お願いがあります

俺とひかるは、昨日の3時過ぎに家に帰ってきた。


朝10時、スマホが鳴って目が覚めた。


「はい」


「あの、お願いがあります。」


「はい」


「12時過ぎに、月の花公園で」


「わかりました。」


俺は、電話を切った。


「12時に、月の花公園だって。いける?」


「うーん。いけるよ」


星が、頭を掻いてる。


「じゃあ、用意しようか」


るい、起こして」


「はいはい」


俺は、星を起こしてあげる。


「ねー。知ってる?」


「なに?」


「幸せって、こういうのなんだよ。」


星は、後ろから抱きついてきた。


「重たいから」


「なに、それ」


洗面所に星を連れてく。


二人で並んで歯磨きをする。


願わくば、ずっとこのまま穏やかな日々が続いて欲しい。


歯磨きを終えた。


「星、幸せってこういうのだよ」


チュッ、頬にキスをした。


「急に、恥ずかしいから」


星は、頬を赤く染めた。


「朝御飯食べたら用意しよ」


俺は、星に笑いかけて手を引っ張る。


2月14日が、こないで欲しい。


氷雨君が、現れないで欲しい。


俺達の時間を奪わないで欲しい。


キッチンで、朝御飯を作る。


「ハムエッグしよー」


星は、卵を焼いてる。


パンをトースターにセットして、コーヒーを淹れる。


パンにバターを塗る。


「持ってくよ」


星は、朝御飯を持っていった。


俺もコーヒーを持っていく。


「いただきます」


二人で、朝御飯を食べる。


「月」


「なに?」


「月と居ると穏やかなんだ。」


「それは、よかった。」


「結婚ってこんな感じなのかな?って思うよ。」


「そうなのかな」


「うん、そう思う。」


そう言って星は、笑った。


「ごちそうさまでした。」


お皿を下げて、服を着替える。


星が、タクシーを呼んでくれた。


カジュアルな装いをした。


「じゃあ、行こうか」


「うん」


タクシーで、月の星公園に来た。


星は、モニュメントを見つめてる。


「反対側には、まだ行けないの」


「あの事件、あっちだったね」


「うん、足がすくむ。」


そう言ってモニュメントにもたれ掛かった。


「クリスマス、ここで月も待ち合わせしたの?」


「うん、待ち合わせしたよ。」


「そっか…。」


まだ、来るの早かったかもしれない。


「月が、僕を選んでくれてよかった。」


そう言って、星が俺を後ろから抱き締めた。


「選んでただろ?最初から」


「そんな事ないよ。お兄さんに会ったら、僕を捨てるかもって思ってた。だけど、月は僕の所に帰ってきてくれた。」


ギューって、抱き締められた。


「俺は、どんな事があっても星の傍にいるから」


「その言葉、嬉しい。」



抱き締める腕が、さらに強くなった。


「ずっと一緒に居て。僕とずっと生きていて」


「そうするつもりだよ。」


「ねぇ、月」


星は、俺と向き合った。


「僕を幸せにしてくれるのは、世界中で月だけだよ。あの日、歪んだ愛しか知らなかった僕を救ってくれたのは月だよ。僕は、月の隣でずっと笑っていたい。月が、あの日きちんと言ってくれたように僕も言うよ。」


そう言って、星は俺の両手を握りしめた。


「月と同じ時間を過ごしたい。月の傍にずっといさせてくれない?」


俺は、その言葉に泣いていた。


どうか、神様。


星が、もう二度と化け物に飲み込まれませんように…


「星が、嫌だと言っても俺は、ずっと傍にいるよ。」


そう言って俺は、星を抱き締めた。


高校生の俺と星は、月の星公園このばしょで出会った。


「月、大好きだよ」


「うん」


俺と星は、キスをした。


「まだかな?」


「そうだな」


手を繋いで、待ってる。


子供連れが、増えてきた。


「可愛いね」


「子供欲しいの?」


「産めないよ」


「まあな。」


「それに、もし子供をもてたとしても、僕は上手く育てられないよ」


「俺もだよ」


「だから、見てるだけでいいよ。望みは、もう叶ってるから」


そう言って、星は俺の手を強く握りしめた。


「ごめんなさい。遅くなりました。」


「あー。きたきた。」


「じゃあ、行きましょうか」


「はい」


そう言って、俺達は歩きだした。


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