colorful 〜rainbow stories〜

第４章 若竹色の帽子 (月川タクト編) 前編

冬。もうすぐで卒業をする。１年間ではあるものの充実した１年になりそう。

そして、作曲も順調に進んでいる。

六郭星学園 音楽室

笛花奏

「その調子。あとはここを……そう。」

月川タクト

「はい……こうですか？」

笛花奏

「そう。そんな感じ。いいわね！」

月川タクト

「ありがとうございます！」

タクトはブランクを感じさせないくらいスムーズに技術を向上させている。

真瀬志奈

「タクト、上手くなっているね。」

月川タクト

「ありがとう！俺はさ、前まで練習できてなかったから、頑張らなきゃって思ったんだ。」

真瀬志奈

「そうね。でも無理はしちゃダメよ。」

月川タクト

「わかってるよ。でも……色々と迷惑かけてたからね。ここで挽回しないと！」

笛花奏

「そうね。でも、真瀬さんの言う通り無理は禁物よ。それは肝に銘じておきなさい。」

月川タクト

「……はい。それだけは注意します。」

タクトはそう言って再び練習に取り掛かる。こうしてまた２人で作曲できることは嬉しい限り。

笛花奏

「ところで……２人は期末テストの勉強はしているの？」

真瀬志奈

「あ！忘れてました！」

月川タクト

「そうでした……僕は入院していたからここで単位落としたら大変なことになる……！」

笛花奏

「ふう……仕方ないわね。今日は練習はおしまい。２人は直ちに勉強するように！」

私たちは渋々と「はい。」と返事をして勉強に取り掛かることにした……

六郭星学園 Ｅクラス教室

音楽室から戻り、私たちは柊木さんと夜坂さんと一緒に勉強を始める。

柊木アイ

「タクトくんすごいね。さすが風亥くんと同じ学力だね。飲み込みが早いね！」

月川タクト

「へへ、このくらいなら簡単だよ。もっと難しい問題にも挑戦しないと！」

夜坂ケント

「そうだな。……ところで、風亥と同じ学力なら風亥が出ている番組にも出れるんじゃないのか？リーダーの十森さん、近々卒業するんだろ。」

月川タクト

「そうみたいだね。来年みたいだけど……それに俺はテレビとかはあまり出たくはないし、作曲をしたいから俺はテレビ越しで風亥を見るだけで十分なんだ。」

夜坂ケント

「そうか……仲間思いだな。さぁ、勉強再開するか。」

夜坂さんも学校が合併してから、すっかりと変わり、顔から笑みが出る機会が増えたような気がします。

でも……もうすぐ卒業も近い。この光景ももうすぐで見られなくなるんだろうな……。

でもその前に課題もある。やることは沢山ある。

真瀬志奈

「みなさん、頑張りましょう！」

柊木アイ

「もちろん！お互いにね。」

夜坂ケント

「ああ、課題の方も頑張れよ。」

月川タクト

「へへ、そうだね。俺らも頑張らないと！」

真瀬志奈

「ふふ……」

雑談を終えた後、私たちは再びテスト勉強に取り掛かった。

……そして、テスト当日。

鹿崎咲也

「今日は期末テストだ！みんな悔いのないように勉強したよな！頑張れよ！」

クラスメイトたちが「はい。」と答える。

私も頑張らないと……！

鹿崎咲也

「それでは……テスト開始！」

その言葉で私は裏返したプリントをめくる……

テスト終了のチャイムが鳴る。

私のプリントは空白欄は無く、出来る限りの答えを出した。そして全員が提出した……

テストの結果は大広間にて貼り出される。１位から最下位まで名前が載る。貼り出されるまでの間、ドキドキが止まらない。

そして……結果発表当日。

月川タクト

「テスト結果……。どうなるんだろね。」

真瀬志奈

「ええ……ドキドキだわ……。」

そして、テストの順位が貼り出される……

生徒の人数は７００人前後……私たちの結果は……。

真瀬志奈

「５０位……！なかなかの順位ね……！」

７００人中の５０位。少なくとも低くはないはず……！私は安堵した。タクトの方は……。

月川タクト

「やった……！１２位！なかなかの点数だ！」

１２位……！私よるも遥かに好成績……！この人数の中なら上位と言える。

夜坂ケント

「俺は１８位か……。タクトに負けるとは……俺もまだまだ知らないことがあるんだな……。」

柊木アイ

「僕は……６位か……。」

柊木さんのショックな表情を見て、タクトと夜坂さんは驚きを隠せていなかった。

月川タクト

「え！？６位ってかなりの上位だよ！」

夜坂ケント

「ああ、何を悔やむことがあるんだ！すごいことだぞ！」

柊木アイ

「ほ……本当？それならいいんだけど……」

月川タクト

「ああ！いいんだよそれで！」

夜坂ケント

「その通りだ。その順位はすごいんだ。自分に自信を持て。」

柊木アイ

「２人とも……ありがとう！」

真瀬志奈

「ふふ……。」

こうして、期末テストは終わり、再び課題の方に全員が取り掛かる……

六郭星学園 音楽室

卒業まであと１ヶ月。作曲作りもいよいよ終盤に近づいている。色々とあったがこうして作曲作りができることをありがたく感じて取り掛かる。

そして……

笛花奏

「完成したわね。」

真瀬志奈

「はい。これで勝負をします！」

月川タクト

「笛花先生。ありがとうございます！」

笛花奏

「いいのよ。私もそうだけど、咲也にもお礼を言いなさいね。陰ながら応援していたんだから。」

真瀬志奈

「はい。鹿崎先生にも感謝しかありません！」

笛花奏

「だって。咲也？」

真瀬志奈

「えっ！？」

鹿崎咲也

「いやいや……バレたか……。ありがとうな。」

真瀬志奈

「先生……。」

笛花奏

「咲也は作曲作りを始めた最初からずっとあなたたちの練習を見守っていたのよ。」

月川タクト

「そうだったんですね……。先生……。」

鹿崎咲也

「いいんだって。俺はお前らの担任だ。見守ることくらい容易いことなんだ！」

月川タクト

「……ありがとうございます！」

鹿崎咲也

「いいか。卒業しても俺を頼ってくれよな。先生はいつでもお前たちの先生だからな！」

月川タクト

「先生……！俺は先生の生徒で良かったです！」

鹿崎咲也

「嬉しいことを言ってくれるじゃないか！ありがとうな！」

鹿崎先生は嬉しそうにタクトの背中を叩く。やっぱり先生は生徒思いなんだな……。

鹿崎咲也

「ところで……この課題は声優の曲のオーディションに提出するんだよな？」

月川タクト

「はい。そうですけど……？」

鹿崎咲也

「だとしたら歌詞もつけないとダメじゃないのか？」

真瀬志奈

「あっ……！」

そうだ……。作詞をすることを考えていなかった……。どうしよう、時間があまりにも少ない……。

月川タクト

「それは大丈夫です！もう考えています。今自分が思うことを考えて書きました。」

鹿崎咲也

「そうか……。それならいいんだ！月川の曲、期待しているぞ！」

月川タクト

「はい！ありがとうございます！」

笛花奏

「それじゃあ、今日はここで終わりにしましょう！頑張ってね！」

月川タクト

「ありがとうございます。失礼します！」