第2話 現許嫁と元許嫁(改訂)

冷凍庫か何かかな此処は?

俺は考えながら青ざめていた。

本気で何かが寒すぎるし視線がめっちゃ冷たい。

考えながら俺は震えながら目の前の元許嫁のりーちゃんを見る。


そしてその横に立っている眉を顰めている現彼女の瀬奈を見る。

何このバトル?

かなりヤバいんですけど。

思いながら俺は舘島を見る。

舘島も眉を顰めていた。


「オイ。真面目に助けてくれ。舘島。ヤバい」


「喧しいわ。お前というカスは。真面目に死ね。裏山死んでくれ」


友人はその様にこの世を終わらせるかの様に吐き捨てた。

それから俺をジト目で見つめてくる。

あてにならない友人であった。

俺は盛大に溜息を吐きながらそのまま立ち上がる。


そうしてから逃げる為に、よし。トイレに行って来よう、と大きな声で言う。

すると、じゃあ連れションだね、とゆっくりと椅子を鳴らして立ち上がるりーちゃん.....へ、ファ!?

まさかの言葉にギョッとする教室。

それから目をパチクリし始めるみんな。


「い、いやちょっと待て!?お、お前!小学校時代と今は違うぞ。真面目に何を言ってんだ!」


「え?.....連れション嫌いなの?」


「そういう意味じゃないが!?だけどヤバいんだよお前の言動が!」


「じゃあ良いよね♪連れション連れション♪」


何かその。

ヤバすぎるんですが。

男子達が.....怒り狂う様な猛獣の如く俺を見ている。

女子達はキャーキャー言いながら真っ赤になっている。


俺はいつか食糧にされると思うんだが。

この野蛮な男子どもに。

そう考えながら顔を引き攣らせていると。

ちょっと待って!、と瀬奈が言った。


「.....?」


「裕介は私の彼氏だから!駄目!」


「その前に私は許嫁としてさーちゃんとお付き合いしたよ。あくまでアメリカに行った時もお別れを言った訳じゃないので。貴方のものかもしれませんが今からは私のものでもあります」


「は、はあ!?そんな屁理屈....通用しないよ!」


と言うか貴方.....何処かで見た様な?、とりーちゃんは言う。

俺は?を浮かべて瀬奈を見るが。

瀬奈は、う、と言い淀んだ。

何だろう、と思いながら見ていると。


りーちゃんは、まあ何にせよ私の方がさーちゃんを好きになったのはメチャクチャに早かった筈なので、と言い放つ。

それからギュッと俺の腕に自らの腕を絡ませる。

そして頬をプクッと膨らませる。

胸が当たっているのだが。


「この条件とかが嫌なら別れて下さい」


「無茶苦茶だなお前さん!?」


「.....」


瀬奈は困惑しながら唇を噛む。

何か知らんが修羅場になってないですかね。

俺は思いながら横を見る。

そこにはゴリラとか猿とかが入り混じった生物達が居た。


両指で中指を立てて俺達を見ている。

お前らはポプ◯ピピッ◯のキャラクターか何かかな。

思いながら見ていると。

じゃ、じゃあ私は.....、と瀬奈が意を決した様に呟いた。

それから顔を上げる。


「私は絶対に諦めない。絶対に好きだから。裕介が。貴方が右側なら私は左から攻めるから」


「.....お、お前ら.....」


「ふーん。そうなの。まあどうでも良いけど。私はさーちゃんの許嫁で格上なので私は右側から奪っていくから。誰にも何も言わせない」


「お前らな!俺はトイレに行くっつってんだろ!取り敢えず止めないか!」


ああもう!

この教室は暑すぎる!

デッドヒートしている!!!!!

