第5話 線香花火

夕暮れ時、道端で線香花火の光を見かけた。バケツの前で、誰かがしゃがんでやっている。ぱちぱちと懐かしい微かな光。ぽつりと、その子は口を開く。これは思い出。誰だって、きっと昔こんなことがあったって思うくらいの。やがて丸玉になった線香花火の火が、落ちて、その中から今日の夜が生まれる。

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