37 俳句(春)



 落日や地平にふれて円崩る


<よみ>

らくじつや ちへいにふれて えんくずる




またしても季語無しです。

おぼろな春の、湿潤な空気におぼれるような落日を思い浮かべてつくりました。が、冬の清澄な空気の先の、くっきりとした落日の方が、円が崩れる図がより鮮やかに映るかもしれません。


地平に太陽が沒む姿を日本で見るなら、北海道でしょうか。広い関東平野ならあるいは……と思いますが、林立するビルが地平線を隠してしまっているかもしれませんね。

海に太陽が沒む姿もむろん心ふるわす美しさなのですが、地平と接する姿にとくべつ憧憬するのはどうしてだろうと考えると、幾分かのエキゾチシズムがそこに流れているためのような気がします。


心に浮かぶのは、

沙漠に吸いこまれる黄色い太陽。

黒い大地に沒む真っ赤な太陽。

黄金色の麦畑の先に白く霞む太陽。


あるいは幾つも世紀を遡った日本の、葦原に沒んでいく太陽だったかもしれません。


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