第2部 霧宮ナツハ編
第1章 グリーンバックの向こうで (霧宮ナツハ編) 前編
春。僕は目覚まし時計で目を覚ました。
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「……はぁ……。朝か……。」
僕の名前は真瀬莉緒(まなせ りお) 。この春に6つの高等学校が合併した、六郭星学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「僕は今日から六郭星学園の生徒か…。」
今日から新たな友達と授業を受ける。そう思っただけでドキドキした。
真瀬莉緒
「大丈夫…大丈夫…。」
僕はそう言い聞かせながら支度をし、六郭星学園に向かった。
六郭星学園 校門
真瀬莉緒
「ここが六郭星学園…」
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「何か…すごいところね。」
この人は真瀬志奈(まなせ しな)。僕の双子の姉。
姉さんもこの学園に通う高校3年生だ。
真瀬莉緒
「でも、合併して方針が変わって全寮制になるなんて思わなかったよ。」
真瀬志奈
「でも寝坊しなくなるんじゃない?」
姉さんは笑顔でそう言った。
真瀬莉緒
「それ言わないでよ…。」
僕は照れながらそう言いました。
姉さんは僕をからかうのが好きなんだ。
真瀬莉緒
「…で、姉さんはどこのクラスだったの?」
真瀬志奈
「私は…Cクラスね。」
真瀬莉緒
「へぇ…俺はIクラスだったよ。バラバラになっちゃったね。」
真瀬志奈
「そうね。学校内でも会えるし、問題ないわよ。」
真瀬莉緒
「それもそうだね。じゃあ、そろそろ自分たちの教室行こう。」
真瀬志奈
「えぇ。」
六郭星学園 校内
真瀬莉緒
「へぇ……広いね……。」
さすがは六郭星学園。6つの学校が合併しただけあって校内はかなりの広さだ。
僕はふと音楽室が気になり、音楽室へと寄り道をしようとしたとき、ヴィオラの音が聞こえた。
真瀬莉緒
「ヴィオラ……?誰かひいているのかな……?」
音楽室の扉を開くとそこには黄色いリボンを着けた女子生徒がいた。
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「………………。」
真瀬莉緒
「あの…………。」
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「…………あら?あなたは……?」
真瀬莉緒
「ああ……突然ですみません。つい……。」
ん?…………この人……どこかで……?
気になり出していた時、僕の後ろから黄緑色のリボンをつけた女子生徒が背後から声をかけてきた。
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「何しているの?そろそろ時間よ。教室に戻りましょう。」
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「ええ、わかったわ。ごめんなさいね……」
ヴィオラを弾いていた彼女はそう言うと音楽室から出ていった。
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「あなたもそろそろ自分の教室に戻りなさい。」
真瀬莉緒
「はい……」
そう言われるがまま僕は教室に行くことにした。
六郭星学園 Iクラス教室
教室に入ると、さっきの女子生徒2人がいた。
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「あ、さっきのあなた!」
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「同じクラスメイトだったのね……」
僕はこの人たちと同じクラスになるんだ……少しドキドキしてしまう……。
するとまた背後から別の女子生徒が声をかけてきた。
