将来の結婚を前提にお付き合いしていた女子と離れ離れになりそのまま時が過ぎました

アキノリ@pokkey11.1

物語の始まり

夢見る世界

第1話 夢を見た日(改訂)

『約束だよ。将来だけど絶対に結婚しよう』


『そうだね。僕達は3人で一緒だもんね』


『だね!』


何でそんな夢を見たのか。

6月15日のある日の事である。

元許嫁の言葉を朝、起きてから思い出した俺は.....欠伸をする。

俺、佐野島裕介(さのしまゆうすけ)の許嫁だった女の子。


落ち葉が舞い散る中で彼女は笑んだ。

そしてもう一人の.....女の子は微笑んでいる。

俺も笑顔になった。


本当に何故今更と思うのだが。

でも当時の事を思い出す懐かしい言葉だ。

そうだな8年間会えずじまいだから。

事実、人は8年も経てば幸せになっているだろう。

他の婚約者を見つけて、だ。


「今更.....俺が干渉した所で.....意味は無いのにな」


7年前に手紙が途絶えて、だったかな。

俺は思い出しながらそのまま一人部屋で起き上がる。

それからそのまま洗顔してから歯を磨き。

そのまま朝食を摂ってからアパートである我が家を出た。


因みに俺だが今は1人暮らしをしている。

学校が離れているのだ実家と。

それ以外もあるけど。


「ふあ.....」


眠たいものだな、と思える。

それから登校を開始する。

本当に眠い。

何でかその夢で寝れなかった。


本当に今更だよな。

8年前のあの言葉を何故今思い出したのか。

俺は思いながら歩いていると。


背後からボディタッチされ。

それから何時もの、ぎゃる、に声を掛けられた。

笑顔のその女の子に。


「おはよう!」


「おお。瀬奈」


「うんうん。今日も死んだ面しているねぇ」


「お前な。俺が死んでいるのは何時も通りだが酷いな言い方が」


えへへ、と太陽の様な笑顔を見せる女の子。

矢加部瀬奈(やかべせな)。

元気いっぱいの右の髪の毛を束ねて結っている茶髪の女の子。

薄化粧のかなりの美少女である。

本当に、ぎゃる、であるが。


胸元を開けていて谷間がチラチラ見える。

ネックレスとか着けて制服を少しだけ着崩している。

だけどこんなでも俺の彼女だ。

本当に可愛いと思う。


「瀬奈。今日も朝から元気いっぱいだな」


「そうだね。裕介の顔を見たら元気になっちゃう」


「俺ってそんな顔してるか?全てに元気を与える様な」


「してるよ〜。だって私が元気になるんだからねぇ」


そんな会話をしながら俺達は歩く。

すると瀬奈が途中で俺の腕に自らの腕を絡ませてきた。

いや。お前。


胸が当たっているのだが。

俺は思いながら瀬奈に、オイオイ、と赤くなって言う。

それから苦笑しながら瀬奈を見る。

瀬奈は笑顔を浮かべる。


「良いじゃん。裕介。甘えたいんだもん私」


「.....そうか。まあそれなら仕方が無いけど.....でも胸が当たっているからな。言い辛いけど!」


「わざと当てていますぅ」


「.....お前な.....それは自覚はしていたんだな.....」


俺はその様に赤くなって告げながら。

溜息を吐いて、やれやれ、と思いながら瀬奈と一緒に登校した。

すると何か女性の声で、さーちゃん、と声が。

ん?、と思いながら背後を見る。


俺は背後を見渡すが。

そこには数々の女子と男子の生徒が登校しているだけだった。

何だ?今の声は?

俺は思いながら見ていると瀬奈が俺に向いてきた。


「どうしたの?裕介?」


「いや。何でもない.....が?」


しかし.....さーちゃん、か。

夢を見ているのかまだ俺は。

その呼び方をするのは.....俺の幼馴染で元許嫁だったアイツしか居ない。

だけどそれは有り得ない話だ。


俺は考えながら暫く顎に手を添えていたが。

まさかな、と思い深くは考えない事にしてそのまま校門をくぐり下駄箱を開ける。

すると横から手を上げて声がした。

見ると友人が立っている。


「見せつけてくれるじゃねーかお前さん」


「.....そんな見せもんじゃ無いけどな。.....舘島」


舘島小五郎(たてしまこごろう)だった。

そばかすの眼鏡の男。

俺の高校時代からの友人である。

今日も部活だったのか、と聞いてみると。

そうだな、と舘島は返事をした。


「ん。まあ大会があってな.....それで」


「ああ準備って事か。忙しいな」


「準備っつーか練習な。忙しいわ。....ああ.....癒してくれる彼女が欲しい」


「お前な.....それはこっちを見ているしマジな皮肉か」


そんな会話をしていると瀬奈が、良い人が居れば良いんだけどねぇ、とテヘッと言ってくる。

瀬奈ちゃんも心配してくれるのか、と苦笑する舘島。

俺はその姿を見ながら笑みを浮かべた。


うーん。

しかし.....さっきの声は.....何だったのだろうか。

幻聴にしてはリアルだった様な?

