第50話 国のリセット
「な、なんだ!?これは!?」
周りが突如として暗闇に覆われた。まるで何かに蓋をされたかのような暗闇。
何も見えない。
「マスター!」
「うん!」
異常事態を察知し、暗闇の中で壁を蹴飛ばして外に出るが__
「なんだ?これは?」
外は真っ暗のまま変わらない……おかしい、先程までは太陽が出てきてたはずだ!
「ネバーさん!とにかく火をつけれるものを!」
「了解した」
暗闇に包まれた町で、ほんのり見える観賞用の木々、ネバーの力強い一撃によってそのうちの一本は音を立てて倒れる。その音に導かれ、マスターは慎重に魔皮紙を取り出し、それに魔力を込めた。
「魔法の火、我らに導きを示せ!【灯火】!」
最初は小さな炎が静かに明かりを提供し、次第に大きくなり、木を赤々と照らし出す。
「…………おかしいですね」
「確かにな」
「人の気配が全くありません」
そう……いくら人の気配がないところを選んでいたとはいえ、少し離れたところでは魔族たちが居たのは気配で感じていたのだ。夜にはみんな寝て、日が昇れば気配がまたあるはず……だった。
しかし、今は朝のはずだ……周りには一向に生活の気配が感じられない。
鳥のさえずりもなく、風に舞う塵の音すら聞こえない。
「先ほどのリセットと言うのと関係ありそうだな」
「リセット……なんだろ……」
「とにかく、危険かもしれないが町の方へ行ってみるか?」
「うん、この際仕方ないよね」
「それでいいな?みや」
「まぉうさまはレア?ミディアム?ウェルダン?どれが好きなんだろ……」
「頼むから火には飛び込まないでくれよ?」
燃えてる木の近くに来てブツブツと怖い事を言ってる少女を抱え3人で町へと歩いて行った。
______________
________
____
「……だめか」
リセットと言う放送。
もしかしたら街に集まって避難をするなど考えてたが誰もいなさそうだ……
「なんでだろ」
「マスター、人の気配がしないから家をぶっ壊してみていいか?」
中に隠れてるのならちょっとつつけば出てくるだろう。
「いや、どうしてそうなるの……」
「?、どうせ私達は犯罪者だ、何をしても変わらないだろう?」
「あぁ、この人最後までいくタイプの人間だ……」
ふむ?よく分からないがダメなのかな?
「うーん、せめて周りが明るくなったらな……電気もついてない、まるで町全体の魔力を切ったみたいだ……もう少し歩いてまわろう」
「了解した」
俺達は松明を持ちながら何か手がかりが無いかと街の中を探索している最中、突然何かがおかしいことに気づいた。
「……マスター」
「?」
「何か聞こえないか?」
耳を澄ますと、遠くの闇から聞こえてくる“バキバキという何かが崩れていく音”
「ほんとだ、なんだろ?」
「……少し見てくる」
嫌な予感がした。
闇の中、俺は勢いよくその場を飛び出した。建物をぶち壊しながら進む中、先ほどの空き家の近くでまだ高々と燃え続ける木が、不気味な輝きを放っている。
「とりゃ!」
木を掴み、思い切り音の方向に放り投げると、木は放物線を描きなが“壁にぶつかった”
「え?」
不審な壁に驚きの声が漏れる。
「あんなに近かったっけ?」
思索が交錯し、まさかの状況に心がざわめく。
『リセット』──その言葉が、ようやく理解された。、
______________
________
____
魔王白大蛇の支配する国。この国にはリセットという緊急手段がある。
「しかし、天使様直々にこんなに早く対応してくださるなんて思ってもいませんでした。」
国から少し離れた山の頂で、魔族たちは昨日までの居場所を見つめていた。そこには、蛇がトグロを巻くかのように、ドーム状になった魔王の姿がそびえていた。
「いえいえ、“たまたま”近くの国にいたものですからね」
メデューサ隊のリーダーが話しかける女性は、長い黒髪が艶やかに流れ、美しい白い翼が特徴的で瞳は神秘的な光を宿している。
「それよりも、凶悪な人間があの中に居るというのは本当ですか?」
ゆっくりと身体を縮めて自分の国を壊して小さくしていく魔王を指差しながら問う。
「はい、不意打ちとは言え魔王様に傷を負わせるほどの攻撃力の持ち主、私も一戦交えましたが容易くいなされました」
「正直でよろしいですね、ですがアナタはこの国の最高戦力ですよ?そんな事を言うものではありません」
「お戯を……天使様に嘘は通じませんので」
「そうですね……」
天使は考える。
もしもその人間がクリスタルドラゴンを倒した張本人だとしたら?
「悪い予感が当たらなければいいのですが」
「悪い予感?ですか?」
「気にしないでください」
「(もしも最悪の事態になったら……私が直々に__)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます