君の英雄
「本当に、マジでなんかごめんなさい……」
「ほんっっとうにびっくりしたのだぞっ!? あまりにも驚きすぎて、危うく私もカノアと一緒に気絶するところだったのだっ!」
俺がリズに好きだって言おうとして倒れた後。
リズは倒れた俺を荷物運び君五号で家まで運んでくれて、看病までしてくれた。
目を覚ました後で言われたけど、俺はちゃんとリズに好きって言えたっぽい。
俺にそう言われたのと倒れたのが同時に来て、リズは凄く驚いたみたい。
なんか、またリズに迷惑かけちゃったな……って、最初はしょんぼりしてたんだけど――。
「だが……もうそんなことはどうでもいいのだ……っ! むふ……むふふふっ!」
「はわわ……!」
あの、その……。
なんていうか……今の俺はリズにガシって抱きつかれてて動けない。
リズは何かを言うときだけちょっと体を離して俺の方を向くけど、すぐにまたぎゅって抱きついてきて、すりすりすりすりずっとされてて……。
「私もカノアが大好きなのだ……っ! 私がカノアのことをどれほど好きなのか……そもそも、いつからカノアのことが好きだったか分かるかっ!? かなり初めの方からだ! 私も自分でびっくりするほど最初から好きだったのだっ! 分かっているのか!?」
「ぜ、全然分かりませんでした……」
「ぬわーーーーっ! やっぱりそうだと思ったのだ! それなのにお前ときたら、私にいつもいい笑顔を向け、私がピンチになると必ず颯爽と助けに現れ、ちゃんとしていれば普通に格好良く、その上毎日毎日いつだって私とずっと一緒にいてくれて……っ! キーーーー!」
「な、なんてこった」
でも、こんな風にリズといられるのは、もちろん嫌じゃない。
こうしてリズとくっついていられるのは凄く嬉しいんだけど……。
やっぱり、どう考えても色々ヤバイ……。
さっき気絶したばっかりなのに、また気絶しそう……。
「その上……まさかカノアも、私のことをそのように想ってくれていたとは……っ。しかも……しかも〝あのカノアが〟……っ!? あんなにフラフラになりながら、それでも自分から私に……っ!? う、ううぅぅぅぅっ! 嬉しすぎて涙が止まらぬ……っ!」
「お、俺も……すごく嬉しい……。ちゃんと言えて良かった……」
「くぅぅぅぅ! 本当に嬉しいのだ……! カノアが好き過ぎてたまらぬううううう……っ! 好きで好きで好きで好きでどうしようもなく好きなのだ……っ! もうぜっっっったいに離さんぞっ! 私がよぼよぼのお婆ちゃんになっても一緒にいて貰うからなっ!? 絶対だ! いいなっ!? 約束するのだっ!」
「が、頑張ります……」
まるで途轍もなく懐いてる猫みたいに、リズは俺にすりすりして丸くなった。
おっかなびっくり伸ばした手がリズの長い髪と、細くて白い肩に触れる。
ついでに、嬉しそうにリズがもぞもぞする度に、とっても良い匂いがした。
「むふふ……っ! むふふふ……っ! もちろん、頑張るのはカノアだけではないぞ……! 今までと同じように、私と二人で一緒に頑張ればそれでいいのだ……。これからも、ずっと一緒にいられるように……。それでいいか……?」
「それは……。うん……俺もそうしたい」
「ん……。大好きだぞ、カノア……っ」
ずっとすりすりしてたリズが、俺なんかじゃうまく説明できない、とっても綺麗な顔でまっすぐに俺のことを見た。
そのうち、だんだん目の前がリズで一杯になって、リズしか見えなくなった。
俺は目を開けたまま、そうなるのをじーって見てた――。
――――――
――――
――
きっと……俺は凄く〝運が良かった〟んだと思う。
宝くじの一等賞を当てたりするよりも、もっとずっと――。
偶然水泳EXなんて力に目覚めて……。
そこからリズに会って、皆とも会えた。
リズは凄く優しくて、皆もとっても優しくて。
いつのまにか、俺もずっと皆と一緒にいたいって思うようになった。
きっと、そう思えるようになったことが。
リズと一緒に、皆と一緒にいたいって、そう思えるようになったことが。
俺の一番運が良かったことなんだろうなって、なんとなくそう思った。
リズだけで一杯になった俺の頭の、端っこの方。
俺はそんなことを考えながら、今も俺のことを好きって言い続けてくれてるリズのことを、もっと大切にして、もっと喜んで貰おうって決めた。
リズが俺にしてくれたみたいに。
皆が俺にしてくれたみたいに。
出来ることからやってみよう。
お昼まで寝てても良い感じで。
俺も、皆も、一緒に楽しくなれるように。
多分、俺はもう……そのためにどうすればいいのか、分かってる気がするから――。
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