第14話 マジに色々と有り得ないんだが

りーちゃんは戦っていた。

それも1人で孤独に.....。

俺はその思いを抱きながらカラオケ屋に行っていたが。


複雑な思いであまり楽しむ事が出来なかった。

だけど周りはそれを理解した様に楽しんで盛り上げてくれて。

最早.....感謝しか無い。

俺は考えながらカラオケ屋で取り敢えずは盛り上がった様に居るとカラオケ屋の外にりーちゃんに呼び出された。



「ゴメンね。暗い話をして。それで.....気分沈んだんだよね。ゴメン。本当に」


「.....いや。気にするな。有難うな」


「でも私が気になる。今話すべきじゃ無かったね」


「俺としては助けを求めても良かったって腹が立った」


「.....そっか」


優しいね君は、と夕焼けの下で笑顔を浮かべながら俺の頬に手を添えてくる.....りーちゃん。

当たり前だと思う。

だって俺の好きだった女の子で。

仮にも今は違うとしても大切で.....とても大切な女の子だ。

俺にとってはかけがえのない存在である。


「お前は一人で抱え込む事がある。.....だから今度から何かあったら話してくれ。何でもいい。俺に頼ってほしい」


「.....うん。やっぱり君はさーちゃんだ。アハハ。格好良いさーちゃんだ」


「そんな誤魔化しは要らない。俺は本気でお前が心配だ」


「.....だね。正直.....まださーちゃん以外の人に言葉が上手く出てこない事もあるよ。でもさーちゃん。大切に思ってくれて有難う」


言いながら俺を見てくる。

俺はその姿を見ながらグッと拳を握り締める。

そしてりーちゃんを見る。

そうしているとりーちゃんは、ねえ。ちょっと路地裏に行かない?、と言ってきた。


何?、と思いながら居たが。

りーちゃんは早々に手を握ってからそのまま横の路地裏に。

それから俺に向いてきた。


赤い顔で、だ。

俺は、???、を浮かべながら見る。

するとゴクリと喉を鳴らした様な感じで俺を見上げてきたりーちゃん。


「ちゅーされたんだよね。.....瀬奈ちゃんに」


「.....な、何でそれを知っている」


「.....頬だけど.....知ってる。ちゅーしたって言ってたから」


「.....そ、そうか。で.....こんな光が差さない場所で.....何をする気だ」


「それは決まっているよね」


言いながら俺の頬を持つ。

それからそのまま俺の頬にキスをした。

俺はビックリしながらりーちゃんを見る。

私が.....君の唇にキスをするのは先の話だよ、と言ってくる。

いくら子供の時にちゅーをしたとしてもね、とも。


「大切な人にちゅーをしないと駄目だからね」


「.....!」


「私は.....君がとても大切だけど今はこれで止めておくから」


「.....りーちゃん.....」


「え、エヘヘ。隠れながらだけど頬にちゅーって恥ずかしいね。.....やっぱり好きな人に対象になると」


「そうだな.....」


それからりーちゃんは、戻ろっか、と言ってくる。

俺は頷きながら路地裏から出る。

そしてりーちゃんは店内に戻ろうとする。

その後ろ姿に、りーちゃん、と声を掛ける。


「どうしたの?」


「.....お前は一人じゃないからな」


「.....!」


「.....今度は一人じゃない。だから.....頼れよ。絶対に」


「うん.....」


涙を浮かべながら、君がアメリカに一緒に居たら.....良かったのに、と涙を流す。

それを拭いながらりーちゃんは、有難う、と言いながら笑顔を浮かべた。

それから俺は苦笑しながら戻る。

そしてそのままカラオケパーティーは.....終わった。



「.....りーちゃんにキスをされたんだな.....俺」


思いながら夕焼け空を見上げる様な形で自室で寝っ転がっていた。

それから悶える。

ヤバい.....何ていい香りだったんだりーちゃん。

俺は、瀬奈とは違ってまた別の香りだった、と言いながらゴロゴロ転がる。

そうしているとインターフォンが鳴った。


「ん?」


俺は玄関を開ける。

するとそこには.....凛子ちゃんが立っていた。

食材を見せてから、宅配でーす、と棒読みする。

俺は苦笑いを浮かべながら、そ、そうですか、と言う。


「今日もまた作りに来たのか」


「うん。お兄ちゃんの為にね」


「.....そんな毎回作りに来なくても良いぞ?お前忙しいんだろ?」


「何?お兄ちゃんは私が来るのが嫌なの?」


「いや。そんな事は無い.....んだが」


俺は再び苦笑い。

すると凛子ちゃんは俺を押し退けてそのまま入った。

それから、お兄ちゃん。部屋が荒れてる、と言ってくる。

俺は、ですね、と額に手を添える。


「もー。馬鹿なの?お兄ちゃん。この前お姉ちゃんが片したのに」


「.....そうだな.....うん」


「まあ良いかな.....お話もしたかったし。丁度良いかも」


「?.....何の話だ」


「このアパートの横の部屋って空室でしょ」


「.....?.....そうだな。住人が引っ越してしまったんだが」


その横の部屋にお姉ちゃんを引っ越しさせる事に決まったの、と言う.....今何つったよ?、と思い俺は目を3度ぐらいパチクリしてから。

そのまま凛子ちゃんを見る。

聞き間違いか?


凛子ちゃんは、お姉ちゃんの通学費を抑える為とかうちのお母さんとか言っているけど.....でも実際は違うと思う。実際はお姉ちゃんをお兄ちゃんと結婚させる為の口実だと思うから、と言ってくる。

マジに嘘だろ。


「だから攻める事にしたって事。私も賛成したから。お姉ちゃんが子のアパートの横に引っ越すの」


「お前はアホか!!!!!賛成するな!!!!!俺はあくまで男だぞ!?嘘だろお前!?」


「何?お兄ちゃんはお姉ちゃんの裸にでも興味あるの」


「ねーよ!失礼だな!?」


「じゃあ大丈夫でしょ」


良くない!っつーか!

親も親だな!昔から変わってねぇ!!!!!

俺は頭をガリガリしながら居ると。

お姉ちゃんから伝言を預かったよ、と言ってきた凛子ちゃん。


「『毎日お料理作れるし宜しくね』だって」


「.....!!!」


娘の意見とか言葉を聞き入れろよ親は。

え?マジに引っ越して来るの?

俺の家の横に?

あまりの衝撃なんだけど。

考えながらモヤモヤと煩悩が浮かぶ。


「お兄ちゃん。何を変態な事を考えているのかな.....?」


「考えてないけどな?」


「.....嘘だね。お兄ちゃんのすけべ」


「.....」


仮にも昔の好きだった人が身近になると.....。

俺の心臓マジ持つのかな。

隣に暮らすってお前.....。

考えながら俺は肩を落とした。

色々と不安だ.....、と思いながら。

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