第6話 あなただけを……
次の日――――
「あっ!やっぱり帰ってた」
ビクッ
声を聞いただけで、男の人という事で、私の身体は恐怖に怯える。
しかし、無視は出来ないし、話さないわけにはいかず、頑張って会話をしようと気持ちを落ち着かせる。
「昨夜、探したけど、いなかったから、まあ、俺も色々あって店出ちゃったんだけど…」
「…女の…人…と…親しそうに…して…た…もんね…邪魔…したら…いけない…と思って…黙って…帰っちゃった……。どうせ…Hでもする…んだろう…と思って…たし……」
「おーーーっ!!ビンゴーー!流石ーー!冴えてるーー!愛ちゃん!!」
グイッ
抱き寄せる光河。
ビクッ
光河を押し飛ばす勢いで押し除けた。
「うわっ!」
ドサッ
ベッドに座り込む光河。
「愛ちゃーん、女の子なのに、どれだけ力…愛…?」
私は身体がガタガタと震える。
自分に言い聞かせ自分自身の身体を抱きしめるも震えは止まりはしない。
異変に気付いてベッドから立ち上がり、歩み寄る光河。
「いやああっ!!来ないでっ!!」
「…愛…?」
「………ごめ…ん…。…こ…う…が……」
「…愛……」
私はゆっくり崩れ落ちる中、涙が溢れる。
「……り…な……の…無理……な…の……」
グイッと手を掴む立ち上がらせる。
ビクッ
「いやあっ!は、離してっ!やだっ!触らないでっ!」
グイッと抱き寄せたかと思うと抱きしめた。
「や、やだっ!」
「愛っ!!頼むから!お願いだから!俺だけは受け入れろ!」
「いやあっ!」
暴れる私。
「愛っ!!誰がお前を守るんだよ!俺達しかいないんだ!俺は何もしないから!ゆっくりで良いから…抱きしめろ!…頼むから…お願いだから…なっ!愛…」
私はゆっくりと自分に言い聞かせ震える身体と恐怖感と闘いながら、何とか光河を抱きしめる事が出来た。
「…ごめんっ…!…愛っ…!俺がいながら…怖い思いさせてごめん……!」
《マジ最低だ…俺がいながら…女一人も守れねーなんて……》
俺は自分を責めた。
そして、この町を後に出港した。
あれから相変わらずなままで、未だに光河の存在にも恐怖を隠しきれずにいた。
ある日の夜。
とある港に船を着け、宿がないため船で寝泊まり。
「愛、何かあったら叫びなよ。俺、いつもの所にいるから」
ドア越しから言う光河。
「…うん…」
去り始める光河。
「光河…」
「何?」
部屋のドアを開ける私。
「………………」
「…愛?」
スッと光河の手を握りしめる。
「…私の…恐怖を…解消して」
「えっ…?」
「…愛がなくても…良いから…抱いて…」
「…愛…ちょっと…何言って…俺達…そんな関係になったら…第一、俺一人の女を愛せないから傷付けるの目に見えてる……」
私はキスをした。
「…なの…もう…嫌なの…!いつも恐怖に怯えて過ごしていくのが嫌なのよ!」
スーッとゆっくりと体を崩していく。
「…光河…お願い…色々な女の人と関係持っているなら好きじゃなくても出来るんでしょう?……ねえ…」
「………………」
「私…駄目…?色気ない?…汚された体に…触れたくない…?」
「愛っ!よせよ!そういう言い方っ!俺の不注意なんだよ!…俺が…もっとしっかり…愛を見張っていれば…」
私は立ち上がりベッドに腰をおろす。
「…ごめん…」
私の隣に腰をおろす光河。
スッ
私の頰に触れる光河。
ビクッ
「…本当に…それで吹っ切れるなら良いよ…だけど……俺じゃ…愛の力になれない…から…。俺に権利…ないよ…」
私は光河の手の上に自分の手を重ねる。
「…愛…?」
「…あなたの腕の中で…あなたの胸で……この私を抱いて下さい…同情とか…愛がなくても…良いから…吹っ切れなくても良いから……私は…あなたに…抱か…」
キスされた。
ビクッ
「…本当に…良いの?」
「…光河だけでも…違う…あなたしかいないから……」
怖い半面、光河だけでも受け入れたい。
その想いがあった。
「…光河…何度も挑戦…」
再びキスをされ、深いキスをされた。
ビクッ
「大丈夫…俺だけを見て。何も考えなくて良いから。俺と1つになろう…愛…」
私はゆっくりと頷く。
光河は何度も何度も挑戦し、そして、今までにない優しさで、私に接する。
気付けば、光河に身を委ねていた。
「…愛…良く頑張ったな…」
「…光河…」
再びキスをされる。
「ゆっくりでいいから俺の事、受け入れてくれれば良いから」
「…うん…」
次の日――――
ドキッ
「そうか…私達…」
目を覚ます光河。
ドキッ
バッと布団を被る私。
「…愛…?」
ドキッ
私を背後から抱きしめる。
ビクッ
「大丈夫…こうするだけだから。こっち向いて」
「は、恥ずかしいから」
そう言う私を振り返らせ、私の上に重みがかかる。
ドキン
そしてキスをし、一旦、唇を離すと更にキスされ何度も何度も角度を変えキスをされる。
「…光河…」
「俺の事もっと受け入れてほしいから」
首筋から下へ下へとに唇が這う。
「…光河、ちょっと待っ…」
「駄目?」
「だ、駄目…!ゆっくり…」
キスで唇を塞がれ深いキスをされる。
「また、いつかね♪」
そう言って微笑むと出て行った。
ドキン
「わ…何ていうんだっけ?えっと…キスマーク…?」
着替中、私の体にはありとあらゆる場所に全身がキスマークだらけな事に気付いたのだった。
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