第14話 許してもらえた!……マスターは奴隷!
「なるほど」
全てを話した後ウジーザスは考え込んだ。
「す、すいませんでした!まさか、まさかこんな事になるなんて思ってもなかったんです!」
また泣き出し土下座をする。
だが、そんな事よりも……
「(私の千里眼をくぐりぬけた?今まで異能として使ってきて疑問を持たなかったけど……この能力も万全では無いと言うことになりますね……)」
「すいませんすいませんすいませんすいません」
バグったNPCの様にカクカクと動きながら土下座をするマンタティクス。
「もう謝らなくて結構です、あなたの処分は決まりました」
「ひぃ!」
「アナタ“達”はこれから私の為に裏で動いてもらいます」
「へ……?」
「(もしもその“神の使徒”とやらが接触するとすればこの子と使役されたあの人間……私の目から逃れるほどの魔法の知識の持ち主……少なくとも各国の魔王と同じ程度かそれ以上の力を持っていると考えて良いでしょう)」
「私と奴隷契約をしてもらいます」
「奴隷……契約?」
「えぇ、学校で習いましたよね?これも禁忌の魔法です」
「え、えーっと……」
「…………アナタを冒険者に登録させなかったギルド員の方は私の目くらい素晴らしいですね」
「?」
皮肉を言われても気づいてないみたいだ。
「奴隷契約魔法、やり方や魔法陣は簡単ですけど謎の多い魔法です、分かっているのは魔法陣の形と効果……契約が成立すればアナタの無意識領域に作用し私の命令通りに動く」
「う……」
嫌な顔をした瞬間ウジーザスはニッコリとして殺気を放った。
「あら、破格な条件だと思いますよ?それをするだけで私からの恩恵で冒険者になれますし……別に死ねと命令するわけではありませんしね♪」
「は、はい!!」
「ではここに血の拇印をお願いします」
「血!?どうしましょ」
「これから先、冒険者になるんですから血なんてゲロ吐くくらい出ますから」
そう言った瞬間マンタティクスの頬に切り傷が入り血が垂れる。
「っ!?」
何をされたか見えない、解らない。
これが魔王との力の差なのだろう。
「はい、血ですよ、流してあげました」
「…………」
黙って自分の親指で頬の血を拭い契約書の魔皮紙に拇印を押す。
「では成立です」
「!?」
魔皮紙は真っ赤な液体になり生きているかのようにマンタティクスに張り付き体の中に入っていった。
「気分はどうですか?」
「……何も変わらないです」
「ふむ、私も使われたことも使ったことも無かったので解りません……とりあえずその場で座ってください」
「はい」
そう言われると何も気にせずにマンタティクスは床に座る。
「何か感じますか?」
「いえ、特に何も……」
「(ふむ……効果はあるようですかね?まぁさっきの状態なら私が床に座れと言ったら同じように座るかもしれませんが……さて、では……)」
「命令です、ここにあの人間を召喚してください」
「はい」
マンタティクスは何も疑わず異世界から来たあの人間を召喚した。
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