様々な花束
第15話 凛子が想う大切な人
りーちゃんが俺の部屋の隣に引っ越して来る.....。
何故そうなってしまったのか俺にも分からん。
眉を顰めて考えながら目の前の凛子の背中を見る。
それからもう一度考えた。
するとそれを見透かしてか凛子がこう言ってきた。
「お姉ちゃんに変な事をしないで下さいね」
「.....いや。しないけどな。.....ただ単に驚いているだけだ」
「ですよね。私も本当に驚きましたから。こんな事を娘にするんだって。でも私は反対しましたよ一応。.....でも最終的にはこうなってしまいましたが」
すると凛子は、味良し、と鍋に向かって言いながら俺の側にやって来た。
それから俺を見てから前を見る。
お姉ちゃんを.....お願いします、と言いながら。
俺はその姿に周りを見渡して綺麗になった部屋を見ながら。
分かってる、と返事をした。
「お前の自慢のお姉ちゃんだもんな」
「そうです。私にとっては.....かけがえの無いお姉ちゃんです。色々と有りましたけど.....私にとってはとても大切な姉です」
その。お兄ちゃん。私のお話を聞いてくれますか、と言ってくる凛子。
俺は?を浮かべながら凛子を見る。
凛子ちゃんは、私はお姉ちゃんがお兄ちゃんを好きになるのは許せないです、と。
その言葉に、そうか、とだけ返事をした。
それから、私のお姉ちゃんは偉大です。.....だから譲りたく無い気持ちが沢山です。でもお姉ちゃんはお兄ちゃんの側だと本当に嬉しそうですから、と俯く。
「私は子供ですね。まだまだ未熟です」
「.....凛子」
「.....はい」
「誰だって知っている人でも大切な人を取られたく無いのは事実だ。これは.....どの人にも当て嵌まると思う。例えば.....親でもな。送り出す娘を見たら泣くのと同じだ」
「ですね」
「.....俺達の関係はあまりに複雑だ。だけどな。大切にしたいんだ。全てをな」
お兄ちゃんは優しいですからね、と言いながら俺に寄り添ってくる。
俺は、オイオイ。その様な.....彼氏でも無いんだから、と言うが。
だってお兄ちゃんはお兄ちゃんですから、と笑顔を浮かべる凛子。
それから俺の頬を突いてくる。
「お兄ちゃんは逞しくなったですね」
「それはまあな。筋トレとかしているしな」
「.....ですね。筋肉がガチガチです」
「ああ。細いけどな」
「.....」
凛子は笑みを浮かべる。
それから俺にこう言ってきた。
実はですね。お姉ちゃんもそうですが私も貴方が好きです、と。
俺は、え、と目が点になった。
それから、ホァ!?、と真っ赤になる。
「姉妹で同じ人を好きになるなんておかしいですよね。本当に。でも私は貴方が好きですよ。異性として好きです」
「.....り.....凛子.....!?」
「でもですね。私はどうでも良いです。問題はお姉ちゃんです。お姉ちゃんの気持ちを叶えて下さい。私の恋なんてどうでも良いですから」
「.....」
凛子は胸に手を添える。
そして、かなりドキドキしますね。告白って、と赤面で苦笑した。
俺はその姿を見ながら笑みを浮かべる。
それから、だな、と返事をした。
「迷った時は.....光の射す方へ行って下さいね」
「.....ああ。そうだな」
「.....私はあくまでお姉ちゃんとお兄ちゃんが結ばれる事を.....節に願っています」
「凛子。俺は頑張るよ。お前の為にも全ての為にも」
「.....はい。お願いします」
そうしていると笑顔だった凛子は。
あ。お姉ちゃんにちょっと電話掛けてきますね、と凛子は表に飛び出す。
俺は、おう、と返事をしていたが。
暫く経っても電話の声がしないので.....小窓から覗くと。
目の前の通路で凛子はくすんくすんと鼻を鳴らして泣いていた。
失恋した女の子の様に、だ。
俺はそれを見てから胸に手を添える。
それから小窓から離れ.....壁をずずっと背もたれにした。
☆
「美味しいもんだな」
凛子が帰ってから。
思いながら今日の凛子のメニューを食べる俺。
今日のメニューは卵そぼろと肉そぼろの二色丼というもの。
そして卵のスープに野菜サラダ。
それから肉団子。
俺は満足げに食っていた。
しかし.....。
「.....胃がつっかえるな.....」
消化不良だ。
胸の臓器が、だ。
失恋した様に泣いていた凛子を見て、だ。
俺はその姿を見てから心の中でつっかえるものがあった。
それからこう決意していた。
意思を尊重しよう、と思いながら。
まだ決めれないけど。
全てが、だ。
思いながら二色丼を平らげてから空を見上げる。
夜空が見える窓を開けていた。
「.....俺はどうするべきなんだろうな。マジに」
色々な人達に恋をされる。
だけど.....その願いに応えれない。
でも好きなんだ。
俺が最も好きなのは誰なのか。
思いながら空を見上げる。
満月が星々が、輝いていた。
「.....さて.....遅くならないうちに.....来週の為に勉強すっか」
複雑だけど.....。
俺は考えながらそのまま勉強道具を取り出してから。
そのまま勉強を始める。
考えてもどうしようも無い気がするから。
それから2時間ぐらい勉強して俺はそのまま横になった。
そして翌日を迎える。
土曜日を、だ。
今日は水族館デートの日だ。
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