第15話 力試し!……魔王と戦闘!?もうラスボス!?


 「……?」


 「ご機嫌麗しゅう、えーっと」


 「……ネバー」


 名前、確かに言ってなかったけど……これ、なんて状況?


 「ネバーさん、突然ですが今から私と戦ってもらいます」


 「へ?」


 戦う?魔王と?


 「意味がわからない」


 いやいや、何言ってんのこの人?


 「勇者よ、今から旅に出るのだ!」ってレベル1の時に魔王が押しかけてくるみたいな?


 「フィールドに移動しながら話します」


 「……」


 言われるがままについていく僕。


 「マスター」


 「?」


 「何かあったのか?」


 「何も?」


 「違和感を感じて聞いても無駄ですよ、彼は今、私を完全に信用してますから」


 「?」


 「その話もしましょうか、別に隠す事もありませんし」


 相変わらずこの世界はファンタジー要素が少ないな……エレベーターのボタンを押され、乗り込む。


 「それで、どう言う事だ?」


 「彼は私と奴隷契約をしました」


 え?奴隷?奴隷ってあの木の丸太をくるくるしてる奴?


 「その反応を見るに、そちらの世界も奴隷というのはあったみたいですね」


 「……」


 なんか良く解らんが勘違いされてる。


 「此方の世界では奴隷契約すると人の無意識、常識に反映され主従である者の言う事を疑いなく行います……もちろん、テイマーで使役されたアナタにもかかっていますよ」


 「……」


 そう言われてみれば、マスターの言う事は疑った事ないな。

 エロ漫画でよくある常識改変ってタグのやつか?


 「これから先、アナタ達は冒険者の仕事をしながら私の依頼もこなして貰います、私もアナタ達を殺すようなことをしたくありません、なのでどの程度の戦闘力か私自身が見比べる為____」


 アナウンスと共にエレベーターの扉が開く。


 「ここで私と戦ってもらいます」


 プロのサッカーコートくらい広く、そして何もない部屋だった。


 

 「マンタティクスさんはそこで待っていてください」


 「はい」


 「ネバーさんは私と中央へ」


 「……」


 え、いや、えーっと……


 「何してるんですか、はやく」


 「解った」


 いやいやいやいやいや!?

 説明してくれたけど!けど!

 結局魔王とバトルじゃん!?てかバトル!?バトル?!?!?


 どっかの筋肉もりもりで殴り合うアニメじゃねーんだぞ!?現実だぞ!?


 「……」


 あぁあああ!誰かこの足を止めてくれえええ!


 「質問いいか?」


 「はい」


 「見たところ今君が着ているのは普通の服だろう?この戦いは殺し合いではない……そんな無防備な身体に攻撃するのは些か抵抗があるのだが」


 「あぁ、私に攻撃を当てれるとは思いませんが気になって本気を出されなくても困りますね」


 こうなったら少しでも時間を稼__


 「じゃぁ、装備します」


 「…………」

 

 おーい……一瞬でなんか黒いシスター服になったんだけど……お尻と胸のラインが強調されてエr……てか早着替えすぎんだろ!ここはファンタジーなのね!


 「あ、あぁ、これで心置きなくやれる」


 うわぁぁあ、何構えちゃってんの僕!


 「あら?私には本気で戦えと言うくせにアナタはあの武器を持たないんですか?」


 武器?あぁ、そっか、この人はその時も見ていたのか……うーん、使ってもいいけど……



 ……………




 あの光景がなぁ……グロい。



 「あれはもう俺のマスターの物だ、手放したのだから返して貰うようなカッコ悪いことは出来ない」


 「フフフッ、それもそうですね……でも」


 「!?」


 危険を察して本能的に腕を目の前でクロスさせた瞬間衝撃がくる。


 「あら?普通の人なら吹っ飛ぶくらいの力だったんですけど、この程度なら耐えるみたいですね」


 


 「不意打ちとは卑怯だな」


 

 

 「アナタがガタガタと言うからですよ」


 ぶねえええええぇ!?いきなりパンチしてきやがった!でも…………なんかサッカーボールが当たったくらいの痛さだった……頑丈に作ってくれてありがとう女神様。


 これなら


 「いいだろう、少し付き合ってやる」


 いける!防御はできる!