呼ばれた気がした。


「おう。そういや聞いているか?今日って準備で転校が遅れた帰国子女の女の子が転校してくるんだってよ」


「え?マジで?それは男か?」


「な訳あるか?俺がこんなに喜んでいるのは女に決まっている。男なら死ね」


「おう。クズっぷり変わらずだな」


そんな他愛ない会話をしながら、ところで帰国子女ってどっからなんだ?、と舘島に聞いてみる。

すると舘島は、ああ。アメリカのカルフォルニアって話だ、と答える。

え?、と思いながら一瞬だけ目を丸くする。

まさか.....うん?

いやそんな訳無いよな?、と思いながら顎にまた手を添える。


「もー?裕介。ボーッとし過ぎだよ」


「すまないな。今朝見た夢のせいなんだ」


「夢って何の夢だよ」


「.....悪夢かな」


舘島は?を浮かべて俺を見る。

まあそれは嘘だけどな。

本当の事が言える訳が無いだろう。

俺は思いながら考える。

瀬奈達は一応は知っている。


俺にかつては許嫁が居た事を。

でも8年も再会してないからな本当に幸せになって別人だろう。

考えながら俺達は教室に登校した。

それから椅子に腰掛ける。



「という事で喜べ馬鹿ども。新しい仲間が加わるぞ!」


担任の八熊先生が笑顔でそんな事を言う。

相変わらずだな。

俺はそれをラジオを聞き流す様にしながら.....窓から外を見る。

今日は天気があまり宜しくないな、と思いながら。


そして八熊先生は、でも騒ぐなよ静かにな。他のクラスに迷惑が掛かるし。お楽しみの女の子とのご対面だが、と言い出した。

それから教室の戸がガラッと開く。

そうしてから声がした。

甘い声で、だ。


「初めまして。桜田凛花です」


「「「「「うおおおお!!!!!めっちゃな美少女ぉ!!!!!」」」」」


男子達はそう拳を握って絶叫して言うが俺だけは頬杖が崩壊した。

顔立ちはかなりの美少女。

お淑やかな感じの短いふわふわしている様な髪型、それからイチゴの髪留めを着け。

制服をちゃんと着こなして此方に笑顔を浮かべている。

何もかもが虜になりそうな顔だ。


だが虜にならない奴も居る。

それは俺だ。

唯一俺だけが愕然としていた。


8年前とあまり変わってない。

いや。変わってはいるが顔立ちがそのまま大人になっている。

一体.....何故、と思いながら、どういう事だ、と思いながら。


そして許嫁だったりーちゃんを見ていると。

りーちゃんは、あ。さーちゃん!、と笑顔で声を発してから。

そのまま俺に駆け寄って来る。

それからつよ俺を抱き締めてきた。

えへへ、と甘えた声を発しながら、だ。


「8年ぶり。久々だね」


「.....お、おう。うん。りーちゃん。取り敢えず離れた方が良いと思う。いきなりこんな事をしたらマズイんだが.....」


まるで急速冷凍した様に教室が凍った。

冷凍庫にしまった品物の様に凍っている.....。

これは非常にマズイと思う。

だから離れた方が良いと思うのだ。


俺は思いながら見ていると瀬奈が、ちょっと!?誰かな!?裕介!?、と大慌てで言ってくる。

舘島も、お前真面目に裏切ったな。シャ◯、と言う。


男子達は各々でバットとか取り出し始めそうになっていた。

中には消化器を持って来る馬鹿も。

オイオイ!?


「うん?でも私達って許嫁だったよね。だからこういうイチャイチャなら大丈夫だよ」


何を言ってんの?

許嫁を今言うのは宜しくないんだが?

導火線にファイヤ。


つまり火を点けてしまったぞオイ。

俺は思いながら周りを見渡す。

男子達が解凍したマンモスの様に暴走し始めた。

うぉおおお!!!!!、と絶叫して、だ。


「「「「「ぶっ殺すぞハゲコラァ!!!!!」」」」」


「落ち着け馬鹿ども!!!!!」


「まさかそんな事.....アッハッハ。面白いな!」


八熊先生。貴方も止めて下され!

高笑いってか笑っとる場合じゃない!

りーちゃんもスリスリしない!俺の身体に。

誰か助けてくれぇ!!!!!

瀬奈の視線も冷たいし!


こうして。

俺は8年ぶりに幼馴染兼元許嫁と再会したが。

既に俺には彼女が居る。

これは.....そんな系統のラブコメだ.....。

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