第三章

第40話 気まずい雰囲気……謎のお爺さん登場!


 みなさん、お久しぶりです。


 テイマーに召喚されたタカノリこと、ネバーです。


 いや〜色んなことがありましたね……ちなみに僕は全部知ってます。

 

 消えてた間は幽霊の様にマスターに取り憑いて全部見てましたから……


 「…………」


 「……」


 あれから1週間……

 魔物達の蔓延る森の中、野宿をしながら過ごしていますよ。


 え?一回も帰ってないのか?って?


 帰ってないんですよー。


 「マスター、今日はもう遅い、少し休もう」


 実はマスター、あの日以来“異能”に開花しました!その能力は!


 「……」


 マスターは何も言わずに地面に手を触れるともこもこと形を変え、雨風が防げる四角い小屋が出来た!


 すごくない?僕のマスター!


 命名“鋼の錬金術”__土や木や素材はなんでも良いのでマスターに触れると形にしてくれる。


 名前は僕の元いた世界のものをオマージュさせてもらったぜ!


 え?なんで僕が命名したかって?


 「外は見張っておく」


 「……」


 こんな感じでアレからここずっと話してくれないんですよ……


 いや、ね、最初の3日くらいは僕も喋る気にはならなかったんだけど、それ以降も切り替えが出来てないんだよね、マスター……


 ライトとそんなに仲が良かったのかな?

 

 ……マスターの昔話とか聞いとけば良かった。


 これからはいっぱいお互いを話そう……



 「今の目標はマスターの精神的回復だな」


 

 それの、もう一つ……俺に変化があった。



 「来たか」


 「キシャァァアーーー!」


 見上げると大きな木に絡みつき上から俺を狙っている蛇。

 命名はソードアナコンダ。


 毒はないし牙もない。


 代わりにこいつは見てわかる通り全身の鱗が逆立っていてするどい切れ味を持っている。


 それで巻きつき全身をすりおろされながら出血多量で弱ったところを丸呑みって感じだ。


 「今日のマスターへの飯だな」


 ソードアナコンダに向かって飛びつき顔の少し後ろの首の部分を持ち引きちぎる。


 「キガッ!?」


 蛇に首があるか解らないが肉が千切れ血が飛び散り引きちぎられた身体はビチビチと暴れ回り首はパクパクと虚空を攻撃している。


 「……何も感じないな」


 そう、魔物を狩った時に来る不快感が全くなくなっているのだ。

 今なら素手で臓物を持ってキャッチボールが出来るくらい鋼の心臓を持っている気がする。


 「まぁ、この世界で生きる為に困る事では無いが」


 たぶん、この感じ……人間相手でも……いや、それを考えるのはやめよう。


 「皮を剥いで川で洗ってくるか」


 まだ新鮮な蛇の皮をビリビリと力任せに剥いでいく。

 皮を剥いでいくと蛇の身体が反応してビクンビクンするが新鮮で美味しいだろうなって事しか頭にない。


 「マスター、ちょっと離れるが大丈夫か?」


 「……」


 マスターは無言だがまぁいつもの事だ。


 「行ってくる」


 ________



 ______



 ____



 「はぁ……気まずい」


 川で洗濯をするみたいに大きな蛇を洗っていく……


 ちなみにそんなに食べれないし保存もできないので残った分は……というかほとんど残ってるのだが川に廃棄するか地面に埋める。


 「今度冷蔵庫作ってもらうか?でもよくよく考えたら移動する時がなぁ」


 見た目がダサすぎる……


 「こんくらいか?」


 今日の食糧も確保したし、そろそろ帰るか……


 ………?


 「あなたは?」


 気がつくと白い神父服を着たじいさんが俺の後ろに立っていた。

 

 殺気……と言うか、何かしてくる気はないのは感覚で分かった。


 「…………伝説の勇者……」


 「?」


 「ここから南東へ真っ直ぐ進め、さすればお前達の求めてる者が見つかるであろう」


 なんかRPGで良く居る道しるべキャラみたいな事言ってきた……


 「いきなり何を言ってるんだ、そもそも行き先を決めるのは私では無くマスターだ」


 「その者には“神の使徒が言っていた”と伝えれば良い」


 神と言われ頭に思い浮かぶのはあの女神。


 「神の使徒、つまりじいさんはアイツの__」


 そこまで言いかけると目の前の老人は透き通った水になり形を崩し、音を立てて居なくなった。


 「…………ほんと、ファンタジーだな」


 まぁ、今日の飯の話の種にはなりそうだな……



 

 

 


 

 




 

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