終わらすから

「もう、終わらすから…。貸してくれない?るい君」


美咲さんは、ひかるにお願いした。


「僕は、るいがいいなら構わないよ」


「美咲さんは、それでいいんですか?」


美咲さんは、寂しそうな表情を浮かべながらも笑って


「構わないよ。だって、華も晴海もしーちゃんの事嫌いだから」


お兄ちゃんは、我慢しなければならないのだろうか?


「二人が、嫌いでも美咲さんが好きなら諦める必要も終わらせる必要もないんじゃないですか?」


「それでも俺は、華と晴海が大切なんだよ。それに、しーちゃんはないでしょ?俺とは好きも大事も違うから」


美咲さんは、そう言ってビールを飲んだ。


「美咲さんがいいなら、俺はいくらだって協力しますよ。」


「ありがとう」


そう言って、美咲さんが笑った。



「今日は、泊まっていい?」


「はい」


「明日、店で話できるか連絡しておくよ。」


「わかりました。」


「あっ、僕のベッドと月のベッドどっちにしますか?」


「ここで、構わないよ」


「なら、ここで三人で寝ましょう」


「三人で?なんで?」


「美咲さんは、今日は誰かと寝るのが一番ですよ」


そう言って、星は片付け始めた。


「ごめんね、二人を利用してる。」


「全然、大丈夫ですよ」


「二人が、優しいのわかっててごめんね」


「謝らないで下さいよ。僕も月も、美咲さんが好きだからやってるんです。」


「明日、月君の事月って呼んでいい?」


「大丈夫ですよ」


「敬語は、なしね」


そう言って美咲さんは、笑った。


おせち料理を下げてく、俺は立ち上がって机とかを端に動かす。


「俺、うまくできるかな?」


美咲さんは、ビールのゴミを集めながら言ってる。



「バレないようにですね」


「うん」


「月君が、うまくやってね?」


「俺も、出来るかな?ハハハ」


「下手でもいいよ。バレないようにだけしたら。」


そう言って、星が笑った。


片付けたら、あの日みたいにだだっ広い空間が現れた。


「布団ないね」


「ラグ、何枚かひく?後、毛布ならあるか」


「だね」


星が、ラグを取りに行ってる。


「好きな人に好きになってもらうって難しいね」


「美咲さんみたいな綺麗な顔で、真っ直ぐな心で、そんな人でも難しいなら…。俺なんかもっとですね」 


「そんな事ないよ。ちゃんと気持ち掴まえてるでしょ?月君は」


「やっぱり、俺みたいに男の人を好きじゃない人をその気にさせるって大変なんですか?」


「大変だよ。すごく。心が擦りきれる事の方が多い。10年前からそう。好きな人は、いつも女の子が好きで。別れる時は、いつも女がいいってフラれるんだ。」


そう言い終わった時に、星がラグを持ってくる。


「辛い恋愛が、多かったんですね。」


「星君は、そういう人じゃなかった。」


「僕は、最初女の子が好きでした。母親に捨てられてから、恋愛対象は男にかわりました。女は、母親以外知りません」


その言葉に美咲さんは、驚いていた。


「重たかったですか?」


「いや、全然」


「俺は、女の子に最低って殴られるのが幸せでした。だから、ずっとそうやって言われる恋愛をしてきた。」


「二人は、すごいね。」


そう言って美咲さんは、頭を撫でてくれる。


「お兄ちゃん、やめてもいいのに」


星の言葉に美咲さんは、笑った。


「やめれないんだよ。お兄ちゃん気質はね。抜けないんだ」


「それは、そう教えられてきたからですか?」


「そうだね。小さい頃から、詩音はお兄ちゃんだからって言われてきた。華と晴海を守るのは、俺だって信じてきた。」



「だから、諦めようとしたんですか?」


「そうだね。しーちゃんを好きになれない。だったら、諦めるしかないよね。俺は、華と晴海に好きになって欲しいんだ。だから、無理なら仕方ないよね。元々、望みないけどね。」


そう言って、美咲さんは笑った。


俺と、星は寝る準備をしてこの日は、三人で川の字で眠った。



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