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「おおー莉緒じゃん。同じクラスなんだね。」
真瀬莉緒
「あ!シオン!……また同じクラスか……。」
櫻井シオン
「ええ、必要ないかもだけど櫻井シオン(さくらい しおん)。またよろしく!」
霧宮ナツハ
「自己紹介がまだだったわね。霧宮ナツハ(きりみや なつは)。よろしく。」
美園エリカ
「美園エリカ(みその えりか)。よろしくね。」
真瀬莉緒
「真瀬莉緒っていいます。よろしくお願いします!」
自己紹介を済ませて僕は自分の席についた。
チャイムが鳴りホームルームが始まり、教室に担任の先生が入ってきた。
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「やや、諸君!みんな揃っているわね!」
なにやらテンションが高い先生が入ってきた。
神谷乙音
「私はこのクラスの担任。神谷乙音(かみや おとね)です。どうぞよろしく!!」
僕自身もそうだが、先生のテンションに少しだけ戸惑っている。他のクラスメイトも含めて。
それを気にせず先生は学校の説明に入った。
神谷乙音
「ええー皆さんもご存知の通り、6つの高校が1つになりました。最初は戸惑うかもしれませんが、みんな仲良く過ごすことができたらなと思っております。」
クラスメイトは戸惑いながらも「はい。」と答えた。
そして唐突に先生はこんな事を話した。
神谷乙音
「そして!唐突ですが、皆さんには課題をやっていただきます!」
その発言にクラスメイトたちはざわつく……
神谷乙音
「いきなりかもしれませんが、課題は自由研究!そしてその課題は、ペアでやっていただきます!」
すると神谷先生はくじ引きの箱を教壇机の上に置いた。
神谷乙音
「課題のペアはくじ引きで決めます!中にはカラーボールが入っていて同じ色のカラーボールを持っている人がペアになります。じゃあ、この列の人から順番にくじを引いてね!!」
そう言うとクラスメイトたちは次々とボールを引いていく。そして、僕の順番が回ってきた。僕はボールを引いた。ボールの色は…………黄色だった。
神谷乙音
「じゃあ、同じ色のボールを持っている子とペアになってください!!」
僕は同じ色のボールを持った人を探す……
同じ色のボールを持っていたのは……。
霧宮ナツハ
「同じ色ね。よろしくね。」
霧宮さんだった。どこかで見たことあるんだけど……まだ少し思い出せないな……けれど、しばらくの間はよろしくお願いいたします。
真瀬莉緒
「こちらこそよろしくお願いします。」
霧宮ナツハ
「えぇ……。」
神谷乙音
「よーし!それでは……では……自己紹介に行きましょう!!まずは……あなた!」
櫻井シオン
「櫻井シオンです。特技は……音楽です!よろしくお願いします!」
神谷乙音
「元気が良いわね!それじゃあ……次!」
美園エリカ
「美園エリカです。よろしくお願いいたします。」
神谷乙音
「シンプルでわかりやすいわね!じゃあ次は……あなた!」
真瀬莉緒
「は、はい。真瀬莉緒です。特技は楽器という楽器を全部弾けます。」
そう言うと、教室のみんなは驚いていた。期待をしているのだろう。
神谷乙音
「へえ……!すごいわね!今度聞かせてね!じゃあ次はあなた!」
霧宮ナツハ
「霧宮ナツハです。モデル……やってます。」
あ!思い出した!この人はモデルやっている人だ!色々テレビに出ているから覚えていたんだ。
霧宮ナツハと聞くや否やクラスメイトたちがざわついている。
神谷乙音
「こらこら!みんな静かに!有名人だけど友達として対応するのよ!」
神谷先生がそう言うとクラスメイトたちは急に黙り込んだ。
神谷乙音
「まあ……これからよろしくねってことで!じゃあ、これにて失礼!」
神谷先生はそう言うと教室から出て行った。
ふと気になったのはシオンたちがどういう関係性なのか…………思い切って聞いてみた。
真瀬莉緒
「シオンは2人とは知り合いなの?」
櫻井シオン