俺は思いながら腕を振り払ってからそのままダダダと走って行く。

うおおおお!!!!!、という感じで逃げる感じで、だ。



「あ。やっぱり此処に居たね。さーちゃん」


「へあ!?お、お前!?よく分かったな!?」


「私は5年近くも一緒に居たんだよ?それぐらい分かるよね?幼馴染としてもね」


屋上でこの先をどうするか考えていると。

りーちゃんが屋上の扉を開けてそのままやって来た。

俺は赤くなりながらりーちゃんを.....見る。

りーちゃんは笑顔を浮かべて俺に近づいて来る。

それから黄昏れる様に彼方を見た。


「ね。さーちゃん。早速だけど」


「何だ」


「キスしよ」


「.....いやお前は馬鹿なのか?俺には彼女が居るって言ってんだろ。昔と次元が違いすぎるんだぞ」


「えー。昔はあんなにキスしていたのに。チュッチュチュッチュ的な感じで幼い頃」


何を言ってんだ!

思い出してしまうわ!

俺は真っ赤になりながら顔を覆う。


もうそれ忘れて!ガチに幼稚園時代の黒歴史だから!!!!!

思いながらりーちゃんを見る。

いつの間にか.....俺の目下に居た。

頬を膨らませて赤い顔で俺を見ている。


「私は8年経っても君しか見てなかったのに。.....あんな8年も経ってない様な女の子が良いの?」


「いや。そういう問題じゃない。俺は今はアイツが彼女なんだから。それに.....」


「?.....それに何」


「.....彼女は.....えっと。俺に告白してきたんだから」


するとりーちゃんは見開いた。

それから真顔になる。

ふむ、と言いながら、だ。

そしてこう呟いた。


「何だか気に入らないなぁ」


「お前さん.....。だから違うって。今と昔はな」


「ふーん.....」


するといきなり話題を切り返す様に、そうだ。えっと.....今は何処に住んでいるの?、とニコニコしてりーちゃんは聞いてきた。

俺は?を浮かべながら、この近所だが?、と答える。

そうすると、そっか。じゃあ一緒に是非とも住もっか、と笑顔で.....ほあ?!

こ、此奴!?


「いきなりお前何言ってんのマジに!」


「私の親は放任主義なの。だから問題無しだから」


「そういう問題か!俺の家は.....」


そこまで言ってから口を思いっきり両手で塞ぐ俺。

それから直ぐに否定したが。

その言葉に直ぐにニヤァッとりーちゃんは反応した。

誘導尋問成功だね、と言いながらニコッとする。

そしてこう呟く。


「.....噂ではさーちゃんはアパートで一人暮らしって聞いたからね.....」


「お、お前は.....マジにき、汚いぞ」


「汚くないよ?だって私はあくまで君が好きだから」


そこまで言ってから。

ちょっと待って!、と声がした。

そんな言葉にりーちゃんの背後を見ると瀬奈が居た。

瀬奈はゼエゼエ言いながらビシッと指差す。

それから、私の裕介を取らないで!、と言ってくる。


「チッ。出し抜いたつもりだったんだけど」


「いや汚いなお前.....」


すると思いっきり駆け寄って来てから俺の腕に自らの腕を絡ませる瀬奈。

それからりーちゃんを威嚇する。

グルル、と言いながら。

そうしてから、絶対に裕介は渡さないから。だから諦めて、と言う。


「私は8年の貴方とは全く違うけど。.....だけど私の愛は100年分ぐらいあるからね!」


「ほう。そんな自信に満ち満ちて答えるの?.....私は1000年過ごしたぐらいになっているから」


「じゃあ私は一緒に10000年過ごした気分だから!」


言いながら互いにかなり威嚇し合う2人。

俺は額に手を添えながら、お前ら授業が。.....マジに間に合わなくなるのだが.....、と切り出すが。

そんな問題はどうでも良いから(良いよね)、と言い出す。

その言葉に俺は盛大に溜息を吐いた。

これは参った、と思いながら。


と言うかさっきの言葉が気になる。

りーちゃんは、会った事がある様な?、と言っていたな。

俺と瀬奈との秘密の許嫁関係がバレたのか?

思いながら俺は顎に手を添えて考えた。


実の所.....俺は瀬奈とは許嫁関係を結んでいるのだが.....。

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