よかったね。

朝、目覚めた僕がリビングに向かうと華君と晴海君が立っていた。


「おはよう」


「おはよう」


二人は、リビングの扉から向こうを見て笑ってる。


ひかる君は、知ってたの?そうなったって」


そう言って、華君が見せてくれたのは美咲さんに抱きついて寝てる椚さんだった。


「はい、昨日見てたから」


僕は、笑った。


「言ってくれたら、よかったのに」


華君が嬉しそうに笑ってる。


「くぬりん、やっと願い叶ったんだね。」


「幸せそうだな。椚さん」


確かに笑って寝てる。


「喉乾いたから、そろそろ入ろう」


「ああ」


そう言って、二人はリビングの扉を開けた。


その音に美咲さんが、目を覚ました。


「うーん。おはよう」


椚さんの手を離してる。


「そうなら、そうと言えばよかったのに」


「えっ?ああ。まさかこうなるとはね」


美咲さんが、起き上がると椚さんは寝言を話した。


「いかないで、俺が幸せにするから」


「フフ、夢の中まで詩音だね」


華君が笑ってる。


「トイレ行ってくる」


美咲さんは、椚さんに毛布をかけて立ち上がった。


「くぬりん、よかったね。」


華君は、椚さんを見つめながら笑った。


「月君は?」


「まだ、寝てます。」


「何か、朝御飯晴海とコンビニで適当に買ってくるね。」


「お願いできますか?お金は、後で払います」


「いいよ、別に」


華君と晴海君は、お水を飲んで出ていった。


入れ違いで、美咲さんがもどってきた。


「昨日は、ありがとね」


「いえ、お水どうぞ」


「ありがと」


ソファーに座って、椚さんを見てる。


「俺、兄弟以外にこんなに愛された事初めてで驚いてる。」


「そうなんですね」


「うん。本当は、しーちゃん思って俺の一生は、終わるんだなって思ってたから…。このタイミングで、しーちゃんのプロポーズが駄目になるって思ってなかった。」


「そうなんですね」


「フラれなかったら、椚を意識する事もなかったと思ったら…。フラれたのも悪くなかったって思えた。」


そう言って、柔らかい笑顔を浮かべて椚さんを見つめてる。


「ずっと、好きだって伝えてくれてたのに受け止めてあげなかった。椚は、飽きると思ってたんだ。手に入ったら俺の事なんかすぐにいらなくなるだろうって…。だけど、昨日言葉に出来ない程の気持ちだって言われた時。違うんだなって思った。」


「椚さんは、美咲さんをすごく愛してるのがわかります。飽きないと思いますよ。」


「そうかな?いつか、椚でいっぱいにしたいな。」


そう言って、美咲さんは胸を撫でてる。


「そうですよ。それに、なりますよ。一緒に過ごしてるうちに椚さんでいっぱいになります。」


僕は、美咲さんに笑いかけた。


リビングの扉が開いて、るいがやってきた。


「おはよう」


「おはよう」


「昨日は、ありがとね。月君」


「いえ、大丈夫ですよ。よかったですね。詩音。」


そう言って月が笑ってる。


キッチンにお水を取りに行ってもどってきた。


「昨日、あんなに嫌な思いをしたのに、今朝けさ起きたら少し幸せだった。いい加減な人間だよね」


「そんな事ないですよ。」


そう言って月が笑ってる。


「これからの毎日は、幸せですよ」


僕の言葉に美咲さんが笑った。


「華や晴海も椚が好きだから喜んでると思うんだ。俺もいつか椚が俺を想ってくれてる気持ちみたいに椚への好きに辿り着けたらいいなって思ってる。」


リビングの扉が開いて、華君と晴海君が帰ってきた。


「うー。おはようございます。」


椚さんが、起きた。


「ご飯食べたら帰ろうか?」


「はい」


朝から、満面の笑みで笑ってる。


僕達は、朝御飯を食べた。


幸せそうな椚さんを見てるだけで、こっちまで幸せだった。


美咲さんも幸せそうで、それを見てる華君と晴海君も幸せそうだった。


「じゃあ、帰るね」


ご飯を食べて、しばらくしてから四人は帰っていった。


僕と月は、見えなくなるまで手を振っていた。

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