第4話 愛銃と伝説と……。

 しばらくぶりに更新いたします。ホントに亀で申し訳ない……。ですが、まだまだ続きますのでどうかお付き合いよろしく♪


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愛銃と伝説と……。


 突然ですが、ヴァンパイアに転生しました”雅 煌太“みやび こうたこと、リュードです。寝落ちしたら、鳥の巣の上で……下に降りれば、人助けならぬ狼女助け……可愛いから良いんですけど。急に私の僕になりたいと言い出されて、迷ったものの私も1人は何か寂しいと思い、契約をしたんです。


 で、一緒に行動しているんですけど彼女に慕われているようで私としては嬉しいんです、でも今の今までモテたとか慕われたとか好かれたとか一切!無かったんですよ!それが、転生してから急になんてありますか!私の人生ってどうなってるの?


 あ……失礼、気持ちが先走りました。それで、西の街ラザルドに宿を取り現金が無いと彼女の知り合いの宝石商で持っていた宝石数個を換金して、護身の為と思って武器を造りたいと話したら武具屋さんを紹介してくれて……。その店の女性マスターがまた美人で……私が銃を造りたいと話したら、発掘された物と似ているということになり、それを製錬してみるという話しになってお願いした所です。


 良かったと、喜んでいたのも束の間……領主の陰謀で、アリシアを取り戻そうととんでもない刺客を送り込んで来たんです!


 ソイツは、深夜を狙って夜這い…じゃなかった、襲い掛かって来ました!(あ、これじゃ結局夜這いになるんじゃ……。)


 


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 ………月明かりが、街全体を照らして街並みが浮かび上がる程に雲の無い満天の夜空の中で、その月明かりを跳ね返す様な漆黒の影が私達の居る宿屋まで建物の上空をユラリクラリと近付いていました。当然そんな事とは露知らず……。


 


「さてと、明日は武具屋さんに顔を出してみようか?そろそろ頼んだ物が出来上がりそうな気がするし。」


 


 私達は部屋で食事を済ませた所で、食後のティー!?をゆったりと飲んでいました。元の世界の紅茶に似た飲み物です。味も近い感じです、飲みやすいしサッパリしてて……。


 


「そうですね、朝の内に伺ってみましょう。最悪進捗状況が分かれば目処もつくでしょうし。」


 


 アリシアも食器を片付けて、一緒にティー!?を飲みながら頷いてくれました。


 


「その後で、何処か広場を教えてもらってそこで特訓しようか?」


 


「は、はい♪宜しくお願いします♪♪」


 


 か……可愛い……い、いかんいかん!ゆ、誘惑に負けてはいけない!綺麗な…く、首筋に目が……しょ、衝動を抑えねば…………フゥ、フゥ、フゥ、な、なんとか思い留まれた……彼女も不思議そうな顔をしてますが。いえね、ヴァンパイアなんですから血を吸うのは道理かもしれませんけど、万が一私と同種になりました、で、太陽の光を浴びて私と違って灰になってしまったりしたら……緊急事態になりますよ、それこそ……。


 なので、余っ程でない限り血を吸わせて貰う事は無いでしょうね、彼女も大事にしたいし。


 で、ですね……同じ部屋なのでやはりと言うかベッドが1つな訳ですよ。


 


「今日は一緒に寝てくれますよね?」


 


 やっぱり……その懇願する顔で誘惑して来ないで。


 それでなくても理性を保てるか自信が無いんですから!でも、一緒に寝ないといつまでも懇願を止めそうにないし……。


 


「わ、分かったよ。一緒に寝ようか。」


 


「は、はい♪リュード様♪」


 


 彼女が喜んで服を脱いでネグリジェに着替えを……って!ちょっと待て!わぁっ!女性の霰もないお姿がっ!


