第4話 君を守れるのは
「愛、ちょっと出掛けて来て良い?」
「良いけど…どうせ女のケツでも追っかけるんでしょう?」
「だってHも何も出来ないんじゃ…欲求が溜まる一方で…」
「あっそ!」
光河は出掛けた。
「…どうして…男の人って、あーなんだろう?全っ然分かんないよ!男の心理って」
その日の夜―――
「おかえり」
「あれ?愛、まだ起きてたの?」
時間は、夜中2時を廻っていた。
「あ、うん。色々と考え事してたら眠れなくて」
「考え事?あっ!もしや俺とHしている所でも想像してたんじゃ…」
ボフッ
枕を投げ付ける。
「…って…」
「バッカじゃないの!?」
正直、怖くて眠れなかったのが本音。
どんなに鍵かけていても
落ち着いて安心して眠れやしない。
男の人が苦手でもいるだけで安心しない?
誰かと一緒にいると思うだけで、
気持ち的に違わない?
第一、慣れない町に来ているのだから――――
―――― 朝 ―――――
「愛、起きて朝だよ」
目を覚ます私。
「良く眠れた?」
「お陰様で。第一、もう少し早く帰ってくれれば、もう少し早く眠れたんだけど」
「えっ?」
「何?」
「…いや…」
《一人じゃ不安だったんだ…だったらそう言えば…素直じゃないな〜》
俺は、そう思った瞬間だった。
私達は、町を後に船を出す。
すると――――
「あーー、会えたーーっ♪!」
ビクッ
「うわっ!な、なんでいんの?」と、光河。
「だってぇ〜、今日発つって言うから〜、淋しくて〜着いて来ちゃった♪」
「着いて来たって……困…」
「だって光河君、H上手だったしぃ〜」
「……」
「キスも上手でぇ〜」
「………」
「もう、魔法がかかったみたいで♪」
「ねえねえ、一緒に行って良いでしょう?光河君と毎日、H出来るなんて最高だも〜ん♪カッコイイし♪」
《そう…やっぱり…》
《アイツは……知らない町で…女と…》
プルプル……
小刻みに体が震える。
「ねえねえ、お姉さん良いですよね?」
《お姉さん…って…》
《私は、光河の1つ下なんだけど!》
《あなたとも、そう変わらないはずでしょ!?》
「…………………」
「お姉さーーん、聞いてますぅ〜?」
「うん、聞いてる。だけど…これ私の船なんだよねー。Hなら他でしてくれない?それ約束してくれるなら…」
私の目の前で堂々とお構いなしにキスをし進めていく。
私は船を止めた。
水上バイクをおろし、二人に海水をぶっ掛ける。
「きゃあっ!」
「うわっ!」
「降りて!」
「えっ!?」
「降りろっつってんの!ここはHする場所じゃないからっ!!」
私は二人の手を掴み、海に落とす。
バシャン
バシャン
「愛!?」
「海のど真ん中で、た~くさん楽しんだらどう?さようならっ!」
私は船を動かした。
「あっ!おいっ!」
「お姉さんて怖い方ね」
「…お姉さんじゃないよ」
「えっ?」
「彼女は、俺の女で、君よりも若い19歳の女の子」
「えっ!?だって彼女いないって…しかも19歳!?余り美人な人だったから…」
「俺、沢山の彼女いるから。まあ、今回は縁がなかったのかもね~。つー事で送るから」
「やだ!だったら一緒に」
「…君、可愛いから俺よりも良い人現れるよ。それに、俺カッコ良くても、君を傷付けるだけだから」
「………………」
「じゃあ…彼女も、遊びの一人?」
「…それは…違うかな…?」
「えっ?」
「さあ、乗って」
水上バイクに乗せると動き出す。
「彼女は、俺が用心棒してるし。それに…過去に色々あったみたいだから…」
「えっ?色々?」
「うん。詳しい事は聞いてないけど」
「…そうなんだ…」
「……彼女は……放っておけないんだよ……」
俺は水上バイクの音でかき消される程の小さな声で言った。
そして――――
ブォーン
ガタガタ
「ん?何?何かに当たった?」
私は船を止めた。
「あーーーーっ!何でよ!?何で戻ってくんの!?女とイチャついてれば…」
スッと片方の人差し指で唇に触れるか触れないかの距離の仕草をする。
ドキッ
何故か胸が大きく跳ねる。
「愛を守れるのは俺しかいないんじゃない?」
「…………………」
「俺は愛の用心棒でしょう?」
「そ、そんなの!クビよ!クビっ!女のケツを追いかけるだけの脳しかないあなたに、私の用心棒が勤まるわけがないよ!」
「…分かったよ…じゃあ…用心棒がクビなら、愛の彼氏にして♪」
「はあっ!?か、彼氏ぃっ!?」
グイッと引き寄せられ一瞬にして唇が奪われた。
ドンッ
「な、な、何するの!ひ、ひ、人のファーストキスをっ!!」
「うわーー、新鮮!ファーストキスなんて♪じゃあ、一層の事、全部(すべて)……」
グイッと抱き寄せる。
「きゃああっ!バ、バ、バカっ!」
押し離す。
グイッと両手を掴まれる。
「は、離し…」
「…昨夜、一人で不安だったんじゃないの?眠れなかったなんて。俺が聞き逃がすとでも思った?」
「………………」
「男が苦手でも俺だけは受け入れてもらわないと俺は何も出来ないよ。君に触れる事が出来ないなら守る事出来ないよ。違う?」
バッと掴まれた手を振り放す。
「…知らない!」
私は運転を再開するのだった。
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