38 短歌



 春やさし 花の香りに さそはれて とてみて喰はん やはき菜のはな


<読み>

はるやさし はなのかをりに さそはれて とてみてくはん やはきなのはな




菜の花は、食べられるんですよね。居酒屋とかで、山葵わさびえなんかになって出てきます。


ただし。食べるのならば、花のひらく前。

でもあのちいさく黄な花があかるく咲く姿も愛でたい。

いま食べるか、もすこし待って花を愛でるか。迷います。

えい摘まんじゃえ、ちょっとだけ。


…………。おいし。



なんだか愛らしい歌になりました。この歌の主語に擬されたのは、どんなひとなんでしょうね。ちっちゃな子供か、その母か、花のさかりの乙女たちか。あるいはむくつけき益荒男ますらおがふと気を抜いて見せた姿なんてのを想像しても面白いかも。


ところで、全ての句に「は」を入れてみました。別段ふかい意味はないのですが、、、推敲前の段階で4つまで各句に「は」が入っていることに気づいて、せっかくなら「春の<は>尽くし」にしてみよう、と推敲。

だから何? と言われるレベルのお遊びです。


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