 慌てて勢いよく反対を向いたのは言うまでもなく……。


 


「クスッ♪」


 


 彼女は苦笑しつつも、着替えてベッドに横になります。良かったぁ、着替え終わりましたか。どうなる事かと。あ……でも待てよ?ネグリジェのお姿って……まさか……。


 私がベッドの方を見やるとやはり!悩殺ポーズっ!


 やられたぁっ!私に回避する余地は無いのですかっ!ガクッ……。


 ま、ここまで来て寝ないのは彼女に失礼だよね。今更恥ずかしがる事も無いだろうし……。


 私も、ドキドキですがベッドに入りました。彼女が額を私の胸に付けて寄り添って来ます……あああ……柔らかいものが私の体に触れて来ます……なんて温かいんだろう、私は彼女の温もりを感じながら抱き締めてました。何か安心する様な……そんな感じで。


 


 それで、先日の寝不足が影響したのか爆睡してしまったんですよ珍しく!何時間位かは分かりませんが、朝日はまだ昇ってはいないので深夜と言うのは分かりましたが、ふと目が覚めると一緒に寝ていたはずのアリシアが居ない!?失礼ながらトイレか?


 


「アリシア?」


 


 トイレの扉を叩くも返事がない、扉を開けるも確かに居ない!?今時間に風呂は無いだろうし、まさかな……。


 私は部屋中を見回しますが、彼女の姿がありません。


 


(リュード様っ!)


 


 な、なんだっ!突然、直接アリシアの悲鳴が脳に響いて……まずいな!拐われたっ!クソッ!何処だ、追い掛けなければ……。


 しかし、どうやったら居場所が……彼女の気配……私は目を閉じて彼女の事に集中します………!?


 おおっ居た!ここから400メートル程先に居る!そこならあの門に近いところか!間に合うかっ!


 私は飛び出して走り出してました。人の速度の数倍の速さで駆け抜けたんです。尋常じゃないって?ヴァンパイアなので……。


 


「は、離せっ!」


 


「ククク……威勢の良い事だ。これはあの方がお喜びになるだろう♪」


 


 黒いフードとマントを羽織り顔はよく分かりませんが中はどんな服装かは分かりません。ただ、片手に杖を持っていることは確か。


 


「わ、私をどうする気!」


 


「フンッ知れたこと、お前が逃げ出した奴隷商に連れていくだけだよ。」


 


「そんな…、もう追っ手が!?」


 


 彼女も焦りを隠せませんでした、大きな街でもあるし見つかるとしても数日は掛かるだろうと油断していたんです。


 


(リュード様っ!)


 


 彼女は焦りで顔が青ざめ、心の中で私の名を叫んでました!


 


「さて、そろそろ迎えが来る頃だ。大人しくするのだな……。」


 


 彼女は絶望で、目から涙が溢れてました。折角私に逢えたのに………と。


 


「悪いが、彼女は私の連れでね。あんたらに渡す気は更々無いよ。」


 


 私はアリシアの肩を抱き寄せ、爪を伸ばして剣の様にして構えます。


 


「リュ、リュード様っ!」


 


 彼女が私を見て驚きと嬉しさの笑顔になりました。間に合いましたよ、頑張りましたから。


 


「フンッ!貴様か!通りをわきまえぬ中途半端なヴァンパイアと言うのは?」


 


「そう言うあんたも半端者に見えるけどね。」


 


「ククク、あの御方に仕えて居るだけ貴様よりましだと思うがな。」


 


「誰に仕えているかとかなんて関係無いな。ただ、今は彼女を取り戻したいだけだ。」


 


 私はアリシアを左手で抱き締めながら右手の剣の様に伸ばした爪で切っ先を相手に向けていました。


 


「フンッ、それで取り返したつもりか?甘いな。ワシを見くびってもらっては困るな……。」


 


 彼は両手で杖をかざして来ました!


 


「うぐっ!?リュ、リュード様っ!」


 


「アリシア!」


 


 急に彼女が苦しみ出しました!呼吸も荒く、目を紡錘って必死に堪えようとしてます!攻撃された訳ではないのに何故!?


