14
「悠、一緒の班になろうぜ」
修学旅行の班決め、先生が「男女混合の四人班を作ってください」と言った瞬間、智弘が一番に僕の席に向かって言う。
「いいよ。だけど、女子はどーする?」
「そんなの決まってるだろ」
そう言うと智弘は、クラスで一番の美女、三上波留奈のところへ行き、数秒話すのが見えたと思ったら、智弘は波留奈ともう一人、花崗をつれて戻ってきた。
「波留奈と花崗、悠も仲がいいだろう?」
波留奈とはちょくちょく話すだけの関係で、友達か、と言われると難しい関係だ。花崗とは近所ということもあって、小学校からの仲だった。
「よろしくね、悠くん」
これが波留奈と僕とが仲良くなった、最初のことだ。
山奥にあるペンションの経営者である波留奈の親戚は、とても温厚な方で接しやすかった。
荷物を置き終え、時刻は昼になろうとしていたのでご飯を食べるため海岸沿いの道路を進むことにした。そこで見つけた「海鮮」とだけ書かれた年季の入った店に入ることにした。その店には客がいっぱいいて、脂ののった魚や貝類の新鮮な風味は海を感じさせてくれて、満足のいく時間を過ごせた。
「いやあ美味かったな、また来たいな」
智弘は一番多いセットを食べ、満足そうに腹をさすった。
「智弘すごい食べてたよねぇ」
花崗は昔から小食なので、一番小さいセットを注文していた。
「食べたことだし、次行っちゃいますか!」
「お! やっぱ海だよな! 運転頼むぜ悠!」
「みんな免許とってよねえ。てか花崗、お前免許あるよなあ?」
「私は軽しか運転できない体になってしまったんだよ」
訳の分からんことを言って、花崗と波留奈と智弘は先に進む。
「俺ら大人になったら、四人で旅行行ってみたいな」
「それいいね! どこ行く? 京都とは雰囲気違うところ行ってみたいよね」
「それなら沖縄でしょ! 行ったことないけど、行ったことないから一緒に行ってみたい」
「沖縄もいいなあ。でも悠、私は熱海を推すよ。あそこはいいぞ。近いから忘れているだけで、別名「日本のハワイ」と言われているほどいい場所なんだよ」
「熱海いいね。四人で行ってみたい」
「いいなあ熱海。伊豆も行ってみたくなるけど。そん時は悠が運転頼むな!」
「なんで俺なんだよ!」
「だって俺、運転できないかもしれないし」
「悠、私に運転任したら死人がでるぞ」
「私も……、悠くんお願いね」
「じゃあ、行くよー」
「レッツゴー!」
四人を乗せた車は勢いよく走りだし、太陽の光を反射し輝く海は空の青よりも輝いて見えた。あの頃見たかった景色は遅かれ早かれ多分一緒なんだと思う。ただそこにいてほしい存在がいるだけで、見える景色はこの海の輝きよりもきれいな輝きで溢れているに違いない。
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