第19話 期待の新人ライトパーティー!……マスターの同級生だよ!


 「くそ!むかつく!!」


 「またマンタティクスのこと〜?」


 「うるせえ!」


 キャンプ設営も終わりライトパーティーは目的の魔物の生息地に向けて移動していた。


 「そんなに気にする事ないと思うのに」


 「うるせえって言ってんだろ!」


 ライトのパーティーは3人。


 一人は大きな牛の角が生えてるミノタウロスの男。

 もう一人は腕に鳥の羽が生えているハーピーの女。

 

 「どうしてマンタティクスのことを考える」


 「考えてねーっつの!」


 「……」


 「仲間に当たるのはやめてよ、本当に最近ライトは気にしすぎだよ」


 「ぐ……」


 最近のマンタティクスは冒険者として名を上げてきている。

 

 それに加えてライト達は学校を主席で卒業しているにもかかわらず普通だ……いや、普通よりも早く昇格していってるが常識の範囲内なのでマンタティクスの様に物珍しがられるわけではない。


 「どうせテイマーでしょ?採取とか魚釣りとか以外に依頼なんて来ないんだからいいじゃん〜良くてゴールド止まりだよ」


 「チッ!そんな事よりさっさと『ミールワーム』を探してこいや!」


 「はいはいわかりましたよーだ!しらない!」


 ライト達の階級はゴールド。

 しかしマンタティクス達と違って討伐を主に行なっている。


 それと言うのも未来を見越してだ。

 先ほども少し話に出た通り、プラチナの階級からは採取と違い、大型魔物の素材を求める依頼が出てくるので大型魔物を狩るのは必須条件だ。

 


 「……」


 「……」


 ミノタウロスとライトの2人は黙って足を進める。


 ミールワームは海岸近くの砂浜に生息する中型の魔物で普段は砂浜に潜っている。


 だが餌を取るときは分かるので空からハーピーが偵察し見つけ次第帰ってくる仕組みだ。






 場所さえわかっていればうっかり自分が餌になる事はない。







 ________




 ______




 __



 「もうホントありえない!」


 空から浜辺を偵察しながらハーピーは苛立つ。


 「どうしてあんな落ちこぼれを気にするかなぁ!」


 ちなみに3人は同じ学校の最優秀生徒だ。

 ある意味目立っていたマンタティクスの事はみんな知ってる。


 「まったく!ほんっとムカッ__」


 その時だった。


 「__!?」


 砂浜から巨大なミールワームが現れ20メートル上空を飛んでいるハーピー目掛けて砂を撒き散らしながら下から飛びかかった方。


 「あぶな!」


 目もない鋭い牙とぶよぶよしたみみずのような皮を持った魔物は獲物を仕留めきれず落ちていき、下から悔しそうに見上げている。


 「嘘でしょ!何!?あの大きさ!?ミールワームってせいぜい5メートルとかよ!?」


 砂浜を全て埋めるほどの巨大な身体。

 遠近法が働いてるはずなのにそれでも大きい。


 「これは異常個体よ!私たちの手じゃ追えない!ギルドに緊急連絡を____ぐが!?」


 緊急魔皮紙を取り出した瞬間、自分の腹が何かに貫かれた感覚が走る。


 「2匹……目!?」


 重力と共に天から引きずり下ろされていく。


 「いゃぁぁあああああああああああああああああ!!!」


 魔皮紙もどこかへ飛んでいき砂浜に降ろされた。


 「いや……いや、誰か!誰か助け__」


 助けて!と、最後まで言う前に剥き出しになっていた上半身を先程見上げていたミールワームに噛まれ。





 「っ______」



 

 2匹はハーピーの女の身体を仲良く二等分した。




















 __________




 ______




 __




 「とある冒険者の救出依頼です」





 

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