 


「ククク…、貴様が娘を離したく無いと言うのでな……ワシは代わりに魂を頂いていこうと思ってな……。」


 


「何だって!!アリシアっ!!」


 


 彼女が更に苦しんでます!返事も出来ないほどに……。奴の魔術か何かでしょう、脂汗を流し必死に私にしがみついて来ます……奴を止めないとっ!


 焦って、相手の術を止めたい一心で爪の刃を一気に伸ばし彼の胴体を貫きました!……が、しかし……。


 


「クックック……ワシには効かんよ、ワシにはな……。」


 


 な、何だ!?確かに胴体を貫いているはずなのに……爪に手ごたえが感じられない……。


 


「ワシには肉体と言うものが無いのだよ……。」


 


 彼がフードとマントを脱ぎました!何と!ス、スケルトン……しかし魔術師がよく羽織るローブを着ている……魔術師なのか?それで魔術が使えるのか……。私の爪は骨の間を抜けていて空を斬っていました、どうりでダメージが与えられない筈だ。しかし、そうなると奴の弱点が……!?


 


「ワシばかりに気を取られていると周りのモノ達に襲われる事になるぞ、クックック……。」


 


 ん!?どういう事だ……なっ!?周りにもスケルトン達が……。12体ほどいるでしょうか服装はボロボロで数体は剣を持っています。しかし何処から?


 


「なに、街の者ではないよ。ここに来る途中で山賊に出会ったまでだ。我が僕として役立ってもらう事にした。」


 


 えっ!?じゃあ、ここに来る前までは人間……なんて奴だ!


 


「さて、ワシに魂を抜かれて取り押さえられるのが先か、お前さんがワシを止めるのが先か……。」


 


「お、お前は一体……?」


 


「ワシはガルド……リッチのガルドだ……貴様の名は?」


 


「リュードだ。」


 


 リッチのガルド……リッチ……私が知る限りでは、元々魔術師・魔道士等が研究を続けたいがために、禁術等を使って不死を得たスケルトンで、記憶や魔術もそのまま引き継いでいると何かで読んだ事がありました。まさかここで本物とご対面とは……あ、いや、感心してる場合じゃなかった。敵として居るわけですから何とかしないと………と言ってもどうやったらいいんだ?


 私はアリシアを抱き締めます!済まないっ!どうやって奴を倒せば良いのか……魔法は?いや、どう使っていいのかサッパリだ。かといって、物理攻撃が効かないんじゃあ………。


 


「ヴァンパイア様っ!これをっ!」


 


 暗闇から円盤の様に横に回転しながら私に向かって真っ直ぐに”何か”が飛んで来ました!私も反射的に爪を戻しそれを掴み取ります!


 


「こ、これっ!?……。」


 


 そうです、急に女性の声がして受け取ってみれば明日行こうとしていた武具屋さんに頼んでいたリボルバーと言う拳銃……しかも、私が好きな“コルトパイソン357マグナム6インチ”に似ていて周りをカッコ良く補強され、頭身の横には古代文字?が施され、握りの所にも六芒星・五芒星が施されてます。これならあるいは……マスターさん、有り難う!恩に着るよ、早速シリンダーを横に出してみようか………あれ!?……弾がない………うわっ……銃だけじゃ無理……。


 と、複雑そうな顔をしていると。


 


「シリンダーの中心に指を当てて!」


 


 更に声が!?


 


「くっ!何者か!邪魔をするなっ!しかし、武器は手にしても弾がないようではないか!受け取っても宝の持ち腐れと言うものよ、クックック。」


 


 不敵に笑いながら勝利を確信しているようでした。私にとっては腸が煮えくり返る思いでしたが。


 ん!?シリンダーの中心に指!?その声の通りにシリンダーの中心に親指を充ててみます。すると、刺さるような痛みと共に私の血が吸われていきます!?その血が6発の弾の形に変わっていき装填されて行ったんです!!それも真紅の弾……マジか!?


