうだな、と思う。


「.....タイムカプセルで全てが決まるって事だね」


「.....恐らくはな.....だけどもう手に入らないだろ」


「そうだね。今頃は粉砕されているだろうし」


「.....または埋め立てられているだろしね」


「.....そうか」


俺は顎に手を添える。

そして考えてみる。

タイムカプセル.....をどうにか取り戻す方法は無いのか、と思ったが。

すると2人は顔を見合わせた。

それから、でもね、と言ってくる。


「私達にはもうそんなもの必要無いかなって近頃思い始めたんだ」


「そうだよね。大切な事だけど」


「.....?......それはどう言う意味だ」


「.....つまり運命はそれで決めたらダメって事だよ」


「やっぱりそう思い始めたから」


「.....成程な」


そんな会話をしながら徐々に話は7月1日の話になった。

所謂.....りーちゃんの誕生日だが。

するとりーちゃんは、誕生日.....いっぱいお祝いしたいけどでもやっぱりみんなで楽しむのが一番良いかな、と笑顔を浮かべた。

俺はその言葉になーちゃんと顔を見合わせる。


「そうだな。確かにな」


するといきなりなーちゃんが立ち上がった。

それから俺の手を握ってくる。

さーくん。ちょっと良いかな、と言いながら。

そして俺達は外に向かう。

それから玄関を閉めた。


「.....?.....どうした?」


「誕生日プレゼントを買いに行きたいなって」


「.....ああ。そうだな。確かに」


「.....だ、だからその.....デートして?」


「.....は!?」


俺は真っ赤になる。

それからなーちゃんを見る。

なーちゃんは赤くなりながら唇を噛んでいた。

そして俺を見上げてくる。


「.....ジューンブライドの準備もしないと」


「.....わ、分かった」


「.....折角、凛花ちゃんがくれたチャンスだから無駄にしたくない」


「そうだな。.....分かった」


それから俺達は頷き合ってから。

そのまま.....部屋に戻る。

何の話だったの?、と聞いてくるりーちゃんに、デートの話、と答えたなーちゃん。

俺は、ほあ!?、と思いながらなーちゃんを見る。

なーちゃんは隠し事は良く無いからね、と笑顔を浮かべた。


「瀬奈ちゃん.....」


「.....これから先も出来るだけ共有したい。.....それでさーくんとの約束を叶えたいって思うから」


「.....」


「.....だから.....これから先も仲良くして下さい」


「.....分かった。瀬奈ちゃんが言うなら」


それから手を握った2人。

すると、先ずはこの部屋に来る時の順番決めからだね、と言い始めた。

何言ってんの?お2人さん?

俺は思いながら.....苦笑いを浮かべた。

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