好きが溢れるので
「これ、栞が?」
「はい、ケーキのお礼に書いてくれたんです。」
「ほら、くぬりん飛べそうだよ」
大きな黄色と白の羽根を纏った椚さん。胸は、ピンクと赤の色が使われてる。
優しくて穏やかな笑顔を浮かべてる。
「飛べないよ。人間だから。ハハハ。この胸の色はね、美咲さんへの気持ちが
嬉しそうに笑ってる。
「パスタできたぞ。あっ、その絵懐かしい。去年だな」
「そうですよ。」
美咲さんがくるとすぐに頬が赤くなって愛しいものを見る目にかわる。
「美咲さん、今日は隣座って下さい。華君、ごめんね」
「わかったよ。はい、詩音」
そう言って、美咲さんは椚さんの隣に座らされた。
晴海君もやってきた。
「明けましておめでとう、今年もよろしく。乾杯」
俺達は、ワインを飲んだ。
「椚、パスタ食べるか?」
「食べます。食べます。」
椚さんは、美咲さんがパスタをいれてくれてるだけで嬉しそうだ。
「椎名さんと何かありましたか?」
パスタを受け取って聞いた。
「えっ、終わっただけだよ。」
美咲さんは、目を合わせないように話した。
「酷い事言われたんですね。美咲さんが、俺を誘うなんて有り得ないですから…。」
「そんな事ないだろ?そうじゃなくたって、誘うよ」
美咲さんは、サラダを取ってる。
「誘わないよ。美咲さんは、俺を誘わないよ。何百回も聞いてうんざりしてるかも知れないけど、俺は美咲さんが好きだよ。」
椚さんは、すごいな。
「酔ってるの?まだ、一口だろ?」
「だから、酔わなくたって言えるの。言わないから、何て言われたか教えてよ。」
美咲さんは、椚さんの目に弱いらしい。
「キスしてあげるから、忘れろって。キスは、回避したんだけど。嫌だからって。気持ち捨てろって。終わり」
詳しく話したくないから、美咲さんは終わらせた。
「何、それ、何様?」
華君が、怒ってる。
「だから、華が怒るから言いたくなかったのに」
チーズを食べてる。
「何も言わないの?きいて」
美咲さんは、椚さんの顔を見てとまった。
椚さんは、ポロポロ泣いてる。
「何で、椚が泣くの?」
「好きな人が、傷つけられてるのに…。俺は、美咲さんを守ってあげれないし、選ばれないし、抱き締められないし、傍にいれないし。とにかく俺は、何の役にも立てないのが情けなくて悔しくて。でも、それ以上に美咲さんの心から椎名さんを追い出せない自分が許せないんです。」
そう言って泣いてる。
胸が締め付けられる。
何てこの人は、真っ直ぐなんだろうか…。
「なんだよ、それ」
美咲さんは、椚さんの頭を撫でてあげた。
「優しくされたら、また俺勘違いします。勘違いしたら、告白1000回ぐらいしちゃいます。」
「1000回って、すごいな」
美咲さんは、笑いながらワイン飲む。
「くぬりん、またフラれたね」
「やっぱり、俺じゃ駄目だね。」
涙を拭って立ち上がる。
「お手洗いどこですか?」
「こちらです。」
星が、ついていって案内する。
「詩音、くぬりんは駄目なの?」
「よく、わからない。でも、今は、椚の真っ直ぐな気持ちに救われてる。」
「付き合ってあげたらいいのに」
晴海君が、サラダをとってる。
「甘えてるだけだよ」
美咲さんは、パスタをお皿にとって食べる。
「すみません。」
椚さんが戻ってきた。
「大丈夫か?」
「美咲さんに心配されたら、また、好きになりますよ。」
「これ以上好きになったって、報われないのに。どうして、俺を好きでいるの?」
美咲さんの言葉に、椚さんは考えてる。
「美咲さん、そんなのわからないじゃないですか…。10年後は?20年後は?美咲さんがどこかで俺を好きになってくれるかもしれないですよね。だから俺は、ずっと好きなんですよ。そのかわり、嫌だって言っても好きが
そう言って、椚さんは笑いながらパスタを食べてる。
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