第3章 黄色い光 (月川タクト編) 後編
来川医療センター 月川タクトの病室
今日はお見舞いに来ている。タクトは未だに心を閉ざしている。
月川タクト
「…………。」
真瀬志奈
「…………。」
何を話せばいいかわからない。けど、今日は違う。私はタクトにこう言った。
真瀬志奈
「私は救ってみせる…!月川くんのために…夢のために!」
月川タクト
「……志奈……さん。」
真瀬志奈
「待ってて!私はあなたを信じているから!」
そう言って、私は病室を離れた。
来川医療センター 病室
病室を出るとそこには来川さんがいた。
来川ナナ
「どうでしたか?月川さんの調子は?」
そう言われて、私は自信を持ってこう言った。
真瀬志奈
「はい。まだ心は閉ざしていたままですが、私は絶対に元のタクトに戻って来ると信じてます。」
私は信じる…だってペアでもあり、恋人だから……。
六郭星学園 Eクラス教室
鹿崎咲也
「今日のホームルームは以上!今日もお疲れ様!」
ホームルームが終わり、全員が帰りの支度をする。
そこへ先生がこちらへ来た。
鹿崎咲也
「真瀬。調子はどうだ?」
真瀬志奈
「私は大丈夫です。ただ……」
鹿崎咲也
「月川か?……まあ、心配するのも無理はない……三蜂にあんなことをされたんだ。あいつもしばらく部屋から出てこないみたいでな……。」
真瀬志奈
「そうなんですね……」
言うまでもないが、三蜂レンカはあの後色々と先生方から釘を刺されたらしい。ただし、反省の色は全く持ってないそうだ。
鹿崎咲也
「三蜂はいずれにしろ、処罰が下されるだろう。退学は難しいらしいが……」
真瀬志奈
「難しいですか……」
鹿崎咲也
「それにしても、最近作曲はできているのか?月川がいないから作曲が進まないんじゃないのか?」
真瀬志奈
「それは大丈夫です!私は信じてますから。タクトが元気になることを……!」
私はしっかりと言った。
鹿崎咲也
「そうか……。でも、真瀬は月川を下の名前で呼んでたか?」
真瀬志奈
「私は彼のパートナーですから!タクトのために作曲を続けます!」
鹿崎咲也
「そうか……!真瀬は決意したんだな……!じゃあ、俺は応援するだけだ!頑張れよ!」
真瀬志奈
「はい!」
そこへ柊木さんが血相を変えてやってきた。
柊木アイ
「真瀬さん!担当警官の顔写真が見つかったって!」
真瀬志奈
「……!」
柊木アイ
「ミカがKクラスに来て欲しいって言ってる。すぐに行こう!」
真瀬志奈
「はい!」
六郭星学園 廊下
私と柊木さんは急いでKクラスに向かった。ただし、KクラスはEクラスと距離が遠い。廊下は走れないが無我夢中で駆け足で歩いた。
真瀬志奈
「はあ……はあ……」
さすがに遠い……休もうとした時……
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……何……」
謎の耳鳴りが鳴る。
真瀬志奈
「……苦しい……!」
ギギ……ガガ……
柊木アイ
「真瀬さん!大丈夫!?しっかりして!」
真瀬志奈
「はぁ…はぁ…」
耳鳴りが治まった。一体なんだったのだろう……
真瀬志奈
「もう大丈夫です…行きましょう。」
柊木アイ
「う、うん……。」
六郭星学園 Kクラス教室
Kクラスの教室。教室には誰もおらず、古金さんと莉緒がいた。古金さんは場を盛り上げるかのように一声を放つ。
古金ミカ
「ほっほーい。来たね。それじゃあ早速始めますか?」
真瀬志奈
「はい……お願いします。」
古金さんはそれを聞くと表情を一変し、真面目な話になった。
古金ミカ
「これが担当警官の顔写真。この人が誤見きらめかよ。」
真瀬志奈
「……!?この人って……!?」
間違いない。この人は……
真瀬志奈
「三蜂レンカのことで相談した……担当警官……。」
柊木アイ
「本当に!?そんな……!?」
真瀬志奈
「間違いないです。この人のことは覚えてます!」
古金ミカ
「ただ……聞くにしても証拠がないわね。」
真瀬志奈
「そうですね……。」
真瀬莉緒
「ねえ、問いただすことはできないの?」
古金ミカ
「いくらなんでも無理よ。さすがにそれは……」
その時、古金さんの携帯が鳴った。
古金ミカ
「ごめん、ナナからだわ。」
古金ミカ
「もしもし〜ナナ〜。どうしたの?…………嘘でしょ!?」
真瀬志奈
「……!?」
古金ミカ
「今、女性警官が月川さんの病室に入ろうとしているみたいなの!」
柊木アイ
「……!まさかその人って……誤見じゃ……!」
古金ミカ
「可能性は高いわ!行くわよ!」
真瀬志奈
「は、はい!」
来川医療センター 月川タクト病室前
来川ナナ
「みんな!こっち!」
柊木アイ
「あ……あいつは……!」
女性警官
「……。あなたたち……。」
真瀬志奈
「誤見きらめかさんですよね。タクトの親の事故の担当は。」
女性警官
「…………。」
真瀬志奈
「その誤見きらめかって人。あなたですよね。」
誤見きらめか
「そうと言ったら?」
真瀬志奈
「……!やはりあなたが証拠を……!」
誤見きらめか
「そんな証拠はどこにもないわ。」
??
