35 短歌



 そこらじゅう泥の散らばる冬の朝、早いもの勝ち霜柱踏む


<読み>

そこらじゅう どろのちらばる ふゆのあさ はやいものがち しもばしらふむ




最近は道端に土が露出しているところがずいぶん減っているし、それにマンション暮らしだったりすると庭もないしで、霜柱を踏む機会は減っているのかもしれません。


私ももうずいぶん長いあいだ霜柱を踏むなんてことからは遠ざかっていて、だからこれは遠い記憶の、あかね色の靄のあわいのお話です。ランドセル背負ってた頃の。


……冬の朝、学校へ向かう道中、ふと道端を見ると土が盛り上がっている。踏んでみる。すると靴裏でぐしゃっという音と感触。とてもささやかな楽しみですが、こんなことに心は浮き立ったものでした。

霜柱を踏みしめたくなるこの気持ち、今の子供たちに伝わるでしょうか?


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