 装填が終わると血を吸われるのも終わります。あの……いくらヴァンパイアの武器だからって私が血を吸われるなんてどう思います?あり得るって?了解しました……。


 でも、勝てる見込みが出来た!一か八か、もう時間もない!やるならこの一発に賭けるっ!!


 


「なあ、リボルバーよ……私に力を貸してくれるか?私はお前を気に入った、お前は私を気に入ってくれるか?」


 


 既に時間ギリギリの中で不意に銃に語り掛けてました。凄くカッコ良くてすっかり魅了されてたんです。


 でも更に驚いたのはその後。その問いかけに応えるかのように白く光り、握る手から徐々に私の全身に光が廻り包み込まれたんです!その時、何故か私は銃に気に入られた!と思いました……。


 


「くっ、何がどうなっている!?……ええい、僕たちよ!この男をヤってしまうのだ!!」


 


 さすがにガルドも焦りが出たようです。僕にしたスケルトン達に支持を出してました。そのスケルトン達が私に向かって群がろうとした時です、私はシリンダーを回しながら戻しガルドに向けて横向きに真っ直ぐ銃口を向けます。


 


「さっきも言ったように銃であってもワシには効かんのだよチェックメイトだ……。」


 


「そうかな?奇跡の逆転劇が起きるかもしれないぜ!”紅血の弾丸(ブラッディ・バレット)”!!」


 


 そう叫んで、トリガーを引きます!真っ赤に染めあがった弾丸がリッチのガルドに向けて射出されていきます!それは音速のスピードで、相手が動くより早く得物を捉えていきます。


 


「グァっ!!ば、バカな……貴様……何故ワシのコアが……ここだと分かった……?」


 


 よし、アリシアが少し落ち着いた!どうやら、ホントにその位置にコアがあったようです。


 


「人間であれば、頭、所謂脳天とか左胸の心臓とかの急所を狙うんだろうけどあんたはもうスケルトンだしな、そんな位置にコアを隠すとも思えない。そう思えない場所……つまりは喉元と予測したのさ。」


 


 そうです、奴はここに大事なものを置かないだろうと言う位置に予測から外れそうな位置にコアを配置していた……それを私に見破られたという事……。


 


「済まないが彼女は返してもらうぜ。」


 


「くっ……今は……見事と……言っておく……だが次は……ワシなど……お呼びでない者が……敵となるぞ……ぐふっ……。」


 


 コアを破壊されたガルドは灰となって崩れていきました。周りのスケルトン達も制御を失い、その場に崩れ落ちていきます。


 私はアリシアがある程度呼吸が落ち着くのをその場で抱きかかえながら見守っていました。良かった……これは私の油断が招いた結果だ。ここはその領主が居る反対のとはいえ、割と近い場所……追手が来るかもしれないと警戒すべきだった。


 


「ヴァンパイア様……。」


 


 その暗闇の中から女性が姿を現しました。


 


「ありがとう、貴女がこれを持って来てくれなければ私達は死んでいた。礼を言います。」


 


 


「とんでもありません、勿体ないお言葉……。」


 


 突然、片手・片膝を着いて頭を垂れるもんですから私の方がビックリ。


 


「あ、頭を上げてください。私になんか頭を下げても何も出ませんよ?」


 


「いえ、その銃に認められた貴方はこれからヴァンパイアの頂点に君臨されるお方……そのような方に粗相があってはなりませぬ。」


 


 へっ!?ヴァンパイアの……頂点!?……はい!?……聞き違い……じゃなさそう……って!?


 


「はいいいぃぃぃぃっ!!!」


 


 私の声が月明かりが綺麗な夜の街に轟いたのでした…………それってマジですか!?………………。


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 読了ありがとうございます。続きをお楽しみに待っていただけたらと、頑張りますのでよろしくお願いいたします♪    紅龍騎神でした……♪♪

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