第46話 『呪い』
人通りのない場所に、静寂が広がっていた。ネバーは怪力を駆使し、ドアノブを壊して空き家へと逃げ込んだ。
「とりあえずここまで来れば大丈夫か」
「マスター……」
先ほどの出来事の後、僕は城の壁をぶち壊し、直ぐに出てきた。だから事態を把握しているのは、おそらく直近にいたあのメデューサだけだろう。
……もっとも今頃は城の騎士達に情報が回って血眼で僕たちを探しているだろうが……
「……良いのか?」
魔王とは魔族の王……しかもこの世界ではゲームの様に好き勝手する魔王では無くちゃんとした社会を持っている。
その魔王を不意打ちで……ほぼ暗殺みたいなもんだ。
隠れてないけど……
もしも日本で飯食ってる時の総理を殺したら?
海外で会見中の大統領を撃ったら?
つまり僕たちは今日この日から世界を敵に回した。
「……僕は__」とマスターが何か言おうとしたら、今まで黙っていた少女が口を開いた。
「ここがぉそと……?」
「!?」
「くしゅん……」
……何だろ……思春期真っ只中の高校生になって女の子の裸を見るのは初めてだけど何も感じないな……寧ろ服着てたのに女神様の方がエロ__じゃなくて……
「これを着ろ」
僕はローブを少女に渡した。
「…………ぃぃの?」
「あぁ」
どうやら普通に話せるみたいだ。
考える事が出来るのならなんで……あんな事を……
マスターが何か心当たりがあるのか少女に質問を始めた。
「……君、名前は?」
「みゃ」
「自分の種族は?」
「にんげん」
「どこで産まれたの?」
「のぅじょぅ」
「……」
農場……その意味は先ほどの行動で解る。
「最後に聞くよ……この後、君は行きたいところがある?」
「白大蛇様の所」
「……」
「……」
洗脳……いや、これは__
「『呪い』だね」
「みたいだな」
これについては自ら良く知ってる。
契約を交わすと無意識の領域を支配して考えを改変するのだ……呪いにかかってるとわかってる本人でさえも考えない……あの時のマスターみたいに……
そして呪いの主はあの魔王。
「マスター」
「?」
ならば単純明快。
いや、むしろ自分の身を考えたら遅すぎる様な質問をした。
「魔王を倒すか?」
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