椚さん

僕とるいが、玄関を開けると可愛らしい男の人が立っていた。


椚優真くぬぎゆうまです。美咲さんのお友達ですか?」


「はい、橘月たちばなるいです。こっちが、矢吹星やぶきひかるです。今、美咲さんは買い物に行ってます。どうぞ」


「よろしくお願いします。失礼します。こちらどうぞ、ワインです。」


「ありがとうございます。」


僕と月は、椚さんをリビングにあげた。


「コーヒー飲みますか?」


「あっ、はい。」


月が、コーヒーをいれにいった。


「美咲さんの所で、パティシエさんやってるんですよね?」


「はい、7年前からです。」


「デザート美味しかったです。」


「よかったです。喜んでいただけるのは嬉しいです。」


さっきの電話通りの人。


「はい、どうぞ。コーヒーです。」


3つコーヒーを月がいれてきた。


「いただきます。お二人は、恋人ですか?」


「はい」


「いいですね。羨ましいです。」


そう言ってコーヒーを飲んでる。


「好きな人いるんですか?」


わかってるのに、月が聞く。


「はい、美咲さんです」


「恥ずかしくないんですか…。そんなハッキリと、俺達に言うの」


「恥ずかしい?何故ですか?俺は、美咲さんが大好きなんですよ。恥ずかしいなんて思いません。好きが押さえれませんから」


そう言って頬を赤く染めてる。


何て、真っ直ぐな人なのだろうか?


ピンポーン


インターホンが鳴って、月が扉を開けに行った。


「こんなんだから、相手にされないんですよね。」


そう言って、頭を掻いてる。


「そんな事ないですよ。」


僕は、そう言った。


「椚、来てたか」


「美咲さん、つきました。華君、晴海君、明けましておめでとうございます。今年もよろしくね。」


「くぬりん、元気そうでよかった。」


華君は、椎名さんの時よりも明らかに椚さんが好きなのがわかる。


「華君、肩に手回すのだめだよ。」


「あー。くぬりんは、詩音の前だといっつもそれ言うんだから」


「誤解されたら、困るんだよ」


「しない。そもそも、椚には興味ない」


美咲さんは、そう言ってハムやチーズのオードブルを持ってきた。


「また、フラれましたね」


華君が笑ってる。


「今年は、まだ一回目です。」


「去年は、50回フラれてたよね」


「50回?!」


僕が驚いた顔をすると美咲さんは、サラダを持ってきた。


「まだ、ましだよ。その前の年は100回だよ。事あるごとに言ってくるの、自分が我慢できなくなったらな、椚」


「だって、一緒にいると苦しいから仕方ないよね。一緒にいると気持ちがあふれて止まらないんですよー。わかります?わかりますか?美咲さん」


僕ならお酒飲まないと言えない事をさらっと言える。


「酔ってるか、もう飲んできたか?」


「何言ってるんですか、酔わなくたって俺は美咲さんに大好きだって言えますよ。」


頬を赤く染めながら、笑ってる。


「くぬりん、報われないね」


華君が笑ってる。


「ワイン、椚さんありがとー。」


晴海君が、月とワイングラスを持ってきた。


「椚が好きな、カルボナーラ作ってやるから待ってろ」


美咲さんは、そう言ってキッチンに言った。


「美咲さん、椎名さんと何かあった?」


「知らないよ、なんで?」


晴海君は、そう言った。


「目が赤いから。あー。華君どうやったら俺は、美咲さんに振り向いてもらえる?化け物とかついてる?だから、駄目な感じ?」


「くぬりんは、何もついてないよ。むしろ天使だよね。羽根はえてるよね、飛べそうだよね」


「あー。そういえば」


そう言って、椚さんは財布から紙を取り出した。


「去年、栞さんが書いてくれたんです。麻美さんの誕生日ケーキのお礼に。お守りです。」


そう言って広げた絵は、色もついてる。


「すごい、綺麗な絵。」


目が離せなくなる程の綺麗な絵


「これが、俺らしいよ。」


月も覗き込んでる。



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