44 短歌


端午の節句が近いですね。この日は菖蒲と尚武を掛けて、男児の成長を祈る日でもありました。(旧暦5月5日は、新暦のだいたい6月初旬ぐらいに当たります)

燕子花かきつばた(杜若)は、菖蒲とは別物ですが、姿は似てるし季節も同じ頃。ということで、今回はかきつばたの歌を。




 彼の橋の木の板踏んでつっかえてばかに明るくたたらを踏んで


<読み>

かのはしの きのいたふんで つっかえて ばかにあかるく たたらをふんで




『伊勢物語』で有名な、「かきつばた」の真似です。「か・き・つ・ば・た」をそれぞれの句の頭に置いて、歌をつくるというもの。すごく卑近な言い方をすると、「あいうえお作文」みたいなものですね。


一応オリジナルを載せておきます。

ら衣つゝなれにしましあればるばるきぬるをしぞ思ふ」


オリジナルの歌と並べると、風情も情感もまるでないことがますます際立ってしまいますが……、そこは敢えて見ぬふりをしていただいて。

ちなみにこのお話にちなんだ庭園が、愛知県知立ちりゅう市にあるそうです。在原業平の見た八橋とはたぶん別物なんでしょうけど、それでも一応、聖地といえるかも。巡礼を果たしたら喜びのあまり駆け出して、転びかけて、それでも笑顔! ということは本当にありそうです。



ところで、『応天の門』という漫画をご存知でしょうか。

在原業平と菅原道真が出てくるお話です。ともに単独で主役を張れるほどの逸材ふたりをバディにするとは、なんて秀逸な設定。物書きとしては、「やられたあっ!」て脱帽しますね。そもそもプロに向かって同格みたいな物言いが不遜だ、という話ではありますが、、見習いたいものだとは思います。



蛇足ながら、『伊勢物語』は岩〇文庫では110ページぐらいなので、わりとさっと読めます。で、念のため調べてみたら、角川ソフィア文庫でも出ていました(知らずにスミマセンでした……)。こちらは350ページあってどうやら現代語訳・解説つきなので、もし買うなら角川さんがいいかも。。


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