食事と成功

僕達は、お願いを聞いてからカフェに来ていた。


「待たせたかな?」


美咲さんがやってきた。


「これは、るい君」


「ハハハ、そうなりますよね」


「僕も思ってた。」


「俺もです。」


「外観は、気にしないで下さい。とにかく、あんみつが凄く美味しいので、行きましょう」


そう言って、月は僕達を連れていった。


「いらっしゃいませ。」


「予約した、橘です。」


「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」


そう言うと、別の場所に連れてこられた。


扉を開けると、中は個室になっていた。


「ご注文は、何になさいますか?」


お水を置きながら、店員さんが言う。


「お腹すいたかな」


美咲さんは、椚さんとメニューを見てる。


「何にする?」


「これ先食べよかな」


「天の川ランチかー。」


「俺も、それにしようかな」


月が、全員分の天の川ランチとあんみつとコーヒーを頼んでいた。


「ここ、個室があるんだね」


「前回は、予約してなかったんだけど。今回は、ネットで予約してみたんだ。」


前回という言葉に、ここに僕ではない誰かと来たのはあきらかだった。


その言葉に、チクリと胸が痛む。


「ここなら、気にせずイチャイチャできるね。」


美咲さんは、椚さんに笑いかけてる。


「そうですね。俺も、こんなカフェをやりたいです。」


「誰にも気兼ねせずに会えるカフェか…。」


美咲さんは、少し考えている。


「個室って、いくつあるの?」


「2つです。」


「全部個室のカフェも悪くないね」


美咲さんは、そう言って笑ってる。


「天の川ランチになります。ごゆっくりどうぞ」


そう言って、店員さんが天の川ランチを4つ置いていった。


大きなお弁当箱に、少しずつおかずがはいっている。


野菜の天ぷら、ハンバーグ、エビフライ、サラダ、オムライス…。


「いただきます。」


野菜類が、全て星の形になってる。子供なら喜ぶだろう。


「美味しいな」


美咲さんは、食べて驚いていた。


「本当ですね。」


椚さんも、ビックリしてる。


僕も食べた。確かに、カフェで食べると言う感じではない。


「元日本料理で、働いていた人とレストランで働いていた人が作ってるってネット情報です。」


月が、食べながら笑った。


「だからか、クオリティがすごいな」


美咲さんは、食べながら言ってる。


天の川ランチを食べ終わった。


「あんみつと抹茶コーヒーになります。」


そう言って、店員さんは去っていった。


「さっき、三人店員さんが居たのに、この部屋を担当する人は決まってるんだね。」


僕は、月に尋ねた。


「一番最初に受付した人が、最後まで担当する決まりらしい。個室を予約する人のほとんどが、人にバレたくないって人が多いらしいから」


「そうなんだね」


「それって、素晴らしいシステムだね」


美咲さんは、月の言葉に頷いた。


確かに、僕や美咲さん達のような恋人や月とお兄さんの関係、僕と氷雨のような関係には、うってつけの場所だ。


「この、あんみつ凄く美味しいです。」


椚さんが、ニコニコ笑ってる。


「お口にあってよかったです。」


月が、笑ってる。


「この抹茶コーヒーも、絶妙だな。」


美咲さんは、コーヒーを飲みながら言ってる。


「あのさ、優君。」


美咲さんは、椚さんに向き合った。


「はい」


「個室のカフェを作ろうか?貯金だってあるし、栞ちゃんが支援もしてくれる。あの店をしーちゃんに譲ろうと思う。真矢さんの結婚式と一宮さんの披露宴が終わった後で…。昨日帰ってから、ずっと考えていた。何をしたいかは、まだハッキリとは決めていなかったけれど…。月君のお陰で、決められた。俺に、ついてきてくれないだろうか?」


その言葉に、椚さんは戸惑っていた。


「詩音さん…。」


美咲さんは、答えが聞きたくなくなったのか椚さんから目をそらした。


「詩音さん、こっちを見て。答えが怖いんですか?」


美咲さんは、ゆっくり頷いた。


「俺が、言いたかったんですよ。先に」


月と僕は、お願いの成功に、二人で笑い合った。


美咲さんは、驚いた表情を浮かべながら泣いてる。




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