「それがあると言ったら?」
柊木アイ
「だっ……誰だ?」
姿を現したのはダンディなおじさんだった。
中井雄也
「失礼、私は刑事の中井と申します。」
柊木アイ
「なんだ……中井さんか……。僕の知り合いの刑事さんだよ。ここに来たってことは……。」
中井雄也
「ああそうだ。誤見きらめか。君を、犯人隠避罪の容疑で逮捕する。」
その言葉とともに大量の警官が誤見きらめかを囲った。
中井雄也
「見つけたんだよ。証拠を。君のお姉さんが轢いたのを目撃した人をね。」
誤見きらめか
「ば……馬鹿な……!そんな人がいるなんて……!」
中井雄也
「話は署で聞く。行くぞ。」
誤見きらめか
「まあいいわ……私が逮捕されたところで……計画は終わらないわ……。」
真瀬志奈
「計画……?」
誤見きらめか
「ふん、いずれあなたたちも苦しみに満ちるのよ!!」
中井雄也
「もういい!連れて行け!」
誤見きらめかは連れて行かれた。最後の捨て台詞で言った計画……しばらく頭から離れなかった……。しかし、これでタクトの過去の真相がわかると思うと、私はすぐに計画のことを忘れた。
中井雄也
「君たちに彼の父親の事故の真相を話そう。」
真瀬志奈
「タクトのお父さんのこと……ですか。」
中井雄也
「ああ、そうだ。彼の父親の死は事故ではない。彼の母親と犯人と思われた男の妻による計画殺人だったんだ。」
その言葉を聞き愕然とした。
真瀬志奈
「計画殺人……!?」
中井雄也
「彼の母親たちはある実験の研究者でね。父親と犯人と思われた男は実験台だったんだ。」
柊木アイ
「実験台……。」
中井雄也
「彼の父親と犯人と思われた男、小山というのだか、どうやら実験に失敗したらしく用済みになり、お払い箱。ただ、彼の父親には保険金がかけられていたらしい。」
真瀬志奈
「それで……あの事故を……」
中井雄也
「その通りだ。ただ、小山は犯人に仕立て上げられ苦しかったんだろう。それで彼女たちは無惨にも殺害されたんだろう。小山もある意味被害者かもしれないな……もっとも子供が1番の被害者だろうけどな。」
真瀬志奈
「全くですね……。」
その時、病室の扉が空く。そこにはタクトがいた……
柊木アイ
「タクトくん!」
真瀬莉緒
「タクト!今の話聞いていたのか……?」
月川タクト
「……うん。」
真瀬志奈
「…………。」
星野シキア
「私も聞いていたわ。」
真瀬志奈
「星野さん!?」
星野シキア
「タクト、私は夢を見るのはもうしない。けど、あなたの夢まで否定するのはもうしないわ。」
月川タクト
「シキア……?」
星野シキア
「羨ましいわ……あなたにはこんなにもの人が助けてくれたんだから。」
月川タクト
「……。」
星野シキア
「あなたのために、志奈は今でも作曲していたのよ。……タクト、もとの優しいタクトに戻りましょう……!」
月川タクト
「…………。みんな……。」
真瀬志奈
「タクト。キーボードを貸して。」
私はキーボードの前に立つ。そして、これまでタクトと作り上げた曲を弾き始める……
真瀬志奈
「これが、今まで私たちが作り上げた曲よ!」
曲を弾き終えたあと、柊木さんたちはすごいとばかりに驚いていた。
タクトは……曲を聞いて、その場で泣き崩れた……。
月川タクト
「うわぁぁぁ……!俺は……!俺は……!」
真瀬志奈
「タクト……。」
月川タクト
「母さんは……!哀れな……人間だ……!金の欲しさや自分の欲望のために人を殺めるなんて……!」
真瀬莉緒
「タクト……お前……。」
月川タクト
「みんな……ごめん!俺は……!」
真瀬志奈
「いいのよ、タクト。あなたは悪くない!私たちなあなたが元気になったことだけを祈っていたの!」
月川タクト
「志奈さん……。俺のことを……。」
真瀬志奈
「ええ、だって私たちはパートナーでしょ!このくらいは当然よ!」
月川タクト
「志奈さん……ありがとう。」
真瀬志奈
「いいの。それよりも早く元気になってね!」
月川タクト
「ああ!俺、もうすぐ戻るから!だからみんな待っててね!」
六郭星学園 Eクラス教室
あれから1週間が経った日……
月川タクト
「みんなただいま!心配かけてごめんね!」
柊木アイ
「良かった……!元気になったんだね!」
夜坂ケント
「ああ……心配したぞ。」
柊木アイ
「そう言ってケントくんもしばらくいなかったくせに!」
夜坂ケント
「な、仕方ないだろ……!色々あったんだぞ!」
鹿崎咲也
「まあまあ!これで全員揃ったわけだ!また改めてよろしくな!」
月川タクト
「みんな!よろしくね!」
真瀬志奈
「ふふ……」
やっぱりタクトは笑顔が、1番ね。
タクトも戻ったから、作曲作りに取り掛からないと!
また私たちの作曲作りが始まります!
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