愛してます。

そう言って、椚さんは、深呼吸をして


「俺は、美咲さんが椎名さんを好きでも構わないです。美咲さんに利用されるなら幸せです。美咲さんの傍にいれるなら、俺は、何もいりません。俺を好きにならなくてもいい、椎名さんのかわりでもいい。だから、俺と一度だけでいいから付き合って下さい。美咲さんを愛してます。」


そう言って、頭を下げた。


「椚…。」


美咲さんは、泣いてる。


俺とひかるも、その告白に泣いていた。


椚さんは、本当に美咲さんを愛しているのがわかる。


どんな言葉を使っても、うまく伝えられないのがわかる。


「もし、付き合って、嫌だって思ったらすぐに別れてくれていいんです。だから、そんな重く考えないで下さい。」


「本当にいいの?」


「はい」


「利用して終わるかもよ?」


「それでも、美咲さんに利用されるなんて、俺は幸せ過ぎます。」


椚さんは、笑ってる。


「椚が、いいって言うなら…。甘えたい。」


その言葉に椚さんは、美咲さんを抱き締めた。


「嬉しいです。すごく嬉しいです。」


「月君も星君もいるから」


「あっ、すみません。」


椚さんは、美咲さんから離れた。


「馬鹿だね」


美咲さんは、椚さんの頭を撫でる。


椚さんは、また泣いちゃった。


「嬉しいのに、涙が止まらないです。」


「椚のご両親に怒られるね。男なんか好きにさせちゃって」


「俺は、両親の為に好きな人を選ぶわけじゃないですし。兄が結婚してるので大丈夫ですよ。」


「弟感は、弟だったからなんだね。」


「そうですね。」


「俺は、椚の真っ直ぐな所が、いいと思ってるよ。」


「美咲さんにたいしてだけじゃないですか。」


「しーちゃんの事だけど」


「大丈夫ですよ。何も聞かなかったフリ頑張ってしますから」


椚さんは、そう言って笑った。


「出来んの?椚にそんな事」


「出来ますよ!いちおう大人ですから」と笑った。


幸せそうだな。


「何で、お二人のいる前で話したんですか?俺は、二人きりでもよかったのに」


椚さんは、頭を掻いた。


「怖かったんだよ。信じてなかったわけじゃないけど、話を全部する事が怖かった。しーちゃんのダメージを引きずってたのかもしれないな。」


「美咲さんは、椎名さんの事考えるとすぐ泣きますね」


そう言って、椚さんは美咲さんの涙を拭ってる。


「こんなに傷つけても、こんなに美咲さんの中にいる椎名さんが俺は、羨ましいです。無理な願いとわかっていても、美咲さんの中を俺への好きでいっぱいにしたい気持ちがあふれてきて止まらないです。」


そう言って切ない笑顔を浮かべて泣いてる。


「口に出すのは、今だけだから、許して下さい。」


美咲さんは、椚さんの涙を拭ってあげる。


「じゃあ、俺も今だけだから言うよ。いつか、俺の心を椚でいっぱいにしてみせてよ。俺に、恋愛は悲しくて辛いものばかりじゃないって教えてよ。」


そう言うと、美咲さんの目から涙が流れてくる。


「そうしてみせます。」


椚さんは、また抱き締めた。


「だから、二人がいるの」


「美咲さんが悪いんです。泣くから」


星は、俺の肩に頭を乗せてきた。


椚さんは、美咲さんから離れた。


「俺の事、名前で呼んで下さいよ。椚はさすがに嫌です。」


「なんて呼んで欲しいの?」


「優真なんで、なんでもいいです。美咲さんが考えて下さい。俺も、詩音さんって呼んでいいですか?」


「何でもいいよ。呼び捨てでも何でも」


「詩音さんって呼びます。何か、まだ呼び捨てに出来る程。詩音さんの中に俺はいませんから」


「そっか。じゃあ、俺も優くんにしとくよ。」


「はい、それで」


二人が話終わったのを聞いて星が寝ますと笑った。


「そうだね、ありがとう。月君、星君」


「よかったですね。美咲さん」


机を動かして、片付けて、星の部屋からラグと毛布持ってきた。


歯磨きをして、俺と星は星の部屋で眠る事にした。


「おやすみ」


「おやすみなさい」


パチンと電気を消して部屋に行った。


「よかったね、美咲さんと椚さん」


「うん、よかったよ」


俺は、星を抱き締めて眠りについた。


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