第11話 魔王城にキター!……マスター頑張って!
「終わった……」
時刻はお昼。
賑わっている街の中、少年はがっくりと肩を落とし歩いていた。
「死ぬ……殺される……」
そう思いながらも逃げないでまっすぐと魔王城に向かっているのはどこに逃げても無駄だと分かっているからだ。
「……」
魔王城は街の中心にある天高く大きなビルの屋上だ。
この街はその建物を中心に広がっている。
特に理由がない時はそこに近づくことは無いのだが____
「おい、マンタティクス」
「……?」
人ごみも無くなってきた所で声をかけられ振り向くと後ろには竜の鱗の肌の亜人が居た。
「……ライトくん……」
歳はマンタティクスとそう変わらない。
この2人は同じ学校の卒業生である。
「てめー、この前初依頼をこなしたんだってな?しかも1日で」
「……」
「落ちこぼれの癖に俺より目立ってんじゃねぇぞ?」
「うん……ごめん……」
「ちっ!」
張り合いが無かったのかライトは舌打ちだけして帰っていった。
「……」
無。
彼の体はストレスで精神がおかしくなりそうになるのを本能的に何も考えない様にしていた。
「………」
何も考えず、ついに人の気配が一切ない異様な雰囲気を醸し出すビルに入る。
自動ドアが閉まると中に誰もいないのかシーーンとしたままで電気だけ付いていた。
{ではエレベーターで最上階に来なさい}
「……はい」
魔王は放送でマンタティクスに語りかけた。
「……」
エレベーターに乗りボタンを押す……押してしまった。
「ぐ……うぅ」
マンタティクスにとってそのボタンは死刑執行へのボタンになる可能性を秘めている。
それに気付いたのは押した後……
それをすぐに押してしまったのだ。
「うぅ……いやだ、死にたくない」
エレベーターの階数が進むごとに自分の寿命が減るカウントダウンに見えてくる。
途中で降りようにも必ずバレる。
「えぐ……うぇ……おぇ」
嗚咽混じりに泣いているとついにその時が来た。
{最上階 魔王様のオフィスです}
エレベーターの扉は無慈悲に開き。
「えーっと……どうしたんです?」
「まおぅざま、どうがおゆるじおぉおぉ」
涙と鼻水と唾液を流しながら必死に謝るマンタティクス。
「と、とりあえず落ち着いてください、順を追って話をしますので」
「まおぅざまぁぁあ!」
「はぁ……」
それから30分、マンタティクスをなぜか慰める事になった魔王ウジーザスだった……
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