40 俳句(春)
人につかれ花積む檻に虎と寐ぬ
<読み>
ひとにつかれ はなつむおりに とらといぬ
せっかくの花のさかりを、素直にめでたく歌えばいいものを……と思わないでもないですが。
春はめでたいばかりではない、というのも一面の真実です。
気の触れやすい季節でもあるように思います。
空模様の不吉な季節でもあります。
花でいえば、桜の下には死体が埋まっていると歌ったひともありました。
そんな春の裏面の系譜に連なるように見えるこの句ですが、そう見るのがほんとうに正鵠を射ているのでしょうか。
これを不吉や、狂気や、悪夢と片づけるのが果たして正しいのか?
そうとは限らない、と私は思います。
この世と折り合いをつけることの不得手だったひとには、
心のやすらぐ涅槃であるのかもしれません。
ところでこの句、漢字を変えるとまったく違う世界が見えてきます。
人に衝かれ、花摘む折りに虎と
「つかれ」はほかにも色んな字が当てられるので、いろいろ試して、どんな情景があらわれるか想像してみるのも面白いかもしれません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます