第12話 担任の八熊に救われた過去
瀬奈がギャルの格好を辞めた。
俺はその事に衝撃を受ける。
教室でも、一体何だ?、とか。
瀬奈ちゃんってあんなに可愛かったのか?、とか。
ハスハスペロペロしたい、とか。
そんな言葉.....オイ。
ラストに言った奴は張り倒すぞ。
何言ってんだコラ。
俺は思いながらジト目で周りを見渡す。
チヤホヤされている瀬奈を見ながら。
「.....全くな」
と苦笑する。
すると舘島が俺を見てきた。
何だか変わったよな、瀬奈ちゃん、と言いながら。
俺は柔和に、だな、と返事をする。
それから見ていると。
「.....むむむ.....」
「お、おう。どうした。りーちゃん」
「.....瀬奈ちゃんが可愛いから困ってる」
「.....そ、そうか。成程な」
「.....可愛いと思わない?」
「そうだな。確かにな」
俺達はそんな会話をする。
すると瀬奈が、ちょっとゴメン、と言い出して俺に寄って来た。
ニコニコしながら、だ。
そして、ね。何の話をしているの?、と聞いてきた。
俺達は顔を見合わせてから、お前が可愛いって話だ、と苦笑い。
「.....もー。またそんな事」
「事実だろ。お前可愛くなったよ。瀬奈」
「.....そうだね。でも私が可愛いのは君のお陰だから」
「「「「「ぶっ殺す!!!!!」」」」」
落ち着け猿ども。
俺は思いながらマウンテンゴリラの様な腐れどもを見る。
それから、どうどう、と言い聞かす。
すると瀬奈はとんでもない事を言った。
「もうあんな事もしたしね。重要な関係かな」
「.....瀬奈。お前もう黙って」
「「「「「埋めるぞ!!!!!ハゲコラ!!!!!」」」」」
「「「「「きゃー!!!!!」」」」」
男女の教室が喧しいんだが.....。
俺は思いながら居るとチャイムが鳴った。
それから先生が入って来る。
その先生は八熊だった。
次の時間な〜自習だわ〜、と言う。
「恋バナでもしてくれや」
「先生!この状況を止めてくれ!!!!!」
「?.....何で?」
「首を傾げるな!?」
何で?、じゃねーよ!
俺は思いながら盛大に溜息を吐く。
それから俺はウホウホ言っている奴らに捕まった。
そして血祭りに上げるぜ!、と言う。
裏山に埋められる!!!!!
「やめて差し上げろお前ら」
「.....舘島の親分!?」
「.....ソイツは.....2人の大切なお人だ。.....だから虐めてやるな。.....まあボコるのは多少なら良いけど」
「きちんと止めろ馬鹿野郎!!!!!」
舘島!お前ややこしくすんな!
俺は思いながらそのまま、わっしょいわっしょい、されながら。
そのまま教室で逃げ回る。
八熊はニヤニヤして俺達を見ていた。
「でも良かったじゃないか。佐野島」
「.....?.....何がですか?」
「.....入学当時は考えられないぐらいに明るくなったよなお前」
「.....!」
「俺としては.....嬉しい限りだよ」
当時は暗かったしな。
八熊は言いながらそのまま教卓に突っ伏す。
いやアンタそれでも先生か。
俺は思いながら苦笑する。
そして居ると。
「そうだ。なあ。舘島」
「何だ?」
「今度みんなでカラオケ大会行かないか」
「ああ。えっと.....誰を誘う?」
「俺とお前と瀬奈とりーちゃんとか凛子ちゃんとか」
「.....?.....凛子ちゃんってのは何だ」
ああ。えっとな。りーちゃんの妹だ、と紹介する。
マジかよ、と舘島は驚く。
それからそれは楽しみだ、と言い出す。
なら契約は成立だな。
「しかしお前さ」
「.....何だ。舘島」
「.....変わったよな。入学時よりな」
「まあそれは.....お前とか八熊先生のお陰だよ」
その八熊は爆睡していた。
教卓の上で上半身を投げ出して、だ。
オイ、アンタ本当に担任か?
俺達は思いながら顔を見合わせてニヤッとする。
そして八熊の顔に悪戯書きをした。
☆
八熊は、やられたわー、とスマホの画面を見つつマーカーで書いた髭を消していた。
俺達はハイタッチしてから見ていると。
そのまま八熊は、悪戯がきついぞお前ら、と言ってくる。
いや。寝ている方が悪いだろ。
思いながら居ると八熊はチャイムの音を聞いてから去る。
「じゃあ次の時間、頑張ってな。あ。そうだ。.....佐野島」
「.....はい?」
「.....一緒に来てくれ」
「?.....分かりました」
八熊が言いながら俺を呼び出す。
そしてそのまま八熊の後ろに付いて行くと。
生徒指導室に連れて行かれた。
え!?俺なんかしましたっけ!?
「いやお前。何をビクビクしてんだよ」
「いや!?当たり前でしょう!?一体何故、俺はこんな場所に!?」
「.....ああ。えっとな。悪い話じゃないぞ。お前について話したい」
「ああ。そうなんですね.....良かった」
俺は心底ホッとしながら部屋に招かれる。
それから八熊が対面に俺が手前に。
そんな感じで座る。
そうしてから八熊は俺を見てきた。
「楽しいか。今の学校生活は」
「はい」
「.....そうか。.....お前さん.....何だか一人ぼっちだったからな。.....だからお前さんに友人が出来たのは.....俺にとっては心底嬉しかったよ。1年から担任しているが」
「.....先生.....」
俺としては.....お前が明るいのが嬉しくてな。
ずっと一人ぼっちっぽかったお前に.....彼女や友人まで出来てよ。
何だか.....俺は本当に良かったって思ってる。
当時のお前は死にたそうな顔をしていたしな、と。
俺に八熊は向いてくる。
「.....何であんな顔をしていたのか分からないが.....」
「今だったら言えます。.....悲しかったんですよ。幼馴染が2人も居なくなって.....です。それから何だか暗い印象で教室で省かれていましたから」
「そうか。高校は楽しいって事だな」
「八熊先生も居てくれるお陰です」
「そうなんだな」
俺は何もしてないが.....暗いお前に叩き込んだだけだからな。
と笑顔を浮かべる。
そんな八熊先生は、んで?本命はどっちだ?、とニヤニヤしながら聞いてくる。
アンタって奴は.....。
「俺には決めれないですよ。どっちも良い娘ですから」
「.....そうか」
「.....反撃ですが先生に好きな人が居るの知っています。俺」
「ブハァ!!!!!」
何を言うんだオメーは!!!!!、と俺を真っ赤で見てくる八熊先生。
俺はニヤッとしながら、とっても可愛い1年生の担任の新卒の新島はるか先生ですよね、と言う。
オウ.....、と額に手を添える八熊先生。
俺はその姿に苦笑しながら、応援しています、と言う。
「ま、まあお前も頑張れ」
「いや。ちょっと待って下さい。教師のいう事じゃないですねそれ」
「はっはっは!俺は教師擬きだから!こういう恋バナは好きなんだ!」
「.....」
俺は顔を引き攣らせて苦笑しながらも。
そのまま生徒指導室を後にしてから。
顎に手を添えてかつての事を思い出す。
そして頷く。
そうだな。
八熊先生が、舘島が、居たから.....だ。
今の俺があるのは。
思いながら俺は窓から晴天の空を見上げてから。
そのまま教室に戻った。
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