第6話 筆

狸の毛で筆を作る。ゴワゴワのこれで、大きな文字を書く。物陰に隠れていた狸が、器用に拍手する。なかなかのものですよ、ひと目見た時から、貴方にはこの毛がぴったりだと思っていたんだ。狸は、先日の書道展のことを話す。趣味だが上手くない自覚はあり、書に詳しい狸に秘密裡に弟子入りした。

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