朝御飯
僕は、目覚めた。
「おはよう、朝御飯作る?」
僕よりも先に美咲さんが、起きていた。
「一緒に作る」
僕は、起き上がった。
「11時にでるよ」
「いけましたか?椎名さん」
「うん、大丈夫だったよ。」
美咲さんは、少し寂しそうな顔をした。
「本当に、終わらせるんですか?」
「うん。そろそろ、ちゃんと叶う恋愛しないとね」
「無理しないで下さい。」
「無理したいんだよ。星君」
そう言って、美咲さんとキッチンに行く。
キッチンで、朝御飯を作る。
美咲さんは、やっぱり上手に作る。
「星君は、初めて男の子を好きになったのってこないだ、華と晴海の店で、退院パーティーした人?」
「そうですね。」
「どうだった、付き合った時」
「僕は、殴られるのが愛情に感じてた。だから、殴られるのが嬉しかった。」
美咲さんは、玉子焼きを焼いてる。
「殴られるのが好きだったんだね。その為には、何でもしたの?」
「しましたよ。わざと、キスをしてもらったり。殴られた時の幸福感は、忘れられなかった。」
「よく、やめられたね?」
「月に、出会ったから。」
「出会うまでは、殴ってもらってたの?」
「うん、それが幸せだった。」
美咲さんは、冷蔵庫の野菜で味噌汁を作ってくれる。
「時雨って言うんだけど。時雨の事を何も考えてなかったんだ。」
美咲さんは、野菜を切りながら僕を見てる。
「今回、初めて知ったの。時雨が、両親に何をされていたのか。あの時の僕は、自分を殴ってもらう事しか考えてなかった。時雨が、暫く付き合った頃に僕を殴ってくれなくなったんです。今思えば、時雨の中で葛藤していたのだと思います。でも、子供だった僕は自分の欲求が叶えられない事に苛立った。だから、どうしたら時雨に殴ってもらえるか考えていたんです。」
美咲さんは、味噌汁を作りながら
僕を見つめてる。
「愛されたかったんだね。ずっと」
そう言って、笑ってくれた。
「そうかもしれませんね。母親や父親を時雨に求めたのかもしれません。」
「味見してくれる?」
「はい」
僕は、味噌汁を飲んだ。
「美味しいです。」
「よかった。」
美咲さんは、火を止めた。
「コーヒー飲みますか?」
「うん」
僕が、コーヒーを作り始めると美咲さんは話し始めた。
「愛情を欠けた部分を誰かで埋めようとする事は、出来ないよね」
美咲さんは、お握りを作ってくれてる。
「そうですよね」
「誰かに補ってもらうものじゃないって気がする。それは、自分で埋めるしかないんだよね」
月が、起きてきた。
「おはよう」
「おはよう、朝御飯できるよ」
「わかった」
月は、洗面所に行った。
「美咲さんは、僕なんかより真っ直ぐです。僕は、歪んだ愛しかしらなかったから…。」
「真っ直ぐなのだろうか?自分では、わからないけど。きちんと相手には、気持ちを伝えたいとは思ってるよ。」
「やっと、椎名さんに言えたんですね。」
「そうだね。本当は、ずっと、伝えたかったから。だけど、しーちゃんの気持ちと俺の気持ちは、一生混じり合わないから」
美咲さんは、お握りを6つ握った。
「お腹すいた」
月が、ラグや毛布を片して机をもとにもどした。
「食べようか」
「はい」
誰かに話すだけで、少し気分が軽くなった。
僕は、コーヒーや味噌汁を運ぶ。
朝御飯をテーブルに並べて座った。
美咲さんは、月に11時に店に行くからと伝えた。
「スーツ、着ていきますね」
月は、笑ってご飯を食べてる。
これから、どうなるのだろうか?
どうか、無事に終わって欲しい。
「俺のせいで、嫌な思いをしたらごめんね」
美咲さんの言葉に、月は
「今日は、悪い奴になるつもりなんで大丈夫です」
と笑った。
「普通でいいよ」
「駄目ですよ。俺と星の事わかってるでしょうから」
そう月が言うと、美咲さんは、少し考えてから…。
「そうだよね」と頷いている。
ご飯を食べ終わると、二人は行くための用意をし始めた。
僕は、家で待ってるしかないのが少しもどかしかった。
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