第5話 心の傷が大きくなる瞬間(トキ)

「はあぁ〜〜…何か体が怠(だる)い」

「愛」

「何?」

「ちょっと港に寄ってくれない?」

「何処の?」


「この先、すぐの所」

「分かった…」



私は運転しながらも返答し、港に到着。



「着いたよ」

「サンキュー。すぐ戻って来るから、ここにいて」

「…うん…」



《一体何しに寄ったんだろう?》

《実は彼女がいるとか?元カノとか?》




そんな色々と考える中、頭がボーッとしてくる。





「ヤバイ…熱出てきたかも…」






少しして―――――



「ごめん。お待たせ」


「おかえり。何か用事あったの?実は彼女?それとも元彼女(カノ)と会ってきたの?」


「いや、違うから」


「ふ〜ん…」



「愛、疑ってるでしょう?それよりも、愛、顔赤いよ?大丈夫?」


「えっ?そう?別に大丈……」




スッとオデコに手を、当てられた。




ドキッ


「熱あるじゃん!」

「大丈夫だよ」

「無理しない!運転変わるから横になってて」

「良いよ!本当に平気…」



「愛!用心棒だけしゃなく、もっと頼りなよ」



「………………」



「とにかく、港小さいからどうかな?と思ってさっき下見に行ったけど宿所か何もないのが現状。次の港に行って宿とって休養とった方が良いよ。運転代わるから横になって少しでも楽にしてなよ。良い?」



私は横になる事にした。




そして――――



「…………」



ふと目を覚ます。


すると、そこは船内ではなく、どうやら部屋にいるようだ。



「体の調子はどう?すぐ近くに小さな宿があったから、そこにした」


「…そうか…」


「きっと疲れが出たんだよ。ともかく、ゆっくり休んで。良い?」


「…うん…」




《そういえば私、昔から、そうだったっけ?疲れが出ると熱出てたんだ》




私は眠りに入った。





次の日。



目を覚ます。



ドキン…


腰掛けて傍で眠っている光河に気付く。




「…もしかして…光河…ずっと…傍に…?」


私は光河に触れようとした。


目を覚ます光河。



「おはよう…ありがとう…。昨日…ずっと傍にいてくれてたんだ」


「用心棒だから」


「…そうか…」




《…こんな風に傍にいて貰う事…なかったな…私…》



光河を見つめる私。




「何?」

「ううん」

「そう?あっ!今日、良かったら町に出ようと思っているんだけど、どう?」

「えっ?」

「まあ、無理してほしくないから強制しないけど」



「行く!倒れたら、光河、宜しく!」

「えっ?」

「だって用心棒でしょう?」

「まあ、そうだけど……」





私達は町をブラつく。


ストリートショップを見てると―――




「光河、これ見て!凄く綺麗だよ」



1つのアクセサリーに目がつく。



「まあ、お目が高いですね!これは貴重で、そう手に入らない品なんですよ」


「へえー…それをどうして、こんな安値で?」


「購入する方が少なくて」


「そうなんですか…こんな綺麗なのに…」




私は買う事にし、早速つけようとするが……




「あれ?」

「下手くそ!」

「わ、悪かったですねっ!」


「愛、育ちが良いから超がつく程の不器用なんだろう?」


「違います!」



スッと私の手元からアクセサリーが離れる。



 「髪上げて。つけてあげるから」



「……………」



私の背後に立つ光河。


私の首にアクセサリーがキラキラと揺れ動く中、背後に感じる至近距離に胸がドキドキと加速していく。




「………………」




《…ドキドキする…熱のせい?いや…熱はもう下がったし…じゃあ…もしかして…私…》



「はい。終了」


「あ、ありがとう」


「似合ってるよ」




ドキッ



お世辞かもしれない。


でも、胸が大きく跳ねた。



「愛、元が可愛いから」



ドキッ



「えっ?」



かああああ〜っ!



「顔赤いよ?」


「き、気のせいです!」


「そっ?」


「そうです!」




《案外、純なんだ。男嫌いって言ってたけど…いや…男嫌いだからか…?》


俺は彼女のイメージが、ふと、気になった。



そして、再び町をブラついていると、光河は、女の子に声をかけて仲良く楽しそうにしているのを見ると、嫉妬する自分がいた。



認めたくないけど認めざるをえなくて、私…アイツに…恋…!?





その日の夜――――――




「愛、出かけようか?」

「えっ!?夜なのに?」


「夜だから良いんじゃん!夜の町程、楽しめるのないよ」


「光河が楽しめるんでしょう?色々な女の子に会えるし、飲めるし、イイ子いたら、即、お持ち帰りじゃない!?」


「いやーー、バレてた?」


「少しは否定したらどう?」


「いやー、事実だから否定する術もないってやつ?」


「一人で行けば?私、夜の町は嫌いなの!」


「何、何?良いじゃん。行こう!」




私は強制的に連れ出された。


でも、町を歩いていると色々な男の人から次々と声をかけてくる。




《…こんな町中…怖くて…いられ……》




グイッと私の肩を抱き寄せる。


ビクッ



「平気?」



心配そうに顔をのぞき込む光河。




ドキン




「…光河…」


「無理して連れて来ない方が良かったね。何かあったら用心棒所じゃなくなっちゃうね」




私達は、とある店に入り、食事にする。


そして、席を外している時、光河に近付き話をしている女の人がいた。


親しそうにしている所を見て、入る隙がないと思い隣に戻る事が出来ず別の所にいた。




すると――――




「彼女一人?(Is she alone?)」



ビクッ

二人の男の人が声をかけてきた。




「あ、あの…いいえ…連れ…」



グイッと私の肩を抱き寄せる。



ビクッ

恐怖で体が強張る。




男の人達は、強制的に私を連れて行く。




「は、離して!何処に連れて行く気なの?」

(leave.Where to take)



お腹を殴られ、私はゆっくりと体が崩れて行き、目を覚ました時、何処かの部屋にいた。




「…部屋…?…何処……?」




誰かが、入ってくる。


すると、さっきの男の人が、2人入ってくる。




「目、覚めたか?(Did you shark?)」


「君は美人だ。俺達の相手しろ!」

(You are a beautiful woman.Be our opponent.)



「えっ…?…それって……」



断る暇もなく、2人に押さえつけられ、荒々しく洋服を引き裂かれる中、抵抗するも手を挙げられ、更に恐怖と変わり私の肌は露わになり、私の傷は小さな傷から大きな傷に変わった瞬間だった。



要約、光河になれたのに、もう私の心はズタズタに引き裂かれたように、唯一の異性で、身近で頼っていた光河自身さえも受け入れられない自分になってしまった。










































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