「うん。説明会で仲良くなったんだ。…………あ、私たちは桃乃木音楽学校出身なの。」
霧宮ナツハ
「へぇ……私は紫山高等学校よ。」
紫山高等学校……翠木学校と張り合う偏差値の高校だな……。
美園エリカ
「私は山吹山高等学校。この辺だとパソコンにも力を入れている学校よ。」
山吹山高等学校……ゲーム会社とかの就職が多い学校だったな。
霧宮ナツハ
「それにしても……桃乃木音楽学校ね……。それじゃあ……音楽には強いってことね。」
真瀬莉緒
「まあ……演奏程度ならできますけれど……。」
霧宮ナツハ
「じゃあ……後で音楽室に来て。どれだけ弾けるのか聞かせて欲しいわ。」
真瀬莉緒
「え、いや……あの……」
霧宮ナツハ
「じゃあ……よろしくね。」
霧宮さんはそう行って教室から出てってしまった。
真瀬莉緒
「やれやれ……」
櫻井シオン
「良いの?断っても良かったんじゃない?」
真瀬莉緒
「仕方ないよ……もう……」
美園エリカ
「演奏って……実力はどうなの?」
櫻井シオン
「莉緒はね……腰抜かすよ。気を抜いて聞いていると。」
美園エリカ
「それは聞いてみたいわね。私も音楽室について行こうかしら?」
真瀬莉緒
「それは……霧宮さんに聞いて頂かないと……」
美園エリカ
「それもそうね。それじゃあ、ナツハのことはよろしくね。真瀬さん。」
真瀬莉緒
「……はい。」
六郭星学園 音楽室
音楽室に向かうと、待たせたためか、霧宮さんはピアノの椅子に座りながら足を組みながら少しくたびれていた。待っていた時のポーシングもモデルさながらだった。
霧宮ナツハ
「……遅い。」
真瀬莉緒
「すみません……。」
僕はとりあえず謝った。
霧宮ナツハ
「……で。演奏してもらう楽器なんだけれど……ヴィオラでいいかしら。」
ヴィオラか…………何年ぶりくらいだ……?まあ大丈夫だろう。
真瀬莉緒
「わかりました。では……」
僕はヴィオラを手に取り、演奏を始める……
演奏を終えた。ヴィオラをしまい、霧宮さんの方を向くと霧宮さんは口を抑えながら驚いていた。
霧宮ナツハ
「すごいわ……すごい……。」
真瀬莉緒
「はぁ……ありがとうございます。」
霧宮さんは素直に褒めてくれた。純粋に嬉しい気持ちになった。
そんな気持ちの中、トランペットらしき音が聞こえた。
真瀬莉緒
「このトランペットの音……どこからだ……?」
僕は不思議に思っていると霧宮さんはすぐさまこう言った。
霧宮ナツハ
「ノクアでしょう?出てきたら?」
??
「バレちゃったか……。」
彼はそういうと姿を表して、僕の顔を見るとすぐに挨拶をしてくれた。
風亥ノクア
「はじめまして。風亥ノクア(かぜかい のくあ)って言います。お見知りおきを。」
真瀬莉緒
「どうもこれはご丁寧に……。」
あれ……?この人もどこかで……?
風亥ノクア
「おっと、こんな時間だ。そろそろ、学園キングの撮影だ。ごめんね。いきなりで。それじゃあ……またいつか会おうね!」
風亥さんはそう言うと音楽室から離れた。
離れてから思い出したのは風亥さんは学園キングという番組の出演者だったんだ。芸能人とインテリ学生たちのクイズバトルで確かインテリ学生のメンバーだ。
モデルと言い、インテリ学生もいるなんて……すごい学園だな……。
霧宮ナツハ
「…………モデルとかすごいと思っているでしょう?」
真瀬莉緒
「えっ……いや、そのまあ……すごいなって。」
霧宮ナツハ
「…………羨ましくなんてないわよ。」
真瀬莉緒
「えっ……?」
霧宮ナツハ
「なんでもないわ。とりあえず作曲で課題を進めましょう。」
真瀬莉緒
「課題を……ですか?」
霧宮ナツハ
「ええ、せっかくだもの。やりましょうよ。」
真瀬莉緒
「…………少しだけ考えさせていただけますか?」
霧宮ナツハ
「わかったわ。近いうちに答えを出してね。」
真瀬莉緒
「はい。」
結局、その日は解散した。
明日からは寮生活が始まる。急いで家に帰って明日の準備をしてから考えよう……。
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