結婚式と再会

あの日から、あっという間に時間が過ぎた。


今日は、真矢と美子さんの結婚式だ。


朝からワクワクしていた。


会場についた時には、たくさんの人がいた。


螺旋階段の上に初めて行った。


「ステンドグラスがある。」


「すごいな」


100人は、呼べるようになってるようだ。


「あっ、氷河ひゅうがと時雨だ。手伝いに行こう」


「うん」


全身を刺された氷河は、車椅子だった。


「時雨、氷河」


「元気だったか?」


氷河は、笑ってる。


「うん、元気だよ。幸せそうだね」


「ああ、毎日幸せだよ。」


時雨は、氷河の手を握ってる。


「手伝うよ。」


「うん、車椅子ごとは難しいかな」


晴海君と華君もやってきた。


「向こうは、よかったの?」


「夜、遅くにあけるから。手伝うよ」


「お願いします。」


時雨は、二人にお辞儀をした。


「俺も、手伝うよ」


美咲さんが、やってきた。


「僕も手伝うよ」


その声に心臓がドキリとした。


「氷雨、車椅子持ってあがって」


「わかった。」


「どうしたらいいかな?」


美咲さんが、時雨に聞いた。


「俺が、腰支えるんで横向きで持ち上げましょう。」


「わかった。」


氷河を6人で、持ち上げていく。


時雨は、毎日やってると思うと幸せな事より大変な事が多いはずなのに時雨はニコニコしてる。


「氷河、よかったな。まやたくの結婚式見れるぞ」


氷河は、頷いてる。


氷雨が、車椅子を組み立てていた。


「ありがとうございます。」


氷河は、嬉しそうに笑ってお辞儀をした。


「氷雨、ちょっと氷河を席に連れてって欲しい」


「はい」


そう言って、氷雨は氷河を連れていった。


「退院いつになった?」


「とりあえず、3月って話。もう、これ以上は無理なんだって。」


「一緒に住むんだよね」


「ああ、家も引っ越すんだ。バリアフリーのマンション」


「時雨が、見るの?」


「うん、今より少し大変になるかもな。」


そう言って、時雨は笑ってる。


「氷河が、幸せそうでよかった。」


「ああ、氷河が笑ってるだけで俺は、何もいらないよ。あっ、氷雨と何かあった?」


「なんで?」


「時々、手伝いにきてるんだけど。最近、氷河にかわってあげたいって言ってるみたいだから。何かあったのかなって…。」


「うん。」


僕の表情を見て、察した時雨は肩を叩いた。


「俺は、月君と居てくれるだけでいいから。だから、星も氷雨なんかほっておけよ。あいつは、俺が何とかするから心配すんな」


って笑った。


「ありがとう」


時雨は、氷河と氷雨の場所へ戻って行った。


「トイレ行ってくる」


「待って、俺も行く」


僕は、一階のトイレに行く。


「会いたくなかった」


まだ、真矢に会っていないのに僕は泣いていた。


「最後まで、見てあげよう」


そう言って、月は僕を抱き締めてくれた。


「終わったら、気持ち伝える?ついていくよ」


ガタッ、トイレの扉が開いた。


「誤解されますよ。いやらしい事をしてるって」


氷雨だった。


「すみません。」


るいが僕から離れようとするから、僕は月の腕を掴んだ。


「二階のトイレに行けばよかったんじゃないの?」


「そこまで、僕が嫌いなんだね。星は…。」


「氷雨君、あの日俺が君を」


「もういいです。僕は、この日を楽しみにしていたんです。僕には、星が必要だから」


バタン、出ていってしまった。


「月」


「大丈夫?」


涙がボタボタと落ちてくる。


何で?


「月、僕は氷雨が好きなんだね」


「知ってるよ」


月は、僕を抱き締めてくれた。


僕は、やっぱり氷雨が好きなんだ。


「話たらいいんだよ。ぶつけてきたらいいんだよ。俺、待ってるから…。話終わるまで」


「月、ごめんね。ごめんね。一番好きになれなくてごめんね」


「一番は、いらないよ。大丈夫だから」


崩れ落ちそうになる僕の腰を月は、支えてくれてた。


「結婚式、行かないと」


涙をハンカチで拭ってくれる。


幸せなのに、僕は氷雨を欲しい。


氷雨の悲しい顔が目に焼き付いて離れなかった。


頑張って、涙を止めて会場に戻った。


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