 「フフッ、その言葉を言っていいのは同じ魔王か魔神様くらいですよ」


 手に集中させている間に足を取ろうとしたのか、ウジーザスは白い尻尾を動かして来たが僕には丸わかりだった。


 「っ」


 後ろに飛んで距離を取り尻尾を避ける。


 「不思議な人ですね、隙だらけのように見えるのに」


 まぁ、僕からしたら攻撃が来たら何となく反射神経で対応してる感じだし……


 例えるなら転ぶ時、咄嗟に手を出して受け身を取ろうとする感じに似てる。


 「魔王に褒められるとは光栄だ」


 「次は少し本気を出しますよ」


 「!?」


 明らかに先ほどよりも早い攻撃の数々。

 

 だけど何だろう……



 ____考えれてるんだよな。



 いや、何言ってるか解らない?


 何だろう、攻撃されて必死!て言うより別のことを考えていても身体が動くから謎の安心感がある。


 「ふん!」


 「……」


 お、パンツ見えた……エ、エロイ黒!……高校生の俺には刺激が強すぎるって!


 「……」


 「……」


 「どうした?もう終わりか?」


 「…………本当にさっきから……」


 「?」


 「ふざけてるんですか!」


 「うお!?」


 い、今の一撃は流石にヤバかった。

 

 「戦いの中何を考えてるんですか!」


 「ん?え?」


 え!?まさかパンツ見たのバレた!?

 

 「私の目は戦闘中ありとあらゆる変化を見逃しません!先程からアナタの目線は私の胸や股、太ももを見ているのは分かりました、だけどそれは何かを警戒してと思っているのだろうと」


 「ぐ……」


 やべー……バレてる。


 「しかし……何ですかそれは!!!!」


 魔王が指差す先は僕の股。


 高校男子として抑えられない男の男がついてる箇所。


 バレない程度にもっこりしてる箇所……


 う、うそだろ……全部バレてた……死にたい。


 どどどどどどどどどうしよ、な、何とか誤魔化さないと


 「失礼した、あまりにも美しすぎたのでな」


 「うぇは!?」


 お?


 「なななななななにいってるんですか」


 おー、なんてベタな


 でも何だろ……前の世界の僕でこんなこと言ったら気持ち悪がられたから何かいい気持ちするな。


 イケメン補正はヤバい、これ全異世界共通なんだな。


 「だが勘違いしないでほしい、恋心を抱くかは別だ」


 うん、数々の異世界ジャンルのライトノベルを読んできた僕には分かる。



 ここはキッパリ言っとかないと後々に苦労するのが!



 「……」


 「うおっ!?」


 な、なんだ!?

 一段と強い衝撃と共に僕の身体は後ろに並行移動した。


 「ならばアナタは恋心も無く私の胸や股を凝視して興奮していた、と……話が最初に戻りましたね」


 「……」


 しまったぁぁぁあ!そうだ!僕のバカぁ!これじゃぁ誤魔化しきれてないじゃないか!


 こうなったら!


 「フン!」


 俺はその場で威嚇するように地面を片足で踏み込んだ。



 「!」


予想外のものすごい爆発音と砂埃に、若干自分も驚きつつも話を変えるように言う。


 「今度はコチラから行くぞ」


 


 「やっとやる気になりましたか、来なさい」


 よし、流れ変わったな。


 うーん、でもどうしよ……いくら魔王とは言えゲームとかに出てくるようなザ・極悪ってタイプじゃないしなぁ……それに人なんて殴ったことないし……そうだ!


 確かこう言う時アニメならパンチ寸止めして「フッ……勝負あったな」って言うベタなのがあったな!それで行こう!


 「その場から動くんじゃないぞ」


 危ないしね


 「何を言っ__」


 俺は魔王ウジーザスが何かを言い終わる前にイメージ通り一瞬で後ろに回り込み。


 「__!?」


 腕が伸びきってもギリギリ当たらない位置から思いっきりパンチをかました。

 

 


 拳が止まった瞬間、凄まじい風圧が巻き起こり魔王ウジーザスの白い髪はバサバサと後ろに激しく揺れ黒いシスター装備は摩擦でビリビリに破れ去り。


 ウジーザスから後方の地面は半円状に抉れそのまま大き音と共にビルの壁に風穴を開けた。







 「……」




 「……」







 女神様…………ここまで最強の身体にしなくてよかったんじゃないか?…………









 






 


 

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